帰宅部
帰宅部
管弦楽部に対して、他の部活の活動への取り組み方を知ったとき、正直いって唖然とするものがあった。
「これでは部活をやるという意思が感じられない。私はもう部活へは出てこない」
管弦楽部を辞めてから科学部に入った二年生の一学期、顧問は最初からそう言い放った。
科学部には四十人ほど部員がいたが、みんな幽霊部員となって、卒業のとき、顔を覚えている部員はわずか四名だった。
その四十人の部員を前に、まず顧問である教頭は紙を配って、「これから科学部でやりたいことを紙に書け」と言った。俺は「部室の実験機器を使って、色々な科学実験をやりたい」と書いた、しかし教頭は集まった紙を全く読ますに老いた半眼で言った。
「お前たちの書いたことを全部読んだが、部活動をする意欲というものが全く感じられない。これでは部活などやる意味は全くない」
だから教頭は、この一日を限りに部室には来ないと。教頭のこの宣言に白い空気が漂った。全校生徒が必ず部活に所属する校則の学校で、教師、しかも教頭が率先して部活動を放棄している。支離滅裂とはこういうことを言う。
帰り道、これからの学校生活を考えた。部活が出来なければ何をやりに学校へ来るのか。そんな空虚感を感じていた。
管弦楽部で全国最高位を狙う、そういうスタイルを身に着けてしまった俺が、いきなり科学部みたいなところへ突き落されて、心のエンジンが空回りする。
「みんな、天体観測をやるから、夜になったら学校へ来いよ」
科学部の部長は必死になって部活を盛り立てようとした。しかし日曜日の夕暮れ、夕食のあとに制服に着替えて、暗くなりかけた道を登校してみると、途中で雨が降ってきた。
それで全てはおしまいだった。俺は帰宅部の部員の一人になった。




