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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
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10話

わけのわからん爺さんについて歩いていたんだが、この爺さんどこまで行くんだよ。

もう国から出て山上り始めてんだけど。


「いつまで歩くんだよ。あとどこ行くんですかー」

「黙ってついて来い」

大人嫌い。俺は子供に優しい人間になるぞ!

暫く山を登ると、 山小屋?が見えてきた。あれか?


爺さんはまっすぐ山小屋に入って行った。俺も諦めて入った。

中は最低限の物しか置かれてない質素なとこだった。こんなお部屋やだわー。


「小僧、質問に答えろ。お前闘士だよな」

「お茶とか出ないの?お腹空いた」

「先に質問に答えろ」

出してはくれんのな。


「そうだよ。それがなに」

「だがお前は魔術も使った。そうだよな」

「実際見たじゃん。それがなんだよ」

「使うならどっちかにしておけ」

なに言ってんだこの爺さん。


「昔から魔導師と闘士は仲が悪い。だから両方使うと面倒な事になるぞ」

「使わないとそれこそ面倒だって。爺さんみたいなわけわからん変な奴に絡まれたら対処出来ないでしょ」

この爺さん相手だと逃げきれもしなかっただろうけど。


「少なくとも闘士側なら俺が少しは面倒見てやる事が出来る。だからそうしろ」

「お断りでーす」

「なら魔導師にでもなる気か?」

「いや、俺魔術も魔法も下手だから無理」

魔法に至っては全くわからんし。エリスがやったの見たときは絶句したもんな。


「なら闘士で通せ。魔導師みたいなもやし共にお仲間意識持たれたくねぇだろ」

「あんたにも持たれたく無いけどな」

だってこの爺さん絶対ヤバい人じゃん。やだわー。


「お前本当生意気なガキだな。俺が面倒見てやるって言うと大抵のやつは喜ぶんだがな」

なんでだよ。このデカくてムキムキで強面のジジイに好かれて嬉しいとか狂ってんのか?


「あんたみたいなジジイに好かれても嬉しいわけ無いだろ」

「あ?………お前、俺の名前知ってっか?」

「知るわけないだろ。俺にそんな趣味はない」

勘弁してください。


「………俺のこと知らねぇ奴はいないと思ってたんだが………お前、闘王って聞いたことあるか?」

「とーおー?なにそれ」

「闘士の中でもすげぇ強いやつのこと」

あ?闘士の王って感じか?


「んなもん知らん。興味も無い」

「マジかよ。…………お前じゃあなんであんだけ動けるんだよ。かなり鍛えてるだろ」

「好きでやったわけじゃねぇよ!親父にやらされたんだよ!」

なにが困るって、1回本気で嫌がったら、親父物凄く悲しそうな顔したのがあかん。


「お前どんな事やらされてきたんだよ。明らかにおかしいぞ?」

「………1人で魔物倒しに出るって変か?」

「お前の歳ならな。魔物は群れで行動する種類が多いから、大抵実力のある奴しか1人で出ない」

なるほど。これはアウトですね。


「正確には1人じゃないんだけど、親父と交代で魔物と戦ったよ」

「お前の親父は闘気と魔術を一緒に使ってること知らないのか?」

「いや知ってる」

なにも教えないのが我が家のスタイルなのだ。


「お前の親すげぇな。常識外れってのはお前の為の言葉ってくらいだ」

俺そんなずれてんの?怖いんですけどー。


「まずギルドでのお前の行動はあり得ない」

「どの辺だよ」

ここまで言われるとなにが普通かわからん。


「お前は俺になんの躊躇もなく話しかけたりした所だな。他の奴はまず近づかない」

「あんた何したんだよ。罪には罰だぞ」

「何も悪いことはしてねぇよ。さっき言った闘王ってのが俺だ」

ですよねー。そんな気してたよ。


「あとはお前の反撃だな。まず普通の奴は俺が後ろに回ったと気づかない。次に俺の拳を避けられない。最後に反撃出来ない。だが、お前は全部やった。魔術を併用してな」

「嘘つけ。あれ出来なきゃ魔物なんて倒せないだろ。俺でもわかるぞ」

というより嘘であってくれ。


「残念だが、普通魔物は数人で狩りに行く。だからお前は異常だ」

お父さん。それは教えて。俺、何度も死にかけたじゃん。


「お前なんで俺が後ろにいたのがわかった?」

「気配で。それはみんな出来るでしょ」

「普通はな。だが俺は気配消してたつもりなんだがな」

「わかる程度にだろ。それは嘘だね」

俺は信じてるよ、爺さん!

