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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第2章

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第12話 銀の街 後半 ①

「いつからどうやってきた」

 ベッドの上で足を組むジャンヌは見下ろす。アキセは膝をついている。

「このマントと透過する道具を使って、探していました。ちょうど部屋に連れ込んだところだったので、後を追い、着替えまで見物していました」

 枕を投げ、アキセの顔に当てる。

「最初からしかも、着替えさせられるところまで・・・」

 呆れる。拳に怒りを込めている。

「そんなに怒るなって。状況を読め~」

 陽気にアキセは言う。

 本当に怒りたいところだか、今は怒りを抑える。

 アキセが着替えから見ていたということは。

「話訊いていたでしょ」

「話って?」

「とぼけるな」

 声を強めに言う。

「最初からいたんだから聞いたに決まっているだろ。何?知られたくなかったのか」

 こいつには知られたくなかった。

あの物音が立てたのもアキセだろう。処女に反応しただろうか。

 一番に落ち込む。

「あのロリコン司祭とは、根深い関係のようで」

「これ以上詮索したら殺す」

「うわ、こわ」

 いや、アキセを懲らしめる暇がない。ここは。

「さっきの話を怒らない代わりに。あんた。この首輪外せる?」

 首輪を指さす。

 アキセの魔力さえあれば、取れないことはないが。

「できないことはないと思うが」

 アキセに押し倒される。

「おまえ、それ取ったらどうするつもりだったんだ」

 やはり素直にやってくれないようだ。

「だったら、俺が当ててやろうか」

アキセは脅しつけるように口調を強める。

「その首輪を取ったら、まずロリコン司祭を殺しに行く。で、聖女をどうにか助けたいと言ったところだろ」

 いつもと違う。ふざけることもなく、からかうことなく、真面目な顔で見つめてくる。

「何。心配しているわけ」

「かもな」

 素直に言う。

「おまえのことだ。何を言っても聞かないから、一つ提案する」

――うわ、なんだろう

「俺がおまえに協力すると言ったら、一緒に逃げてくれるか」

 思わず目を丸くした。

 何を言うかと思えば。

「どういう風の吹き回し」

 鋭い目つきで返す。

「どんなに言っても話を聞かないだろう。それに俺もあのロリコン司祭に用事がある」

「私の詮索のためならしない」

「違う。俺をここに連れてきたことだ。魔術師なら速抹殺か、見せしめのために連行されるのもあるが。あとは拷問で情報を訊く」

「あんた。宗教に目をつけられることしたの」

「知るか。いろいろとやっているが、宗教にだけは関わっていない」

「どうだか」

 疑いの目で見つめる。

「どっちにしても一回は逃げた方が賢明だ。相手の居場所が分かれば、いつでも襲える。それにこんな『光』の濃いこの街に長居したくないんでね」

 アキセの言っていることには一理あるから、腹が立つ。

 けど、冷静に考えても、作戦無しで敵陣一人突っ込むようなもの。結果が目に見える。確実にジル殺害と聖女を救出させるには、アキセと協力するしかない。

 だか。

「協力するにしても条件付きでしょ」

「お分かりで」

 悪意のある笑みを見せる。

「俺は救出、協力、ロザリオをわざわざ取り戻したんだ。三つも要求する」

 ロザリオまで。

「3つも・・・」

 何を要求するのやら。

「期間中は、おまえを助けるんだ。俺も助けてくれよ」

「は・・・それなら・・・」

 死んではこっちも困る。助けるくらいならまだ我慢する。

「あと俺の名前で呼んでほしい」

「は?」

「俺の名前で呼ぶとき、殺意込めているじゃないか」

「それくらいしか言いたくないからだ」

「いいじゃねえか。名前呼ぶくらい簡単だろ」

 簡単じゃない。

「嫌そうな顔をするなって」

名前呼ぶくらいなら我慢する。我慢する。

「で、最後の3つ目は?」

 呆れながら聞いてみる。

「お前を抱かせろ」

「やっぱり・・・」

「お前から聖女を奪ってやる」

「意味分かってる」

「分かってる。それだけの取引をしているんだ。俺を動かして見せろよ」

 アキセが唆す。

腹立つ。調子に乗るな。

 アキセを動かすにはこの条件を呑むしかない。

「分かった。けど、最後のは、決着つけてからでいいかしら」

「そのくらいしか時間は取ってくれないだろう」

「ふん」と不機嫌に返す。

「よし」と嬉しそうにアキセは体を起こす。

「だったらまずその首輪から外すぞ」

 妙にウキウキしていないか。

 ジャンヌも起き上がる。

 アキセは首輪に手を触れる。

「どさくさに紛れてキスしたら、殺す」

「前払いとして」

「いいからやれ」

 ドスの入った声で返す。

「たく。本当に忘れるなよ」

 首輪に手を触れる。

「力を使うなよ」

 アキセが集中に入った。

 首輪を引っ張れば、首を透き通っていく。

 首輪はもうアキセの手に持っていた瞬間、アキセが急に膝をつく。しかも息が切れている。

「そんなに疲れたの」

「だから、いくら抗体があってもこんな濃度高めな『光』の中で結構きついんだぞ」

 アキセの奪う魔力は、『光』もそうだか、魔力や魔女のタタリも奪えていた。改めて見ても魔女同等に末恐ろしい。

「さて。これで自由の身だ。お前の復讐を付き合うために一度は逃げましょうか」

「そうね」

 あまりのれないけど、現状それが先決だ。

 動きやすく、裾を短く破く。

「あ~あ。修道服もよかったのに」

 返すのも面倒くさかった。



「なるほど話に訊いた通りだな」

 ジルは、ジャネットと呼ばれたジャンヌの首輪に仕掛けたカメラから二人の会話を聞いていた。

「国から出るようなら連れ戻しなさい。足一本と視界までなら許す」

 ヴァルキリーに命令する。


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