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第2話 石蛇の魔女⑤

 日差しが顔に当たったことで目を開ける。

「どこ?」

 ジャンヌはどうやらどこかの部屋にいるらしい。ふと横に寝転ぶと目の前でアキセが寝ていた。目が点になる。

「お・・・いい胸が・・・」

 アキセが寝言をいいながら、手を伸ばし、胸を触る。そこで自身が服を着ていないことに気付く。

 怒りと羞恥を感じながらアキセを思いっきり蹴り飛ばし、ベッドから追い出す。アキセは壁に当たり、ずり落ちる。

「イってえ~何をするんだ!」

 ズボンだけはいているアキセは、頭をさすりながら起きる。

「それはこっちのセリフだ!隣に寝て・・・」

 顔を赤らめ、布団で体を隠しながら、アキセをにらみつける。 

「あんたまさか・・・」

「おいおい、変な誤解するなよ」

 アキセは立ち上がり、壁に寄りかかる。

「毒蛇で死にかけているところを助けたんだぜ。それに俺がいなかったら地面にたたきつけたところだったぞ」

 足を見れば、包帯を巻いてある。手当したのは本当のことだろう。それに屋根に落ちたこともアキセに助けられたのかと落胆する。

「だからって、裸にさせるのはどうなのよ」

「他にも怪我の箇所があると思ってさ」

「本当は?」

「裸を見たかったから」

 枕を投げ、アキセの顔に当てる。

「服を返せ!」

 枕がゆっくりずり落ち、アキセの顔を出す。

「そこにある」

 アキセが指を指した先には、ベッドのすぐ横にあるテーブルの上に置いてあった。

「着替えるから、あっちに行ってくれる」

「はいはい」

 アキセは、体を反対に向く。

「いや、もっと奥に行ってくれる」

「覗きはしないって」

「いいから行け」

「信用してくれないな」

 視界が見えなくなるほどアキセは奥に行ってくれた。

「ここどこよ」

「俺の隠れ家の一つだ」

 隠れ家を作るとは抜け目のない奴だ。

「なんで助けたわけ」

 ジャンヌは、着替えながらアキセに聞いてきた。

「まだ死んでほしくなかったし。あの騒ぎの後、倒れている君が町人に何されるか分からなかっただろ。運が良ければ、治療してもらえたかもしれないけど・・・」

 確かにそうだ。

 聖女は、魔女を退治している。

 その結果、世間では聖女は、人類の味方だと思われている。だか、人間は心が変わりやすく、時に敵意をむき出す。

ある地域では聖女は崇めているところをあれば、聖女を魔女と等々に殺されるところもある。昔、聖女と人間と共生していた時もあったが、戦争で人間から裏切られたと聞いている。それ以来人間の関係は、途絶えている。

 だが、決して人間を見捨てたわけではない。魔女は人間を襲うこともあり、守る理由があるためからだ。

結局は人間と聖女は切っても切れない関係になっている。

「なあ。着替え終わっただろ。そっちに行ってもいいか」

「いや」

 着替えは終わったが、来てほしくない。

ち、ダメかと奥から小さく聞こえた。

「まさか聖女があの毒でやられるとはね」

 あれは陰で笑っている。

「つまり『呪い』以外は効くってことか。聖女にも軟弱な点があるわけだ」

「うるさい」

 アキセの言う通りだ。

 聖女は、『光』を宿っている限り、『呪い』を浄化できる。だか、『呪い』以外による病気や毒に対しては効かない。それが原因で死んだ聖女もいる。

 つまり、聖女は万能ではない。まだ人間の部分が残っているってことだ。

いい加減この話を変えようとしよう。

「まあ、とりあえず回復したみたいだし。俺はもう行くわ。じゃなあ」

「え!?ちょっとまだ話が…」

 部屋の奥に行けば、アキセは消えていた。

「まだ肝心なところ聞き逃した…」

 どうやって毒を抜き取ったあの力のことを。


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