第八話 choker
第八話 choker
琴音と望月は、ガルディオンに帰還した。
ERV二機の、ドック内への収容が完了し、コクピットの外、リフトへと脱出する。メンテナンスと装備の調整を今から急ピッチで行う。
作業を担うメカニック達が、不眠不休でこれから作業をすることになる。
特に、琴音の装備は、今一度見直す必要があるだろう。
技術班長「ヴィルゴディーネはそのままで、ヴァルキュリオンは、高出力レーザー砲へと移行します」
澪「そして、私から伝えるが.....」
「2人には、このチョーカーを装着してもらう」
澪「チョーカー....ですか....?」
内心、一体誰の趣味なのかと嘆いてしまうが、必要であるから、澪からこうして伝えられているのだろう。
澪「2人の、機体とのシンクロ率を高めるために、この装置が必要だと私が判断した」
澪「付けろ、これは命令だ」
望月「私は、構いませんが」
琴音「私も....構い....ません」
チョーカーをつけることになった。琴音は首輪をつけることに、あまり気がのらない。
だが、命令なら仕方がない。
澪「そもそも、これがなぜ必要か分かるか?」
澪は2人に投げかける。望月は理解している様子だ。琴音も理解はしている。
「あえて、はっきり言おう」
「お前達自身が、ERVのパーツだからだ」
直球で言われ、面食らってしまう。
「お前はパーツだ」と、澪に言われるのは、白鷺時代以来だ。白鷺での澪は特に厳しかった。
澪「お前達の”能力“がなければ、この機体は真価を発揮しない」
琴音「能力....」
もちろん琴音も履修済み。能力と機体の連携については散々授業で勉強して頭に入っていた。
しかし、能力を未だ扱えてる自信がない。
澪「その能力の補強と強化、認知領域の拡大のために、このチョーカーが必要だ」
澪「この機体は、時空間局所性を掻い潜り、あらゆる角度から非局所的にデータを分析して戦うことが、本来は可能だ。」
澪「お前達の脳と連携してな。」
「ようはまあ....未来予測をするってことだ」
望月「時空間非局所性。John Joshの理論ね」
澪「そうだ」
さすが望月といわんばかりだ。望月は物理学や数学にも精通している。
澪「その点が、お前達がロボットに役割を奪われないで済む理由だな。」
望月「科学が、私達の能力を征服するのも....時間の問題です」
澪「そうかもしれない」
澪「そして、お前達の様な超常的な存在は、テクノロジーの帝国を築いている貴族達からして、大きなノイズでもある。」
琴音「ノイズ.....邪魔ってことですか」
澪「そうだ。計算外の現象を起こす謎のパイロットと機体。これは奴らにとって恐怖でしかない。」
澪「わかったか?」
澪「今後は、ERVでの出撃時は必ず装着する様に。そうすれば、琴音も望月のような洗礼された動きに近づくはずだ。」
望月はやはり、もう使いこなしていたのか。未来が分かるというのはどんな感覚なのだろう。ERVに乗っていない時も未来が分かるのだろうか?琴音は気になった。
澪「では、チョーカーについては、これで説明した。2人とも、ゆっくり休んでくれ」
2人は敬礼をして、その場は解散した
琴音と望月は室内に戻り、休養を取る。
チョーカーは、室内のデスクの上に置いてある。ずっとつけていると息苦しい。
琴音「能力....私にもできるんだよね」
パイロットに選ばれたのだから、琴音も能力自体は扱えるはずだ。望月はチョーカーなしでもヴィルゴディーネを扱えていた。問題はどうすればそれを引き出せるかだ。
その答えを考えてはみたが、瞑想をする、毎日お祈りをする、などの様なものばかりが出て、それらしい答えは出せなかった。
__________________________________
そして、望月を訪ねることにした。
出撃前の失言の件を謝る。
琴音「あの件は、ごめんなさい。私何も分かってなかったと思う」
琴音「機械の敵に情をかけるなんて、本当....馬鹿げてた」
望月「分かったならいいわ....これで私もあなたに背中を預けられる。」
望月「改めて、よろしくね。少尉」
望月に、手を差し出された。
琴音「....!よろしくお願いします!大尉」
2人は固く握手を交わした。
ガルディオンは栃木と茨城の境目を航行中だ。一同は東京へと順調に進んでいく。刻一刻と東京奪還が近づいていく。
おそらくその前に、ガルディオンは補給を近辺で行うだろう。まだ猶予はある。
望月「ところで」
望月が唐突に話を切り出してきた
望月「あなた、シャワーはこれから?」
琴音「まだだよ。これから入ろうかな....」
シャワー。まだ入っていない。思えば今日は出撃に会議にとで、一日中忙しかった。
琴音も、そろそろ日も沈む頃だしシャワーを浴びたいと、思っていたところだ。
望月「よかったら、一緒にどう?」
第九話に続く




