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『普通なんか嫌いだ』
その回してくる腕も 組んでくる肩も
全部嫌いだ
気やすく触るな 気持ち悪い 男同士だ
そうやってあいつを退けた 幼馴染
一緒に風呂に入って 一緒の布団で寝て 僕達の普通
一緒に登校して 一緒に遊んで 一緒に帰る 僕達の普通
同じ漫画を順番に読んで 喧嘩して 仲直りする
僕達の日常
いつからか仲間が増えた 二人から三人 四人 五人
いつからか一緒が減った 別々の布団 別々の漫画
それが普通
誰かが僕達の関係に口をはさんだ 付き合っているのかよ
僕はゲイじゃない
言われて気がついた 異常だったと
あいつが回してくる手を叩いて
あいつが組んでくる肩を外した
そして、普通になった
普通になるとあいつは泣きそうな目をしていた
していないのかもしれない
そう見えただけ
夕方のチャイムが鳴って 叩かれた腕をおさえながら何も言わない
チャイムが鳴りやむのを一緒に待った
あいつの口が半分開いて 何も言わずに閉じて
別れた
16歳の秋だった




