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第六十七話 プロの決闘者

 夏休みも始まったばかり。何をして過ごそうかと考えていたところ、愛染あいぜんさんから連絡があった。愛染蔵之介あいぜんくらのすけさんは強化合宿の時に臨時講師として来てくれた方で、俺の父さんの師匠でもあった方だ。その時に連絡先を交換していたのだが、早速連絡が来るとは一体何の用事なのだろうか。

 不思議半分、ドキドキ半分でメッセージを開いてみると、そこに書いてあったのはとある場所へのお誘いであった。俺は二つ返事で承諾すると、すぐに移動するための準備を始めた。そして、次の日。


「いやー、隼人。急な誘いで悪かったのぉー。わっしに話が来たのもつい先日だったんじゃ。わっしは瞬間移動があるからギリギリの連絡でも承諾してしまうんじゃが、お前さんにはかなり厳しかったじゃろうて」

「いえ、ここは天岩学園から遠くないですし、別に時間は問題ありませんでしたよ。それよりも、俺のことを誘っていただいてありがとうございます」

「気にするでない。隼人はわっしの二番弟子じゃ。機会あれば誘うのは当然じゃからのぉー。ここへ来るのは初めてかのぉー?」

「観客として来たことはありましたが、関係者として来るのは初めてですよ。ハイパーデュエルの決闘場には」


 ハイパーデュエル。それは天岩学園で行われている一対一の決闘を競技化したものだ。荒武を筆頭に多くの戦闘希望者が目指しているものでもある。今日は試合は無いが、ハイパーデュエルの決闘場へ関係者として入場できることが決まっており、施設の裏側を見学できるようになっていた。

 愛染さんには、明日の決闘のために早入りしているプロの決闘者たちにアドバイスをしてほしいと言う依頼が来ているようで、その依頼の同伴者として俺はついてきたというのが事の経緯だ。


「お前さんは龍道りゅうどうに好かれておるからのぉー、将来プロの決闘者になる可能性は少ないかもしれんが、交流をすることが悪い方向に働くことはないじゃろうて」

「ははっ、龍道さんには自由にやれと言われているんですが、外堀は埋められちゃってる感じですからね。どんな職業でも、夜月家所属にはなりそうですよ」

「夜月家所属で天岩学園出身。将来は安泰じゃのぉー。後は突き進めるとこまで強くなって見せよ」

「はい! 必ず最強になって見せますよ!!」


 俺は愛染さんに連れられて関係者入り口から施設の中へ入る。愛染さんはプロの決闘者の中でも伝説的存在と言っていいほど有名だったこともあり、すれ違う人全員が挨拶をして見えなくなるまで目を離していなかった。サインを求める人もたくさんおり、その全てに快く承諾してみんなを笑顔にしていた。

 引退された今では警察と協力して任務をこなしたり、ハイパーデュエルの解説役をしたりと多忙な人だ。その人気は今でも衰えることを知らないということを目の前で証明させられる。本当に、とんでもない人の弟子になったもんだな。


「どうじゃ、決闘場の裏側は? 学園のものとそこまで大差ないじゃろう」

「そうですね。トレーニングルームと言ったウォーミングアップするスペースがあるだけで、他は天岩学園と遜色ない気がします」

「それだけ天岩学園が凄いということなんじゃ。お前さんらは普段から良いところでバトルしてるということを頭に入れておくんじゃのぉー」


 プロが使っている決闘場と同じようなものが学園には数か所あるんだから、本当に凄いことだよな。改めて天岩学園の凄さと言うより、日本一の学園と言うことを認識させられたというべきか。


「今日は何名の方に指南されるんですか?」

「今日は三人じゃな。わっしが教えると言っても、既に三人は中堅ほどの力量がある。加治屋や遊馬には及ばんが、とても強い奴らじゃ。そら、見えてきたぞ」


 愛染さんがたどり着いた場所は実際に決闘を行う決闘場であった。一学生である俺が一生立ち入ることがあるか分からないプロの決闘場へ足を運べるとは思わなかった。言葉で表せないくらいに感動するな。


