第1回 青空と桜
※自作の古文和歌などを、さも古典のように解説しています。
【原文】
散り敷ける
花の欠片に見上ぐれば
青の青さと
満開の春
【現代語訳】
今日も下を向いて歩いていると、地面にたくさんの桜の花びらが散らばっている。おや、もう桜が咲いているのか? と、顔を上げて周りを見渡してみると、桜の花がいっぱいに咲いていた。
ピンク色の桜の木々の向こうには、青空が広がっている。
それもただの青空ではなく、抜けるような真っ青の空だ。ああ、空とはこんなにも青いものだったのだなあ。
満開の桜が咲き乱れる春の日に、なんだか心も浮き立ってくるようであるよ。
【解説】
世の中は辛いことばかりで、この詠み手は下を向いて歩いていたのだろう。
春の桜の季節にもかかわらず、辺りを見回す余裕もなく鬱々と、仕事か学校かへ向かう詠み手。
地面に落ちた桜の花びらを見て初めて、もうそんな季節であることに気がつく。
花びらの出どころを確かめようとあたりを見回すと、満開の桜の花に囲まれていた。
ピンクの桜の背景に、真っ青の快晴の空。対照的な二つの色が隣り合うことで、さらにその鮮やかさが際立って見える。
ぽかぽかとした暖かさと共に、ああ、春だなあ、とあらためて実感する。
きっとこの詠み手は空を見るのすら久しぶりだったのだろう。
地面から桜を見ようとして見上げて、真っ青な空に吸い込まれる。視線の誘導が優秀な一首。




