表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/49

いちごとさとこ

いちごとさとこ


 俺が消えた家では、俺のために母が買ってきたイチゴが誰にも食べられずにテーブルの上に置かれていた。

「ああ、なるほど先生。イチゴと一悟をかけたんですね」

 里子はディスプレーにアップで映している、でかでかと映るイチゴの赤い光を顔いっぱいに受けた。そしてどういう意味で一悟なんですか?と聞いてきた。

「この子は大体十五歳くらいかなと最初に思って。一に悟る、悟りと言う漢字は五に心と自分の意見を発言できる口が入っている。それとこの子が、この齢で一つでも悟っているものがあるのかな?と思って一悟にしたんだけれど」

「色々考えたんですね」

 じゃあ、あたしは何で里子なんですか?と俺の顔をちらと見る。俺も里子の顔を見た。眉に海苔を張ったような、鼻もいささか低い顔。途端に里子の顔を指さして、俺は大声を上げた。

「この顔はどう見ても里子じゃないか?」

「えー? 何でですか?」

 抗議するように里子が不満の声音を出すから、何でって、いかにも昭和時代にありがちだった顔だろ?と俺が言うと、あたしはそんなに古臭い顔なんですか?と里子も言い返す。

「一応、あたしは平成生まれなんですけれど?」

「里子は里子。これはこれで可愛い名前だ。Y駅前で会った里子だから、あの街は俺の原点なんだ。いつでも帰りたい里のようなところだ。そこにいたお前は里子でいい」

「ええ?そうかなあ?そういう事で許されるものかなあ?」

 ふーん、と考え込んで里子は長い前髪を指でつまむ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