「愛染さん! おはようございます!」


 はきはきとした口調で、一人の陽のオーラを纏った青髪のお兄さんが勢い良く挨拶をする。それに続いてサイドアップにした黒髪の色白な女性と巨漢でたくましい男性が一斉に挨拶をする。


「おはようじゃのぉー、お前さん方。今日はよろしく頼むぞ」

「こちらこそよろしくお願いするわ。愛染さんに指導していただけるなんて夢かと思ったわよ」

「俺もだ。愛染さん、今日は本当にありがとうございます……ところで、そちらの男の子は?」

「ああー、わっしの連れじゃ。天岩学園の生徒でシングル手前ほどの実力があってのぉー、今日は何か得るものがあるんじゃないかと思って見学に来させたんじゃ」

「なるほどですね。私の名前は藤堂新とうどうあらただ。よろしく頼むよ」

「私の名前は早瀬詠羽はやせうたはよ。よろしく頼むわ」

「俺は沢渡玄太さわたりげんただ。よろしく」

「俺は天岩学園二年生の八雲隼人です。よろしくお願いします」

「よし、お互いの自己紹介も終えたことじゃし、早速お前さん方の希望を聞いていこうか。明日は試合もあるからのぉー」

「それでは、まずは私から。私の今の戦闘を見て、足りないところを教えて欲しいの。お願いできるかしら?」

「うむ、いいじゃろう……ちょうどいい、早瀬と八雲、二人で戦って見てくれんかのぉー?」

「え?」


 何を言い出してるんですか愛染さん。三人は愛染さん目当てで来られた方々と思うのですが……俺が相手でいいのだろうか。気の進まない固い動きで早瀬さんを見る。早瀬さんは目が合うとニコッと笑ってこちらに手を振ってきた。


「隼人、お前さんは戦いたくないか?」

「いや、そんなことはないですが……早瀬さん! 早瀬さんは俺とのバトルでいいんですか?」

「全く問題ないわよ。君、天岩学園でシングル手前の実力者なのよね? だったら、私の実力を見せる相手としては申し分ないわ」

「話は決まったのぉー。それじゃあ二人とも所定の位置に動くんじゃ」


 学園の時と同じように所定の位置まで移動する。いつもと同じような風景なのに、プロが戦っている場所に立っているという事実が俺の鼓動を早くさせる。俺は大きく深呼吸。同時に魔力を使って緊張した体を無理やり緩和させる。


「それでは始めの合図とともに開始する。五、四、三、二、一、始め!」

「こういうのは先手必勝って決まってんのよね。ということで、【廃墟の住人ゴーストウォーカー】」


 予想外。まずは、小手調べに素の状態での体術勝負になると思われたが、いきなりスキルを発動するとは。スキルを発動した早瀬さんの体は淡くなってどこか透き通っている。命令系や催眠系ではないのか。

 それはそれで不味いな。スキルは後出しが有利とはいえ、初見殺しで一方的な展開になることもある。相手が魔力を溜めるムーブをしなければ、こちらは様子見でいいか。今は相手のスキルを予想することに時間を割こう。


「流石は隼人、冷静じゃのぉー。じゃが、そうはいかんのがプロの決闘者じゃ」


 早瀬さんが右手と左手に魔力を凝縮。左手で数重視の魔力弾を放ちながら、右手に魔力を溜める。俺は全身防御で防ぎながら、早瀬さんとの距離を詰める。考える時間は与えてくれないってことか。そりゃそうだよな。相手はプロだ。何をされたらどう動けばいいか全部分かっている。

 俺は体術勝負を仕掛ける。早瀬さんもそれに応じる。俺は【不調で絶好調ダウナーズハイ】を発動。一気に身体能力と魔力を上昇させて脇腹を蹴り込む。魔力の集中防御でガードされる。固すぎる。いや、これは闇属性の弱体化。俺の攻撃力が弱まっている。それに、相手の体も放つ魔力弾も透き通っていて捉えにくい。蹴りが当たる予想地点と少しずれたことで威力が下がったか。


「いい一撃ね。なら、こっちもやり返さないと」


 早瀬さんが脇腹目掛けて蹴りを放つ。俺は腕と魔力の集中防御で守りを固める。


(重い!!)


