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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第1章

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第6話 ナリカケ 後半①

 アキセに腹をナイフで刺された。

 さらにアキセはジャンヌの腕を掴む。アキセと最初に出会った時と同じ状況。『光』を抜き出すつもりだ。そうはさせない。すべての『光』を奪われる前にアキセを突き飛ばすが、そのままナイフを引き抜かれてしまう。これ以上血が流れないように傷口抑えながら、座り込む。

「おい!」

 レオンが声を上げるが、木の陰から飛び出した人間に3人かがりでレオンの口を塞ぎ、体を抑えられる。

 それから人間が増え、取り囲まれる。よく見れば人間たちは虚ろな目をしている。死んでいる。いや操られている。

 アキセに刺され、レオンは捕まっている。最悪な状況だ。

「どうやら成功したようですね」

 男の声。人込みの中からタンガが前に出る。

「いい眺めです」

 見下ろすタンガににらみ返す。

 腹立たしい。

 この細々しい眼鏡男よりもアキセにまた騙されたことに腹立たしい。

 裏切ったアキセににらみ返そうにも、アキセの様子が少し違っていた。ナイフを握ったまま立っているだけだった。

 ――まさかこいつも

「いらっしゃいましたか」

 タンガが視線を変える。人間たちが道を開くと片目を髪で隠している女が現れた。

 紫色の髪と目。手首と肩に紐を結び、羽をつけたような長い振袖。片足が見える紫色のドレスを着ていた。

「こいつね。近くに現れた聖女って」

 見下す目。どうやら今回の主犯の魔女のようだ。

「作戦があるなら、事前に知らせてください」

「保険よ」

 魔女はタンガに冷たく言う。

「あんたがナリカケを作っている魔女か…」

 苦しみながら言う。

「さっさと殺しなさい」

 やはり話すつもりがない。

魔女は指示を出した。その指示はタンガではなくアキセだった。アキセは赤く染まったナイフを握ったまま、ジャンヌの元へ歩き出す。

 おそらくアキセは魔女の『タタリ』にかかっている。

 『タタリ』は、様々な災難を降りかかる。

 『光』で浄化されないように魔女の中で開発された術『タタリ』を『光』に届かないほど相手の体内に入れられる。『タタリ』は魔女と繋がっているため、魔女が消滅しない限り消えることはない。魔女によっては、対処法もまた変わる。ただ確実に『タタリ』を消滅するには、直接『光』で浄化するし、魔女の繋がりを絶つ。

アキセは意思で行動をしていない。だとしたら。いや。これだけはやりたくない。絶対にやりたくない。

 考えている内にアキセが近づいてくる。

 もうやるしかない。

 アキセはナイフを持ち直し、膝をつき、ジャンヌに近づいた時だった。

 アキセの顔を近づけようとしたが、唇に指が当たる。

「サプラ~イズ」

 アキセがニヤッと笑う。

 頭が一瞬真っ白になった。

はあああああああああああああああああああああああああああああああああああ。 

 思わず声を出しそうになった。

「あんた…」

 ジャンヌは顔がひきつる。

「言いたいことがあるだろうが。あとで!」

 アキセは銃を取り出し、後ろへ打ち出す。弾はタンガの目に当たる。唸り声を上げたタンガは、痛む目を手で押さえ、膝につく。

魔女は、アキセが正気に戻っていることに驚いているのか、動揺している。

「おまえ、手中に収めたはず…」

 魔女は悔しそうににらみつける。

アキセは立ち上がる。

「さあ?どうしてでしょうね!」

 すかさず打ち出す。弾は魔女の顔をかすり、さらに後ろにいるレオンを封じた男の肩に当たり、衝動でレオンから離れ、レオンの口が空く。

「リーフ!」

 唱えた途端、周囲に風が吹き荒れる。周囲の人間が吹き飛ばす。

 レオンは、エルフ語で詩いながら駆け寄ってくる。風はさらに吹き荒れ、ジャンヌとアキセと共にその場を去る。


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