第4話 魔法少女⑤
「どこに向かうつもりだ?」
ペルチェは、巨大なくまのぬいぐるみからジャンヌの動向を見ていた。
ジャンヌが走った先には村があった。
ジャンヌは火が着くより早く村に着く。
村人たちは、火事に気付いていたのか、逃げ回っている。
「『呪い』でできた火なら消せるはず・・・」
炎が徐々に村に近づいていた。
ジャンヌはロザリオに白い炎で迎え打とうとした時だった。
空が暗くなり、雨が降ってきた。
「雨?」
ジャンヌが空を見上げると、雲にしては距離が近い。この村だけが雨が降っている。自然で起きたものではない。
しかもジャンヌは濡れていない。
「あの魔女か」
この雨は、ペルチェによって作られた『呪い』だった。ジャンヌから出る『光』に浄化され、濡れずに済んでいる。さらに器用なことに村人たちに『呪い』の影響を与えないように調整している。
「一応、口だけじゃないのね」
ジャンヌは呟く。
あの魔女が作った雨によって、村まで火が届かずに消火した。
村人は、聖女の救済だと思われたが、偶然だと言いはった。それでも村人はジャンヌを崇めていた。長居するにも面倒臭くなりそうだったので、すぐ村を出た。
結局ペルチェとアキセは消えていった。
ペルチェはすぐ消えてよかったが、アキセは痛めつけたかった。
ジャンヌは、悔やみながら森の中を歩いている時だった。
「見つけた!」
肩が急激に重くなった。
「今度は何よ。破壊魔」
振り向けば、魔法少女の姿をしたペルチェが杖を向けていた。
「何その言い方!またここでやってもいいんだぞ!」
ジャンヌは頭を抱える。
「あんた…本当に悪党なわけ?」
「まだそんな…」
呆れて言う。
「なぜ助けたのよ。悪党なら見捨てるはずよ」
「そんな極端な…」
ジャンヌは時代遅れの考えに呆れ、頭を抱え込む。
「あんたね。あいつに踊らされていたのよ!」
「はあ?あいつって誰よ」
「あんたを騙した男よ」
ジャンヌは、アキセとの関係をストレス発散するようにペルチェに吐き捨てる。
その結果。
「あいつ。悪者じゃん」
「そうよ。さっきから言ってるでしょ」
「え、何。あいつに踊らされていたってことなの」
「そうだけど」
「許さない!正義の鉄槌で成敗してやる!」
ペルチェは復讐に燃え、行方の知らないアキセを追いかけたのだろう。このまま退治してほしいと聖女でありながら魔女に願った。
「…まあいっか。誤解は晴れたし」
アキセに関することはおおよそわかってきた。
ただ魔族の血の正体はいまだに分かっていなかった。




