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詩のしおり  作者: 赤井獺京


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『下手くそなあいつの歌』


下手くそ なギターの音 

下手くそ な歌声

素人の僕にでもわかる 

楽しそうに歌う ギターを持って歌う

持たなくても歌う


掃除用具入れの箒とか 長いものなら何でも

剣道用の竹刀とか 三角コーンでも


歌えれば何でもいい 楽しそうに歌う


学校の外でも歌う それを見に行った

誘われて 忙しいと言ったから


隠れて聞きに行った


人通りのある駅前 時計台の下で

大きなギターを鳴らして歌う 

遠くにいる僕だけが聞いている 小さな下手くそな歌


その声よりも大きな 汚い声が飛んだ

通り過ぎるおじさんが怒鳴った

下手くそ

気にせずに歌った 雨が降るまで歌った


それを最後に歌うのは見ていない

箒を持っても床を履くだけ 


音楽の時間も口パクするだけ

あいつは歌わなくなった


下手くそなあいつの歌のファンだった


どうしたら歌ってくれるか あいつの代わりに歌ってみた 

放課後の教室で 


箒を持って あいつの前で


下手くそ そう言ってギターを奪う

下手くそ 黙って下手くそな歌を聞いた

下手くそ だけど楽しそうに歌った


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