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エピローグ

 吾輩は人である。

 名はホモ・サピエンス。


 脅威は過ぎ去った。


 ピーチは配下に手配して堕ちた駆逐飛空艦、奇城 茨魏魏ヶ島(いばらぎおにがしまを鹵獲、すみずみまで探索し、大判小判などをざくざくと運び出している。


 そんな中、祝勝会をしようということで、魔王リナや聖女ピーチを中心とした面々が奇城 茨魏魏ヶ島(いばらぎおにがしま内の円卓がある広い部屋に食事などを持ち寄り集まることになった。


「――で、なんであんたらもいるんですかねぇ?」


「はん? あの程度で魔王が死ぬわけがないだろう?」


「はいはい、ジャックちゃん。負けたのだからいがみ合わないの!」


 そこには、魔王の面々もずらりと集まっていたのだ。


 周囲の聖女ちゃんたちも目を丸くして驚いている。


 そりゃそうだ。


 さっきまで戦っていた連中が親しく話しているのだから。


「ちゃ、茶番すぎる……」


 そんなことをつぶやいた吾輩を、魔王ベルは不思議そうに見つめていた。


「何を言っているの? あのハロウィンの方がよっぽど茶番じゃない。この奇城 茨魏魏ヶ島(いばらぎおにがしまで襲撃していなかったら、今頃魔王リナとか人類側についていると思われずに実はスパイだったとか言われかねないじゃないの?」


「そ、それはそうかもしれないが……」


「ね? ソフィー! あなたもそう思うよね?」


「ん? 何がぁ?」


 ソフィーと呼ばれた女性は持ち寄られた食べ物に夢中のようだ。


 ソフィーは色欲之魔王たる魔王エディプスの参謀だったはずだ。


 もしもソフィーが、大陸南部の魔王軍の侵攻を食い止めた近代魔術の祖で英雄のソフィー・ヴァイオレッタその人であるというのであれば、魔王たちはここ大陸の北部だけでなく大陸南部でも盛大な茶番を行っていたことになる。


「やっぱりわたくし、ここにいてもいいのかしら?」


 大聖女となったピーチのつぶやきに、吾輩も同じことを考えた。


 彼女が伝説の英雄ソフィー・ヴァイオレッタかどうかは、《鑑定》すれば一発で分かるのだが、とても怖くてできない。


「――で、貴方たち、式はいつにするの?」


「え??」


「いや、あなたたち婚約者どうしでしょう?」


「あー。そういえば……」


 吾輩がぽりぽりと頭をかくと、ピーチは顔を赤くしているのに気づいてしまった。


「どうか――、結婚してください――なーんて言ったら君は断るかい?」


 吾輩は改めて尋ねる。


「えーっと、それは……」


 脈があるのだか無いのだか分からないが、吾輩はとにかく押してみることにした。








 俺たちのおっぱいは、これからだ――


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