2話「転校生」
その後。
「今日はありがとう。これからもよろしくね」
「もちろん。じゃあまた明日」
俺は花珠の家を出て、道を歩く。
今日はいつも以上に勇気を出した日だった…。
でも、不思議と嫌な気持ちとかはないし、逆に清々しい。
だって、長年の思いを伝えられて、降られてしまったけど予想していたことだったから。
あいつに好きな人が居るのは何となくわかっていたし、覚悟はしてた。
だからこそ、俺は今後悔なんてしてない。
次の日。
「おはよう」
そう、いつものように花珠に話しかける。
「あ、うん…おはよう」
少し気まずそうに返される。そりゃそうかと思いながら、
「そんな硬くなるなよ。別に俺がただ言いたかっただけだし。なんも気にすんな」
でも…と、言いたげな花珠を見て、頭を撫でる。
そんな目しても、俺がどんどんお前に惚れるだけなんだけどな…。
ま、党の本人には気づいてないだろうけど。
いつもギリギリに来ている俺が自分の席に座ると、本鈴が鳴り、皆が席に座り始める。
それから先生が中に入ってくる。
「じゃあ、HR始めるぞ。よし、今日は転入生を紹介する!」
その一言で教室がザワザワし始める。
「入ってこい」
そう先生が声をかけると、ドアが開いた。
ガラガラ……。
ドアが開いて、入ってきたのはもの凄く美人な女だった。
「さあ、自己紹介してくれ」
「はい。わかりました。えっと…皆さん初めまして」
ちょっと微笑んだだけだが、教室の空気が一変した。
男女問わずみんな口を開けて固まっている。
「鳳 未成未成です。趣味は歌を歌うことで、ピアノも好きです。中3からの転校って珍しいですが、仲良くしてください!」
そう言った後、先生が席を言い、俺の横に座ってきた。
俺の隣の席は空いていた、でもそこには座るべき人がいたから。
俺たちが中学1年生になったとき、ある人が自殺した。
そいつは俺と花珠と仲が良くて、ずっと一緒だった。
そいつの名前は赤星 白夜。
とてもやんちゃで、ストレスを1ミリも感じさせないほど明るかった。
でもそれは外側だけで、内面は泣き虫で、ストレスをいっぱい感じていた。
それを俺たちには見せず、12年間も隠し通してきた。
白夜にはいつの間にか人を惹きつける才能があった。だから、白夜には友達が多かったと思う。
でもある時から、白夜は狂い始めた。
毎日物にあたり、気に食わないことがあるとご飯も食べずに部屋に引きこもった。
白夜には兄ちゃんがいて、兄ちゃんだけが心の支えだと、話してくれた時があった。
それが、白夜との最後の会話で、俺が家に帰って、朝になると、白夜は死んでた。
それからと言うもの、白夜の席は2年になった今でも作られていた。
これは絶対に埋まらないと思っていたのに…。
この席は、俺が…俺たちが白夜と唯一繋がれる手段だったと思う。
そこに白夜が居る気がして、嬉しかったし、それに縋っていた。
「宜しくね?私鳳未成。未成って呼んでほしいな。あなたは?」
みんな少し気まずそうに俺を見ているのが分かる。
中には先生を睨んでる奴も居た。
みんな白夜の死は知っているし、誰もがショックを受けていたから。
そんなことになるなら学校に来なけりゃ良かった…。




