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しばらくの間、ぼんやりとしながら取り留めのないことを考えていると、コンコンとドアがノックされた。
ミイちゃんかな?とドアを開けると、ユユラさんと双子が泣きそうな顔で立っていた。
「キヨコさん!工場で事故があったって聞いたけど大丈夫だったの!?」
ユユラさんが私の両手を掴んで前のめりになって聞いてくると同時に双子が泣き出す。
「おねぇちゃーん!死んじゃやだーー!!!」
「いやいや、見てみて。落ち着いて。
私は元気だよ?死んでないよ??」
しゃがんで双子の頭を撫でながら笑って見せると、双子はもじもじしながら「本当だ」と小さな声で呟いている。
「心配してくれたの?ありがとう。優しいね。」
「血がいっぱいだったって聞いて…」
「血がいっぱい出ちゃった人もいたけど、その人も大丈夫だったんだよ。」
「そうなの?よかった…」
双子が安心したように笑ったので、私はみんなを家の中に招き入れた。
ユユラさんにはカモミールティーを、双子にはホットミルクを用意して、お茶請けにと一昨日作った卵ボーロを皿に盛った。
実は私は子供の頃から卵ボーロのホロホロした食感と優しい甘さが大好きで、クッ◯パッド仕込みのレシピを暗記しており、こちらの世界に来てからも何度か作っている。
泡立てた卵白に粉糖と片栗粉を混ぜて焼くだけで簡単なのだが、ひとつひとつ手で丸める作業が結構大変なのだ。
素手で丸めると手垢がつきそうな気がするしプラスチック手袋を使うと綺麗に丸まりにくい。
ただ、魔法が使えるようになってからはエア手袋状態なのでその作業がぐんと楽になった。
そもそも子供用のお菓子なので神田家にも都度お裾分けしているのだが、双子の大好物になっているらしい。
双子は嬉しそうに卵ボーロを頬張っている。
「疲れているだろうに、逆に押しかけて申し訳ない事をしてしまったわね。」
ユユラさんが本当に申し訳なさそうに言うものだから、私はつい今しがた考えていた取り留めない話をしてしまった。
相談したいわけでもなく、ただ吐き出したいだけだとわかっているのに、自分勝手でどうしようもないと思っているのに、言葉が止まらなくなってしまった。
やっぱり今日はちょっとおかしい。
ユユラさんはそれをわかっているかのように、時々相槌を打ちながらただ静かに聞いてくれた。
ああ、この世界の人達はこんなにも優しい。
だから出来ることをしていなかった自分に苦しくなったのか。