 さきほどの俺の一撃と違って腕を使ってガードしているのに、ずっしりと体の内部に衝撃が響く。闇属性の弱体化。透き通った体による視覚情報の誤認。それがインパクトの瞬間を分からなくさせる。

 早瀬さんが続けてストレートをコンパクトに打つ。目で捉えては駄目だ。音と魔力の感覚で判断しろ。俺も相手のストレートに合わせてパンチを放ち、攻撃を相殺する。今度は芯を捉えた感覚があった。


「嘘! 二回目で実体をしっかりと捉えたの!? やるじゃない八雲!!」

「ありがとうございます!! はあっ!!」


 俺は仕返しとばかりに思い切り体の中心にパンチを放つ。バックステップで回避される。それを見越してパンチを放った手から魔力弾を放つ。早瀬さんが身体を横にずらして回避。そのまま距離を詰めて左下からフックを放つ。上体を後ろに動かし最小限で避ける。早瀬さんはジャブで牽制をする。俺は両腕を交差してガード。次の相手の一撃を見計ろうとしていた。

 しかし、異変に気付く。体が固い。まるで緊張状態のようだ。俺は必死に魔力で副交感神経を刺激。緩和に努めるも体の違和感が拭えない。体が思うように動かせなくなっている気がする。

 これでは次の重たい一撃をいなすことはできない……これが早瀬さんのスキルの能力。体が透き通るようになるだけではなかったか……だが、悪かったな。体が思うように動かせないってことは……不調ってことなんだぜ。俺が【不調で絶好調ダウナーズハイ】によって出力された膨大な魔力を体に纏う。


「なっ!? 何よこの魔力量は!?」


 突如として生まれた魔力の量に驚いた早瀬さんが後ろに後退……いや、上空に逃げた。俺は体に纏った魔力弾を右手に凝縮。特大の魔力弾を放つ。早瀬さんがさらに上空へ急上昇し回避。魔力弾を避けると軌道を戻して俺の元まで突っ込んででくる。


(ここしかないよな。【進んで戻れイレブンバックレボリューション】!!)


 俺のスキルによって反転した魔力弾が再び早瀬さんに襲い掛かる。途中で気づくがもう遅い。魔力弾が直撃……するはずだった。ところが早瀬さんの姿が忽然と消えた。狐につままれたような感覚に陥ったが、早瀬さんのスキルに見当がついた俺は【止まって動けグッドナイト・モーニング】を発動。俺より少し離れたところで魔力弾が止まる。俺が止まった魔力弾に向けて新たな魔力弾を放つ。すると、止まった魔力弾の中から早瀬さんが飛び出てきた。


「ちょっと八雲!! あんた一体いくつスキルを持ってんのよ!?」

「やっぱり魔力弾に隠れていた……いや、取り憑いていましたね。幽霊っぽい力と闇属性の力を持つのがあなたのスキルですね? そしておそらく、【恐怖】と言う特殊な状態を付与できる、違いますか?」

「……正解よ。本当にあなたシングル手前? シングル上位を相手にしている気分なんだけど……今の天岩学園に天王寺がいることを考えれば、全体的なレベルが高くてもおかしくはないか」

「これ以上は明日に支障をきたす。早瀬の今の実力は分かったから二人とも終わりじゃ」


 終わりの合図を聞いた俺は伸びをしようとしたが、体が言うことを聞かずブルブルと震えている。心臓の鼓動が早くなっている上にやけにうるさく感じる。これは長引けば厄介だったな。


「ねえ八雲、あなたもしかして藤堂と同じようなスキルを持ってる? 体調が悪くなると身体能力と魔力が跳ね上がるような感じのスキル」

「良く分かりましたね。というか藤堂さんも同じようなスキルを持っているんですか?」

「持ってるよ。俺のスキルは【深夜で徹夜で超元気アブノーマルハイテンション】。自分自身に状態異常を付与できると共に、状態異常の深刻さと数に応じて身体能力と魔力が跳ね上がるんだ。このスキルをものにするためには相当苦労したよ。その強さ、八雲くんも相当頑張っただろう?」

