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奴隷商人とエルフさま  作者: 遊命月
第1章 見習い商人の小さな冒険
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プロローグ

「はぁぁぁぁぁ……」


 パタンと僕は優しく読んでいた本を閉じる。

 胸の奥から漏れ出た感動が良い意味でのため息になって僕の口から外へと旅立つ。

 お伽話の世界から現実へと戻っていく。

 この瞬間の余韻が堪らない。

 まだ続きを読みたい衝動に駆られるけど、それは我慢する。

 買ってもらったばかりでピカピカの新書を、カウンターの下へ丁寧に置いた。


「……よしっ!」


 気を引き締めるように息を吐く。

 手元にあったこの店指定の紅色のバンダナを頭に巻きつけて、後頭部でキュッと締め付けた。

 店の中からでも外の喧騒が、人々の賑わいが聞こえてくる。

 ここは人間、それ以外の魔人や亜人、魔族が分け隔てなく集う国、ファンリネーラ。

 その中の城下町にあるメインストリートの一角にあるのがここ、どうぐ屋ライオック。

 一等地故に客入りは上々、店に置いてある商品だって仮に安物のやくそう一つでも妥協はしない。


「一つのどうぐが誰かを救う、そうすれば客は増える、店は儲かる。」


 ほとんど住み込みという形で一月前からこの店にお世話になり、染み付いた言葉だ。

 それは徹底されたもので、だからこそこの店のリピーターは絶えないのだと言う。

 店の外から聞こえてくる喧騒の中に、それこそ扉を開ければすぐそこに、この店の商品を買いに来てくれるお客様が沢山いる。

 それはここに住む城下町の人々、それは王に仕える凛々しい騎士様、それは何かを追い求める旅人や冒険者、もしかしたらさっき読んでいた本に描かれていたような勇者もいるかもしれない。

 もしいるのなら、いないとしても。

 誰かの物語の一部になれたのなら、その手助けになれるのなら、これほど嬉しい事はないだろう。

 胸の奥には緊張が半分、期待が半分。

 今日はどんなお客様が訪れてくれるんだろう?

 どんな物語の一部に、僕は立ち会えるんだろう?

 自然と口元が緩み、胸の高鳴りは最高潮に達しそうだ。

 それを原動力にして、声高らかに僕は店の扉を開く。


「いらっしゃいませ! どうぐ屋ライオックへようこそ!!」

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