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第八十三話 あんこくのみらいで

「出雲さんが雫のひいおじいちゃんで、出雲時久が雫の実のお父さん? な、何を言ってるんですか八雲さん!? あいつが雫の実のお父さんなわけないじゃないですか!!」

「……だが、このカメオのブローチと雫の元の世界が変わらないことが何よりの証拠だ。となると……」

「どうして実の父親である時久さんが雫に会わず、夏白島を変えてしまったのかと言うことですね」

「……それに関しては推測にはなりますが、私に考えがあります。雫さんの話を聞いて、全てが繋がったというべき話が。みなさん、この夏白島はなぜ栄えているのだと思われますか?」

「誰も分からないという話だと伺っています。専門家が調べれば、しっかりとした理由があるかもしれませんが」

「そうです。専門家が調べればしっかりとした理由が出てくると思います。夏白島が栄えている理由は……魔道具のおかげです。それも、特級魔道具に劣らないほどの」

「何だって!? この夏白島には特級魔道具があるんですか!?」

「正確にはそのなり損ない。名前を付けるのであれば、準特級魔道具というべきものです」


 特級魔道具とは、世界にも十数個しかないと言われている、膨大な魔力と強力な能力を宿した魔道具のことだ。

 一つでも悪用されれば世界の均衡を変えてしまうと言われているほどの魔道具。それに類似した力を持つものがこの夏白島にあるというのか。

 しかし、魔道具のおかげと言われたら、この異様な発展具合にも納得がいく。

 さらに、特級魔道のなり損ないと言うのもその通りなのだと思う。これがもし特級魔道具であれば、夏白島は日本の中心になっていただろうから。


「その準特級魔道具の詳細はどのようなものなのですか?」

「魔道具の名はグローリー。それは鐘の姿をしており、能力はグローリーが存在する地に栄華をもたらすというものです」

「その情報は一体どこで?」

「夏白島に古くからある日記に記載されています。私は言語学者なのです。誰も気にしないその日記を、興味本位で解読したので知っております。ですが、あまりにも眉唾ものの話ばかりでしたので、てっきり悪戯かと思ったのですが、そうではなかったみたいですね」

「そ、その魔道具と雫に何の関係があるというのですか!?」

「準特級魔道具。特級魔道のなり損ない。グローリーはその能力を維持するために、数百年に一度、島民を一人生贄に選ぶのです。選ばれたものは原因不明の病にかかり、普通の生活が送れなくなります」

「原因不明の病……まさか! 雫が病弱だったのは……」

「グローリーに選ばれたということでしょうね」


 予想が出来ていただけに俺は頭を抱える。雫を見ることができずに目を伏せる。ここからの展開も全て予想できてしまったから。


「では、雫の病気が治ったのは、グローリーが破壊されたためと言うことでしょうか? そして、破壊されたためにグローリーが内包する膨大な魔力が雫に逆流し、雫がタイムリープできるようになった」

「そう考えるのが自然でしょう。おそらく、グローリーの栄華とは人々が賑やかに暮らし発展すること。それを変えられたことによって、その意味を失くし壊れたということでしょう。そもそもグローリーは生贄を用意しないといけないほどに不完全なもの。雫さんと交わしたのは契約。雫さんを犠牲に発展をもたらす。それが成り立たなければ、グローリーの意味がないですので」

「……嘘ですよね? じゃあ、あいつが、雫のお父さんが夏白島を変えたのは、雫の病気を治すためと言うことなのですか?」

「だろうな。雫との関係を断ち切ったのも、夏白島を改革したことに対するヘイトが雫に向かわないようにするためだろう。時久さんは凄い人だよ。数ある選択肢の中で、自分だけが悪者になる選択をしたんだ。仮にこの事実を公表したとしても、島民はこの話を信じず反対するだろう。なんなら、その事実が証明されても反対する人はいるだろう。一人の犠牲で島が発展しているならそれでいいじゃないかってな」

「でも、そうしなかったのは、夏白島からそんな人を出したくなかったから。雫のお父さんは、本当に夏白島が、夏白島の人々が好きだったんですね」


 夏白島と雫のことが好きな時久さん。その夏白島が雫を犠牲に成り立っているというのは言葉にできないほどに辛かっただろう。

 そうして最後には夏白島を犠牲にして雫を助けることを選んだ。全ての矛先を自分に向けてまで。……こんな、こんな悲しい話があってたまるかよ!!


「雫は……雫はどうすればいいのですか? この夏白島も、実の両親のことも大好きなのです。けれど、元の世界に戻っても、雫にはどちらも残されていません。雫は一体、どうすればいいのですか?」

「……一つだけ、方法がある」

「ええ、そうですね八雲先輩。一つだけ方法があります」

「そんな方法が一体どこに……まさかお二人とも、やる気なのですか!?」

「……一体八雲さんと咲耶さんは何を考えているのですか?」

「雫、俺たちは雫のように過去へ戻ることはできない。それでも、未来を変えることはできるんだぜ。簡単な話さ、俺と夜月で……グローリーをぶっ潰す!!」

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