「はい、大変でした。俺の【不調で絶好調ダウナーズハイ】は体調が悪ければ悪いほど身体能力と魔力が跳ね上がるという能力でしたから。どうやって不調になればいいのか悩みましたよ」

「スキルを使って自分で不調になれないのは厳しいね。その分出力が高いということか……うん? だったら八雲くんはどうやって不調になっているんだい? 【恐怖】状態の前から【不調で絶好調ダウナーズハイ】は使っていただろう?」

「俺は魔力を使って自ら緊張状態になることができるんですよ。緊張していつも通りの力が発揮できなければ不調と言うことですから。緊張と緩和を上手く使い分けて、スキルを発動しています」

「なるほど……緊張か。そいつは頭に入れてなかったな。緊張も状態異常の一つと捉えればスキルを発動できるか。八雲くん、ありがとう!! おかげで強くなれる気がするよ!!」

「いえいえ、お役に立てて良かったですよ」


 ……当然のことながら愛染さんは俺と藤堂さんのスキルを知っているよな。俺の戦いを実際に見せることで緊張状態での戦い方を示し、藤堂さんに教えようとしていたのか。これは一杯食わされたな。


「藤堂は今言ったように、緊張状態での戦い方を身に着けて見せよ。そして早瀬。お前さんのこれまでの戦いをログで見たが、初見殺しに弱すぎる。今のも八雲が早瀬のスキルの能力を初めから知った状態で戦っていれば、ドンピシャのタイミングで魔力弾は直撃していたじゃろう。お前さんは自分のやりたいことを押し通したい思いが強すぎて、相手が何をしてくるかへの警戒が薄い。じゃから初めて戦う相手には必ず劣勢になるし、新たなスキルや技を身に着けてきた相手には負けるんじゃ。その分、体術は完璧で知り尽くした相手には滅法強いがのぉー。それが今のお主の実力を見たわっしの評価じゃ。戦う前に相手の情報をもっと把握しようとしておくんじゃのぉー。お前さん、面倒くさがりでそこら辺をおろそかにしとるじゃろうが」

「分かりました!! ありがとうございます!!」

「ぐっ!! 返す言葉が見当たらないわ……」

「二人はこんなものかのぉー。沢渡はどうしたいんじゃ?」

「俺は体術主流なので、愛染さんの体術を見せてもらえばと思っています。さっきまでは俺と戦ってほしいと思っていましたが、八雲と戦っていただけませんか? そっちの方がいいものを見れる気がするんです」

「いいじゃろう。わっしも八雲に体術の何たるかを教えたかったことじゃしなー。見て覚えたいというのであればそれはそれで構わんぞ。八雲は大丈夫かのぉー?」

「はい大丈夫です。よろしくお願いします!」


 まさか、現役のプロの方だけではなくて、愛染さんとも一戦交えることになるとはな。愛染さんが現役で全盛期と言われていた頃は、今の夜月と同等かそれ以上に強かった。日本で誰が一番強いかと問われれば、愛染さんの一強だった程に……だからと言って負けてやるつもりはない。おそらく打ち合いによる相殺は通じない。基本的に守りつつ、とある一つの勝ち筋に託す。


「それでは始めの合図とともに開始するわ。五、四、三、二、一、始め!」


 まずは魔力弾を生成。魔力弾を使った遠距離攻撃をしようとする。しかし、


「それは無理じゃろうて」

「やっぱ反則だろう!!」


 スキルで目の前に瞬間移動してくる愛染さん。愛染さんの前では遠距離戦は不可能。ワープによって強制的に近距離戦に持ち込まれる。愛染さんが挨拶代わりと言わんばかりにジャブを打ち込む。俺は両手で受けきるもすぐに押され始める。何だこの威力は。本当にジャブの威力なのか。一発一発が巨大な岩のように重い。体全体がのしかかってくるような感覚。いや、体全体を使っているのだろう。

