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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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35話 落下……死……?

 落ちていく。

 私は真っ逆さまにどんどん下へと落ちていく。


 果てしない暗闇だけが目の前に広がり、地面などどこにも見えない。

 だけど、一つだけ分かる事がある。

 そう。このまま落ちていけば私は結局の所死ぬのだと。


 って、そんなの嫌ぁぁぁぁぁあ!

 誰かー! 助けてくださいよー!

 無理無理無理ー!

 くそ!

 あのカメレオンめ! 自分だけ登ろうとしやがって!

 許せねえ!


 ……ふぇ?

 うわぁぁぁ! あの熊野郎が地面を割りやがったから岩まで大量に落ちてきてるじゃん!

 しかも私を潰せそうな岩が大量だし、登ろうとしてるカメレオンも結局岩に当たって落ちちゃってるよ!


 ぐぬぬぬ。

 ……はぁ。まぁこんなに焦ったところで今の私に出来ることなんてないんだけどね。

 はっはっは。もうやばすぎて頭の中は逆にクリアになってるよ。

 だって私は既にスライムの状態だから後は落ちるだけ。

 上から転がってくる岩を避けようにも私にそんな身体能力はないから当たらないように祈るしかない。


 うんうん。

 さーて、早く地面に着地しないかなぁ。


 む?

 むむむ?

 おっ、地面が見えた! ってか、地面に着地する!

 私の場合何処から着地しても頭から着地のような気がするけど、とりあえず私の体が弾け飛びませんように!


 ごふっ!


 あー、痛すぎる。

 スライムの体自体は破片が吹き飛んだりしてるだけだけど、私としては痛みが半端じゃない。

 一応スライムは物理激減効果を持ってるから、それで助かったのかな?

 まぁなんにせよ今日ほどスライムで良かったと思う日はないね。


 あ、ちょっと待って。やばいかもこれ。

 安堵してる場合じゃない!

 痛いけど動かないと!

 岩が! 岩がどんどん降ってくるから!


 ぜぇぜぇ。はぁはぁ。

 ふぅ。

 危なかった。

 なんとかこれで降ってくる岩は全部避けれたかな?


 うんうん。もう大丈夫そうだね。

 そうだ!

 そういえば岩に混じって熊野郎と戦ってたカメレオンも降ってきてたんだった!

 それを食べれば私はカメレオンになれるかもしれない!


 ……。

 …………。

 どこだよ!

 もう見渡しても岩しかないよ!

 カメレオンなんて姿形もないじゃないか!

 ってか、よく良く考えたら岩に潰されてたら見つかる筈がない!


 ん?

 今私の後ろでなにか動いた気が……。

 もしかして、そこに居るんですね!

 ヒャッハー!

 食事の時間だー!


 うげっ。

 なにこいつ。

 まだ私と戦う気力があるのかよ。

 スライムでもないくせにあんだけの高さから落下して、尚且つ岩に尻尾を踏み付けられていて尚毒を吐こうとしているなんて、頑丈にも程があるよ!


 うーむ。

 これは非常にまずいなぁ。

 えーっと、私のステータスはと。

 うわぁ。体力がもう一桁しかないじゃん。

 って事は毒をくらったら一撃で死ぬってことぁ。


 これは悩むなぁ。多分このまま放っておいてもカメレオンは死ぬと思うけど、この階層の他のモンスターに取られる気がするし、なんならそろそろ音に気付いて他のモンスターがやってきそうだから。

 よし、危険極まりないけど私が捕食しよう!


 さてと、覚悟は決めたし、お互いに瀕死同士の戦いを始めようか!

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