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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第2章

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第4話  水鱗の魔女③ 挿絵あり

「結局、あんたと協力しなきゃいけないことが悲しい」

「まあまあ、ここは協力しましょ」

「こうなったのは、あんたのせいだけどね」

 アキセは、魔術で扉を壊し、部屋から逃げ出すことに成功した。ロザリオと指輪を探すため、ある部屋の前にまでいた。

 宝の部屋のようだった。金、銀、宝石が山のように積まれていた。

 どうやら使い魔たちは、光るものが好きらしい。

 この地域の水は、魔女たちの領域。その領域に入った旅人から奪ったのだろうと推測する。

 聖剣は自身の者でない限り、何も発動せず、ただの宝石になる。宝と思ってこの山の一部になっているだろう。

 鱗の女たちは、宝の山で眺めたり、着飾ったりしていた。

「ここで合っているの?」

「あ~ここからビンビン感じるぜ」

 アキセは契約している指輪の場所が分かるらしい。

 あの指輪は、様々なものを好きなだけ呼び出したり、しまったりできる代物。ちなみにこの指輪は、こうさくの魔女コルン・コボルドから盗んだ発明品の一つである。

「とりあえず指輪を見つけたら、エンジェライトをおまえにやる。それで回復できるだろ」

「なんでエンジェライトを持っているのよ。魔術の邪魔になるでしょ」

「あれは、こっそり君から『光』を奪っている分だよ」

「・・・」

 ジャンヌは無言でアキセをにらみつける。

「あ!使い魔たち、行ったぞ」

 ジャンヌは話をそらされたが、あとでしめておこう。

 使い魔である鱗の女が部屋から立ち去ったのを確認し、宝の部屋に入る。

「この山の中から探すのか」

 ジャンヌは肩が重くなる。

「まあ、俺の場合は、指輪と契約しているから。もう簡単」

 アキセが宝の山の中を探っていると。

「ほら、見つけた」

 指輪を見つけ出し、ジャンヌに見せつけながら、指にはめる。

 アキセは、手から小さな袋を召喚し、「ほらよ」とジャンヌに向かって投げる。

 ジャンヌは、両手で受け取る。中身を見れば、エンジェライトが入っていた。

「これで少しは戦えるだろ」

「まさか借りを作るために用意してるわけ」

 ジャンヌは凝視する。

「さ~それはどうかな?」

「ちなみにこのエンジェライトって私から…」

「早くロザリオを探しな。俺が見張っておくから」

 エンジェライトを見てあの話を思い出したので話したが、アキセは話を中断された。やっぱりあとで確かめよう。今はロザリオの探索が先だ。

 アキセからもらったエンジェライトの『光』を吸収し、体内に補充をする。

 それから時間を立つ。宝の山から手がかりなしで探すから、すぐに見つからない。いつ襲っても分からない状況にあるため、慌てずに冷静にいたいが、見つからないことにイラ立ちが少しずつ増していく。

「おい、まだか」

 アキセが呑気に声をかけてきた。

「ちょっと黙ってて!」と思った矢先に覚えのある触感に当たる。

 もしかしてと握り、宝の山から引き抜く。その握っていたものの正体が、ロザリオだった。

「見つけた!」

 やっと見つけたロザリオに感激したいところだが、妙な視線に気づき、横に転がるように避ける。いた場所には、水が飛んできた。 水が来た方向を向けば、鱗の女が敵意むき出しで、にらみつけていた。

 見つかった。

「ちょっと!敵、来てるけど!」

「え、マジで!」

「たく。ちゃんと見張ってよ!」

 ジャンヌは、その場にあった金貨を手いっぱいにつかみ取り、鱗の女に向かって投げる。

 鱗の女が金貨で気が向いている隙に下まで流れるように降りる。 

「行くぞ!」

 アキセも一緒に走り出し、宝の部屋を出る。

 鱗の女は、逃すことなく、追いかけてくる。

「咄嗟に逃げ出しちゃったけど、出口分かるの?」

 ジャンヌは走りながら、アキセに聴く。

「さっき魔術でルート調べたから、大丈夫。こっちだ」

 アキセの誘導に従って走り出す。たどり着いた先は、丸く広がった広場だった。透き通った壁から泳いでいる魚たちを見て、改めて水の中にいることを感じさせる。

「何!行き止まり!」

 後ろには、鱗の女たちが追いかけていた。先ほどより数が増している。

「ジャンヌ。時間を稼いでくれ!声掛けたら広場に走れ!」

 アキセは作戦があるのか広場の方へ走り出す。

「一人だけ逃げるなよ!」

 ジャンヌは、ロザリオに光の刃を作り、向かってくる鱗の女たちに対応する。

 さあ、仕返しさせる。

 鱗の女たちは、ジャンヌに向かって飛び掛かるが、ジャンヌは切り払う。一部の使い魔は、渦を巻いた水を出し、応戦する。ジャンヌは、かわしたり、ロザリオで水を切ったり、水の攻撃を防いでいた。

 『光』が消耗する一方だ。さっさと退散したいと思ったところで。

「ジャンヌ!」

 アキセの合図。

 大きくロザリオを横に振り、白い炎を鱗の女たちを包み込む。

 その隙にジャンヌは急いで走り出す。

 広場の壁に緑色の魔法陣が輝き、大きい竜巻が壁を通して、水の外へ続いている。

 この竜巻の中を通って、地上に出る算段だろう。

 あとはジャンヌが魔術を消えないように『光』を調整して脱出するつもりだったが、ジャンヌの背中から水がかかる。

 背中が焼けるような痛みが走り、その場で膝をつく。さらに背中にガラスのような鱗が刺さっている。

「おい!」

 アキセが叫ぶ。

 普段なら『光』の効果で『呪い』は浄化され、聖女には攻撃が効かないはずたが、水の相性が悪く、アキセからもらったエンジェライトだけでは浄化が足りなかった。

「あら、もうおかえり」

 その声にジャンヌの背筋に寒気が走る。振り返れば、女が立っていた。

 青く輝く短髪。体が青い鱗に覆われている。所々に長い布を体に巻いていた女だった。


挿絵(By みてみん)


「お姉さま~」

 使い魔の鱗の女たちは、顔を赤くなり、お姉様と歓喜の声をだす。つまり魔女が帰ってきたということ。

「私が帰ってきたところよ。この(みず)(うろこ)の魔女ペグ・パウラ―がせっかくおもてなししようと思っていたのに」

 ペグは不適な笑みを見せながら、少しずつジャンヌに近づく。

「もうこれで十分よ。」

 ジャンヌは冷や汗をかく。

「そうなの。これだけじゃ足りないんじゃないの」

 ペグは手を伸ばし、手の中からカラカラと鱗に音を鳴らしながら水をジャンヌに向けるが、突風が水を払い、ペグを襲う。

 その隙にアキセがジャンヌをかかえ、竜巻の中へと飛び込む。


 風が止み、魔女が顔をあげ、ジャンヌとアキセがいないことを確認する。

 魔女は、追えと使い魔に命令を出すが、壁に緑色の陣が浮かび、壁から抜けられずにいた。

「へ~。やるじゃない」



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