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15.怪しまれても問題無いよね?

《side桜田美春》


「……うぅん。でも、やっぱり……」


おかしい。


「いや、これかしら?……で、でもこれでも……」


何かがおかしい。


「これなら」

「ねぇ。お姉ちゃん」


「っ!?な、なななな、何!?」


やっぱりおかしい。

私が呼びかけるとお姉ちゃんは肩をはねさせ、まるで私に気付いてなかったとでも言うように驚いて見せた。いつもなら私がここにいることなんて分かってて、話しかけても普通に対応するのにぃ。


「凄い慌て方だねぇ……何があったのぉ?」


「な、何って……何のことかしら?」


私の質問が何に対してものものなのか理解できないというようにお姉ちゃんは首をかしげる。

どこか白々しさもあるけど、明確なことを言われてない上で何かを言えば墓穴を掘りかねないという考えも分かるぅ。


「目覚君のことに決まってるじゃ~ん。明らかに今までと態度が違うけど、何があったのぉ」


「ええっ!?……あっ、いや。その……じ、事故があったというか。ちょっと私が分かっていなかったことがあったというか」


お姉ちゃんは私から目線をそらし、早口でそんなとを言う。事故と、分かってなかったこと。この2つが目覚君との関係がギクシャクしている理由のキーになってくるんだと思うけど、


「本当に何があったのぉ?心配だよぉ」


「い、いや。大丈夫よ。心配されるようなことじゃないわ。本当に、その、私がちょっとミスをして事故が起きただけだから」


「……ふぅ~ん」


納得はできない。

でも、あまり聞き過ぎるのも今はよくないと思う。お姉ちゃんがキョドってるからねぇ。下手に聞いてしまうとややこしいことになりかねない。


「事故が起こったのは分かったけど、ちゃんと仲直りしてね。ずっとあんな感じの距離感だと心配だから」


「わ、分かってるわ。それに、もう仲直りはしてるから大丈夫よ」


「えぇ~?」


仲直りしててあの距離感なのぉ?

……本当に何があったんだろう。仲直りできたならもまたいつもの距離感に戻っても良いと思うんだけど。



《side小川目覚》

どうやら風花ちゃんは美春ちゃんに詳しい説明をしなかったみたい。

お陰で、最近美春ちゃんからチラチラと視線を向けられてるよ。何があったのか聞きたいけど、関係を悪化させたくないから踏み出せないって感じかな?

そういう距離感を測りかねてる美少女の姿もいいねぇ。


「目ざ、……あぁ。明里。そこの醤油とって貰えるかしら?」


「はいはぁ~い。……風花ってば変なの。目覚君にとって貰えば良いのに」


「い、いや。それはそうなんだけど……」


あと、事故の影響でまだ僕と距離を開けてる風花ちゃんも可愛い。僕を露骨に避けてるよ。それでも美春ちゃんとは違ったタイプの視線をチラチラと向けてくる当たりがかわいいね。

そんな視線を向けられたら押し倒したくなっちゃうね!!


「あっ。そうだ。そろそろ今後の予定を話しておくね」


「あっ。うん。了解」

「どうなるんですか?夏休みが終わっても学校には行かずに暫くここで待機ですか?」


今後の話をしようとしたら、葵南ちゃんが自分が予想していたのであろう未来を言ってきた。皆も似たようなことを考えたことはあったのか、残念そうではあるけど納得したような顔を。

ただ、


「勿論学校が始まるまでにこの件には決着をつけるから、学校には行けるよ」


「え?学校が始まる前にですか?」

「そんなことができるのぉ~?」


僕の言葉に皆、そんなことができるのかと驚いた様子。

相手は大企業だし、普通は無理だよね。決着をつけるにしても数年はかかるよ。でも、今回はいける。今回は条件が整っているから。


「一気に決められるよ。やられたらやり返す!倍返しだよ!!」


「「「「…………」」」」


皆黙っちゃった?

これはあれかな、盛り上がるためにためを作ってるのかな?って思ったんだけど、


「倍返し?」

「え?その程度ですか?もっとやるのかと思ってました」

「そうよね。倍返し程度じゃ私としても納得できないんだけど?30倍くらいじゃないと納得しないわよ」


「……あ、あれぇ?」


なんか思ってた反応と違う。もう少しノリの良い感じで返して貰えると思ってた。

と言うかそれ以上に、僕のイメージってどうなってるの?一緒に数ヶ月過ごした明里ちゃんと葵南ちゃんたちまで驚いてるのはなんで?僕ってそんなに過激な報復するタイプに見えてたかな?

あと、風花ちゃんのその復讐心はなんなの?僕が倍返しくらいで良いかなって思ってるのに、なんでそれ以上の復讐を考えてるの?何?僕のこと好きなの?


「いや、向こうの会社潰したいわけじゃないんだからさ」


「「「「え?」」」」


僕が止めようとすると、逆に驚かれてしまった。僕ってちょっと襲われたくらいで会社を潰すような人間に見えたのかな?

それは短気すぎない?


「会社なんて潰したって僕にメリットはないんだけど?」


「え、えぇと。危険を避けられるのはメリットじゃないの?」


「それはメリットって言えるほど大きいことではないかな?べつに今だって潰すだけならすぐにできるからね?何人か暗殺者送り込んで社長とか幹部陣とかを暗殺すれば良いだけだし」


「「「「お、おぅ」」」」


それをやらないのは勿論……。

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