14.ギクシャクしても問題無いよね
地獄のコスプレショーが開催された。メイド服やお嬢様系統のドレスは勿論、バニーやスク水、果ては裸エプロンまで。
全部着させられ、皆の前で風花ちゃんと一緒にコスプレショーをすることになった。
いや、なる予定だった。
実際にメイド服やらワンピースやらドレスやらは皆の前でお披露目した。ただ、
「ちょっ!?風花ちゃん!流石に一緒に着替えるのはマズいって!」
「ええぇ~。良いじゃない。私、目覚君のその丁度良い肉付きのかわいらしさのある肌も見たいし」
なぜか着替えが風花ちゃんと一緒になった。そのためメイド服とかのスカートがあるものなら問題なくごまかせたんだけど、スク水とかのぴっちりしたものになると、
「……あっ。そ、そっか。目覚君も、男の子だしね」
「うぅぅぅぅ。だから一緒に着替えるのはまずいっていったのにぃぃ!!!」
何とは言わないけど僕のあれを見せることになってしまった。お互い微妙な気まずさがあり、風花ちゃんは顔を赤くしながら目線をそらしてた。
……ただ、それでも僕のかわいい姿が見たかったのかそれとも僕の男の子としての部分に興味があったのか。チラチラと僕の方に視線は向けてきてたけどね。
「ごめんね目覚君」
「……良いけど、今度からコスプレはなしね」
「え、えええぇぇぇ!!!!そ、そんな殺生な」
「殺生なって……セクハラで訴えられないだけ寛大なんだからね」
「……うぅぅ。分かったわよ」
僕がぷくっと頬を膨らませて怒ると、風花ちゃんはさっきのことを思い出したようで顔を赤くして大人しく従った。
……ふぅ。これでしばらくはコスプレせずに済むね。ただ、今後どうなっていくかは分からないけど。もしかしたら風花ちゃんがコスプレを口実にして別の方向に手を染めてくる可能性もあるし。
これでも妹を助けたこともある一番身近な異性だからね。そういう認識が生まれるきっかけも今日あったことだし、意識されるような状況ではあるんだよ。
「ねぇ。目覚君」
コスプレショーがもろもろの事情で終わった後。
明里ちゃんがいつもとは違う雰囲気と表情で話しかけてきた。ちょっと真剣さがあったから何事かと思って話を聞いてみれば、
「風花と、何かあったの?」
「あぁ。そのこと?」
僕と風花ちゃんがちょっと変な雰囲気になってたから気になったみたいだった。大したことじゃなくてほっとしたよ。
一瞬暗殺者がここまでもう来たのかと思ったんだから。
「何か、って言うほどではないけど、着替えが一緒だったからちょっと事故があってね」
「あぁ。なるほどね。風花の中のかわいいだけの目覚君のイメージが崩壊してしまった、ってこと?」
「そういうこと」
一瞬驚いたようだけど、明里ちゃんはすぐに納得した。それから会話を終わらせ、葵南ちゃんも心配してたから事情を説明してくると部屋を出て行った。
明里ちゃんが気付いたんだし、美春ちゃんとか宿利ちゃんも心配してるんだろうなぁ。宿利ちゃんはちょっと距離感的に誰が説明すれば良いか分からないけど、美春ちゃんには風花ちゃんが言うかな?
……心の中にしまっておくのか、それとも伝えるのかは分からないね。
なんて思ってたら、
「あっ。目覚君。風花先輩と何かあったんすか?」
僕を見つけた宿利ちゃんが質問をしてきた。
まさか宿利ちゃんが僕に聞いてくるとは思わなかったね。誰かに事情を聞くって言うのをするのかも定かじゃなかったし、聞くとしても僕に聞くとは思ってなかった。
だから、どう返答するか考えてなかったけど……まあちょっとぼかした感じで伝えれば良いかな?
「ちょっと事故があったんだよ」
「事故っすか?」
「そう。宿利ちゃんと海の時にあったみたいな」
「っ//…………あ、あぁ~。そういうことっすか」
思い出して薄ら頬を朱に染めた宿利ちゃんだけど、まるで何事もなかったかのように納得した素振りを見せる。頑張って思い出さないようにしてるんだろうけど、どんどん顔が赤くなっていってるよ。
かっわいいねぇ~。初心だねぇ。
「僕のことを男の子だってちゃんと認識されてなかったからこんなことになったんだけどね」
「い、いや。その見た目で流石に普通の男の子としてみるのは難しいっすよ。……ア、アタシただって、そ、その、あ、あれがあるまでその辺ちゃんと分かってなかったっすから」
言葉を詰まらせたあげく、結局あれっていう隠語を使って宿利ちゃんはこの間のことを濁したね。最近明里ちゃんと葵南ちゃんとかのこういう反応を見てなかったから、凄い懐かしい。
「そっかぁ~。……明里ちゃんと葵南ちゃんはその辺ちゃんと認識してるだろうから、後理解してないのは美春ちゃんかな?今回の件を風花ちゃんが伝えてたら認識は変わるかもしれないけど……」
「それはどうっすかね?妹だからこそ教えたくないことって言うのもあると思うっすけど」
「かなぁ?ま、そこも気を遣わないとねぇ」