「その辺の奴なら気づかねぇよ」

だめかー。


「あと俺の拳を躱しながら反撃はどうやった」

「気合い」

「それが本当ならお前は最強の闘士になれるな。俺がお前を売り込んでやる」

「嘘!うーそでーす!本当は魔術と気配と集中でやりましたー!」

危ねぇ。お先真っ暗になる所だった。


「2つはわかるが、集中ってなんだ?」

「集中力を高めると周りが遅く感じるようになるんだよ」

「お前達人かよ。そんなの俺でも自力では出来ないぞ」

おいやれよ。俺が困るだろ。


「魔物に何回も殺されかければすぐ出来るようになるよ」

「……………お前どんなことしてきたんだよ」

「親父の手伝いだよ。村の警備」

「お前の家はやっぱりイカれてるな。ガキに普通そんなことやらせねぇからな」

「いや、正直親父は渋ってたよ。母さんがやった方が良いって」

母さんの俺の評価は基本最高だったからな。いっつも出来るよね?って顔で見てくるもんな。


「………お前、母親に嫌われてるのか?」

「そうじゃないからこんだけ元気な男の子になったんだろが。母さんはちょっと自分の子供たちが才能溢れすぎてると思ってるだけだ。実際妹は本物だったし」

エリスたんマジ天使。って関係ないか。


「お前の妹も同じこと出来るのか?嘘だろ?」

「正直わからん。妹は魔術側だからな。でも俺より闘気の使い方上手いし、今は自力で魔法使ったりしてるからな」

「なんだと!?お前の妹歳いくつだ!」

「まだ7歳」

「……………お前の妹は旅に出ないのか?」

「妹は俺と違って自由だからわからん」

兄的にはずっと村にいてほしい。こんな辛い旅させられないもの!


「そうか。ならお前でいいか。俺の弟子にする」

「断る」

「それを断る」

子供かよ。


「して、その心は?」

「お前を野に放つと危険だからな。弟子っていう程ならお前のことを不審がる奴はいなくなる」


「それと?」

「お前の常識外れを直してやれる。いい事づくしだろ」


「さらに?」

「お前の闘士として鍛えてやる事も出来るぞ?」


「つまり?」

「小間使いがいると便利だろ」

「断る」

マイナスがデカすぎるよ。辛い


「おいおい、本当に良いのか?一応本当に教えてやるつもりだぞ?」

「常識と後ろ盾はかなり好条件だけど、残り2つでドボン」

「あ?お前強くなりたいと思わねぇのか?修行の旅だろ?」

「なんの旅かは俺もわからんよ。でも強くなりたいとか少しも思ってない」

絶対無理難題やらされるだろうし。


「お前どこまで旅する気だ?」

「え?世界一周?してこいとは言われたけど」

「だったら鍛えた方がいいぞ?魔物は強い奴がうじゃうじゃいるし、他の種族の奴らは面倒だぞ?」

「は?なにがだよ」

「やっぱり知らねぇのか。俺たち人族は他の種族から嫌われてんだよ」

え?それダメなやつじゃん。


「理由といたしましては?」

「大昔の大戦は知ってるだろ?あれで人族が生き残った理由知ってるか?」

「ん?闘気じゃないのか?」

母さんそれっぽいこと言ってたよな?言ってたか?


「違う。人族は他の種族を裏切ったり、騙し討ちしたりして生き残ったからだ」

それ本当にダメなやつじゃん。

「未だに人族を嫌いなやつは多い。今でもそんなことするやついるからな」

改善しろや。だから俺みたいないい子が困るんだろ。


「下手したら奴隷にされるかもしれないからな。だから今のままで世界を周るなんて無理だぞ」

帰りたいね。また出されるけどねー。


「諦めて言うことを聞け。悪いようにはしないっての」

「本当の理由を教えてくれれば考える」

「お前みたいな生意気なクソガキはいじめ甲斐がありそうで面白そうだからだ」

これ最悪ですね。こんな大人にはなりたくない。

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