 瞬発力、柔軟性、敏捷性。これが全てを極めた人間のパンチか。最小の動きで最大の威力を。あまりにも格が違いすぎる。


「受けてばっかじゃ勝てんぞ隼人!!」


 隙も予備動作もない無駄をそぎ落とした右腕のストレート。俺は全力でバックステップをして後ろに回避する。だが、後退に合わせて瞬間移動で距離を詰められる。愛染さんの左腕のストレートが俺に襲い掛かろうとした……ここまでは計算通り。俺は防御を捨てて一歩前に出る。

 一歩前に出ることでパンチの威力が最大になる瞬間をずらし、パンチの威力を抑える。パンチが当たる腹部を魔力で集中防御。それでも防御は突破され、致命的なダメージを受ける。痛い、痛い痛い痛い痛い痛い。意識が飛びそうになるほどの強力な一撃……けど、これでいい!!


(【不調で絶好調ダウナーズハイ】、【利益で不利益ディスアドレナリン】……発動!!!)


 ダメージを受けた一瞬体が強張る。そして、致命的なダメージを受けたことで最大出力の【利益で不利益ディスアドレナリン】を発動。俺は鋭い目をぎらつかせ、全ての魔力を右手に凝縮させる。シングルにも余裕で届くほどの最初で最後の一撃。インターバルがあることから連続のワープはできない。必ず当たる!!


「はああああああああああああああああああっ、そいやああああああああああああああ!!」


 場内を揺らすほどの怒号に合わせて愛染さんの顔が鬼の形相に変わる。魔力が一瞬で膨れ上がり、両手に凝縮する。腰を落とし、体全体に力を入れる。俺の最大の一撃は……重ねた両手によって受け止められていた。


「……駄目だ。俺の負けです」


 俺が両手を挙げると、倒れそうになった俺の体を愛染さんが受け止めた。


「隼人……今の一撃、誠に素晴らしかった!! この歳になって血が騒いだわ。一瞬だけじゃが、現役の頃の力が戻ったのぉー。良くやった!! 天晴れじゃ!!」

「す、すげぇーー!! 今の愛染さん、現役の頃の【鬼人オーガ】の愛染さんだった……本当に凄いや!!」

「やはりいいものが見れると思っていたが、ここまでの戦いが見れるとは思わなかった……!!」

「これよこれ!! やっぱり戦いって痺れるわ!! これがあるから止められないのよ!!」

「ははっ、ありがとうございます……でも、悔しいですね。完璧にダメージを与えたと思ったんですが」

「わっしの全盛期を知っておるじゃろう? プロの決闘で日本一になった男じゃ。もっと自分を誇るがよい」


 俺は力を入れなおして自分の力で立つ。これが元最強の男か。この強さをいずれ超えていかなきゃ、帝人先輩には勝てない。そこまで強くならないといけないということが、本当に……楽しみだぜ。


「それにしても八雲くんは何者なんだ? 誰か関係者に有名な人でもいるのかい?」

「ああ、父さんが元プロの決闘者なんですよ」

「プロの決闘者? 一体誰よ?」

「ホークって言う人です」

「「「えっ?」」」

「うん? どうかしましたか?」

「ホークって、あの仮面男のホークなのか!?」

「はい、そうですよ」

「「「……うおおおおおおおー!!」」」


 途端に目を光らせた三人に詰め寄られる俺。どうしたんだ、一体どういう状況だ!?


「愛染さん!! これは一体!?」

「お前さんの母親も言っていたが、父親について本当に何も知らないんじゃのぉー」

「と言いますと?」

「こやつらの世代にとってホークは英雄的存在じゃ。今の世代はホークに憧れてプロの決闘者になった奴ばかりなんじゃ。厄介なホークオタク達の火をつけてしまったのぉー。まあ、父親を知るいい機会じゃ。治療をしながら質問攻めにあうといいじゃろうて」

「なんだって!? ちょっと、俺怪我してるから、みなさん落ち着いてくださいーーー!!」


 その後、もういいだろうってくらいに質問攻めにあった俺。心身共に疲れ果てた俺は、ホテルに帰ると全身から力が抜けるようにベットへ倒れこんだ。けれども、その疲労感がとても心地よく、いつかの遠い記憶を呼び起こさせる一日となった。 

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