第1話 襲撃②
「この先にいるんでしょ」
濃霧の森の中、ジャンヌとアキセが歩いていた。
「この山を越えた廃墟の屋敷にいる。しかも敵は数人いる」
「敵地に向かうなら、この辺も何か仕掛けてあるんじゃ・・・」
「それも調べた。少し先に罠があるくらいだ」
「もう少し作戦を練りたいところだけど。いくらコルンの発明品があるとしても」
「分かってる。俺だって情報を集めたい。魔術だとバレるし、コルンの発明品でも遠距離で済むものがないんだ。だから。もう少し・・」
急にアキセの顔つきが変わった。
「何か来るぞ」
アキセは銃を召喚する。
ジャンヌはロザリオを構える。
「罠がないじゃないの」
「確かに罠はなかった」
これはウソをついていないようだ。
向こうから獣が迫ってくる。
人が乗れるほどの大きい黒い狼だった。
「ケルベロス!」
しかも数体。
ケルベロス。魔族化した狼。
3つの頭を持つ黒い狼。二つの頭を分離し、襲撃することもあるので、魔獣の中でもかなり厄介。
「ケルベロスなんて一言訊いてないんだけど」
「おかしいな。この周辺にケルベロスが生息していないはずだぞ!」
「操られている?」
「ケルベロスレベルだとかなりの魔術師だと思うが」
ジルが魔術を。魔術を扱っているとこは見たことがない。だとしたら、ジルの元に魔術師か、考えたくないが、魔女と組んでいる。
その時ケルベロスの2つの頭が胴体から分離し、宙に浮いて迫ってくる。
ケルベロスなら魔女ほど苦戦はしない。すぐに終わらせる。
「一発で終わらせる!」
ロザリオで白い炎を纏った時だった。
アキセが急に3時の方向へと飛ばされる。
「たく!」
白い炎で払ってもまだケルベロスを燃やす。
アキセと離れてしまった。
「クソ。離れた」
ジャンヌは木陰で様子を見ていた。
ケルベロスは退治したが、あれで全部とは思えない。ケルベロスが操られているなら、もうこちらの行動はバレたかもしれない。
アキセと聞いた情報と違う。ひとまず引くしかない。
そういえば、連絡がとれるペンタントを持っていたんだ。
早速使うしかないかと思った時だった。
背後から気配。でもこれは、魔獣ではない。人。
「おい」
思いっきり振り返って殴る。
「あ」
アキセの顔を殴ってしまった。そのままアキセは尻もちをつく。
「あんまり謝りたくないけど、ごめん」
一応組んでいた。
「・・・」
アキセが沈黙する。痛かったあまりに声を出せないようだ。
「なんでもかんでも殴りかかるな」
アキセは少しキレ気味に言う。
「間際らしいことするからでしょ」
「たく」
アキセは切れながら立ち上がる。
「一度引きましょう。ケルベロスが操られているなら、バレているかもしれない」
「そうだな。こっちだ」
アキセが歩き出そうとした時だった。
アキセが急に指飾りを召喚し、9時の方向に縦一線に引く。
一線は横に広がり、光の盾が作る。
光の盾が何かにぶつかる。
アキセは後ろへ距離を取る。
ケルベロスだと思ったが、ウェズボードに乗ったアキセだった。
「てめえ。ナニモンだ」
もう一人のアキセが睨みつける。




