第10話 記憶の魔女たち③
ジャンヌは魔女を追いかけていた。
魔女たちは高く飛んで逃げている。
「飛べない聖女はバカー」
「追いつけない聖女は短足ー」
魔女たちは笑いながらさらに奥へと進む。
「この!」
少しイラ立ちしながらジャンヌは白い炎の刃を飛ばすが、魔女は素早くかわされる。
魔女たちはあざ笑っていく。
「たく!」
魔女を追いかけている内に広間に出た。
広間を中心にいくつかの通路がある。
ここで魔女が別れてしまってはたまったものではない。
今すぐにたたく。
その時だった。
向こうの通路から足音がした。その正体は、アキセ・リーガンだった。
「ジャンヌ!」
アキセが驚いている。
――こっちも驚くわよ
「なんであんたも・・・」
轟音がした。
「何!?」
狭い通路が破壊され、現れたのは、禍々しい巨大な生き物だった。
天井につくまでの大きさ。頭には髪の毛が所々生えている。巨大な目。ナメクジのような紫色の体で血管が浮かんでいる。体中にある気泡が割るたびに異臭を放つ。崩れた口に刻んだ歯の長さが乱れ、口から歯がはみ出る。上半身が巨大なせいが小さい足が引きずっている。
「なんでこんなのが・・・」
異獣。いや。魔力が宿っている。魔族か。見た目からして該当するものがない。何かを合成したのと違う。おそらく急性の魔族化。
慢性なら徐々に『呪い』への抗体ができる。しかし急性では『呪い』に抗体が老いつかず、死に至るか魔族化へと進行する。魔族化の場合、理性を失い狂暴性が高まる。
妙に人間のような跡が残っている。魔族は人間だっただろうか。
もしかして、あの実験をしていたのは。
「「何あれーキモー」」
ノノエとナナエがハモる。
「あんなの相手しなくないね。ノノエ」
「そうだね。ナナエ」
魔女たちは見つめ合ってから、「「じゃあ・・・逃げよう!」」とノノエとナナエは追いかけてきた道に戻る。
「あ!こら!」
ジャンヌは声を上げる。
「あの魔女どもか!」
アキセが歯を噛み締める。
今までに見たことがなく、怒っている。
アキセはジャンヌを無視して魔女を追いかける。
「おい!」
追いかけようとしたが、巨大な液体の塊が襲ってくる。ジャンヌは咄嗟に白い炎に包み、液体を浄化させる。
「ちょっと邪魔しないでよ!」
魔族は、魔女ほど苦戦はしないが、さっさと終わらせる。
ロザリオに纏った白い炎の波を放つ。
魔族は避けることなく、真っ二つになり、体が白い炎に包まれる。
「これで楽になったでしょ」
いつまでも分からないまま暴れるのも疲れるでしょ。
魔族は、黒く焼け焦げた。
さて、あと残るのは。




