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「おお〜!すごいね!何したのか後で教えてね!」
ドクターは傷を洗い終えて傷を包帯で巻き、レントゲン室に骨折の確認をしに行った。
レントゲンはあるのね。
もしかしたらこの部屋にないだけでエコーとかもあるのかもしれない。
程なく戻ってきて、レントゲン写真をシャウカステンに差し込み2人で確認したが、明らかな骨折はなさそうだった。
出血も止まってきていたし、皮膚も捲れてはいるが千切れてはいなかったので上手い具合に傷を覆って縫うことができそうだった。
機械を動かし始めたところでの事故だったので、ガラス片などが手に刺さる事もなく傷は酷いが比較的綺麗な状態だったのが幸いした。
ナムルさんは抗菌薬の投与と傷の処置が今後も必要になるかもということで数日入院すると説明を受けた。
ドクターがゆっくり話をしたいと迫ってきたので、次の休みにまた病院へくることを約束し、私は社長と帰路に着いた。
「いや〜、今日はほんとに助かったよ。
ありがとう。
あんな事故、起こったことがなかったから動揺しちゃって。
キヨコさんがいなかったらどうしていいかわからなかった。」
「いえいえ、昔取った杵柄と言いますか…
ナムルさん、早く治ると良いですねぇ。」
「そうだなあ…
気持ちも落ち込むだろうし、心配だな。
今日はもう退勤の時間だからこのまま家まで送るよ。
ゆっくり休んで明日からまたよろしく頼む。
今度ちゃんとお礼もさせてもらうから。」
家に着き、私はコーヒーを淹れて香りを深く吸い込みながら、前の世界のことを思い出していた。
フラッシュバックのように、以前の仕事の風景や出来事や職場の人たちが頭を掠めていく。
ミイちゃんがお出かけ中のようで、部屋に1人だったから余計にか、なんとなくざわざわして落ち着かない気持ちが収まらなかった。
もう少しこちらの医療について勉強させてもらい、手伝えることがあるなら手伝った方がいいのかも。
いやいや、余計なことはしない方がいいんじゃないか。
私はこの世界でどうやって生きていくのが『正解』なんだろうか。




