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第一話 プロローグ

第1話 プロローグ


_____EARTH 静止軌道上 上空約35,786km


無線通信が鳴り響くコクピット。

1人のパイロットが息を潜めている。

少女は、マスクを着用しており顔は見えない。


「ERV-27-4ヴィルゴディーネ」

この機体の名称である。


無数の白い球体の無人機が、ヴィルゴディーネに向けて接近する。


少女の視界に、UIが表示された。

《ENEMY APPROACHING(敵機 接近中)》

「来る....」


宇宙空間を高速で旋回し、網の目のように張り巡らされるレーザー攻撃を、全て躱わす。

常軌を逸した軌道を翔ける。

攻撃を避けつつ、敵機の殲滅を冷静に狙う。


敵機の群れへ、銃口を向けた。

パイロットのマスクのバイザーに敵機を追うように赤いマーカーが表示される。

《LOCKED》

敵の軌道を追いかけ、バラバラだったカーソルが全ての敵に固定された。


コクピット内は静寂に包まれている。

(カチッ)


その静寂を破裂させる様に、レバーのトリガーを押す。


迷いはない。


銃口から発射されたレーザーの軌道が、光速で敵機へ迫る。


一瞬だった。

敵機の群れは爆発を起こし一瞬で散った。


無数の火球の群れを前にして、ヴィルゴディーネは宇宙空間に浮遊する。背後には、美しい地球が浮かんでいる。


「目標の排除を確認」

「これより成層圏を突破後、Cポイントへ降下」

「セカンドミッションに移行する」


通信を終える。

コクピット内でマスクを外すと、白い長髪が雪崩れ落ち、コクピットの無重力空間に広がった。


望月「待ってて 琴音」


__________________________________


:北海道 釧路 宇宙港付近の市街地


宇宙港へ向かう市街地。今はそのほとんどが、廃墟になっている。数ヶ月前にあった敵の爆撃のせいだ。


そして北海道宇宙港へ向かう道を、黒い軍用SUV数台がフォーメーションを組んだ厳重体制で走っている。


天野琴音はその中央の車両の中にいた。


琴音「...澪さん、あとどれぐらいですか?」

澪「天野少尉、作戦中だ.....私語は慎め」


琴音と呼ばれた少女は、髪型はショートボブと、上品な印象を受ける純白の生地のピンタックブラウスの制服を着ており、一見すると少尉という肩書きとは似つかわしくない。


琴音の通っていた「白鷺学院」は、軍事機関 ASGARD(アースガルド)直属の、パイロット育成機関だ。


澪との関係性は、白鷺時代からの先生と生徒という関係性だ。


琴音は青春時代のほとんどを、その専門の施設での訓練に費やして過ごしてきた。

覚えたのは語学、格闘術、武器の扱い方、戦術論、そしてERVの操縦術だ。


特に日本の育成機関は、潤沢な予算と人員を投じられている。日本はこの分野で、世界をリードしていると言っていい。


そしてこの度、琴音はERVのパイロットに抜擢された。世界で数人しかいないパイロットだ。


琴音が、車内から外を見る。

民間人は見られない。今は廃墟となってしまった繁華街や、雑居ビルなどが立ち並ぶ無機質な風景を、一行は通り過ぎていく。


琴音「私、うまくやれるでしょうか」


澪「.....お前はもう、立派なERVパイロットだ、しっかり任務を果たすように」

琴音「...はい!」


__________________________________


:宇宙港付近


宇宙港付近で、迎撃ミサイルを装備した車両が並んでいる。


宇宙港に輸送されるERVを敵が探知し、攻撃を仕掛けてくる。それに備え、軍が防衛ラインを張っているのだ。


軍人1「隊長、おそらく2時間ほどでヴィルゴディーネが到着します」

隊長「それまでに、あのパイロットが役に立てるかどうか...」


ビビビビビビビ

その時、けたたましい警告音が鳴り出した。

テントの中の、デスク上に並べられた装置の

レーダーが、複数の敵機を捉えている。


軍人1「隊長、無人機が二機 接近中です!」

軍人2「後方には、さらに多く接近してきています!」


隊長「...間に合うか?新米」


中年の隊長が、よく通る声で指令を下す。隊長「迎撃部隊に通達、戦闘態勢に移れ」


__________________________________


市街地では既に、敵の無人機が市街地に侵入し始め、軍の迎撃ミサイルも次々と敵機に爆破されている。


琴音らも公道を走りながら、立ち上がる煙と、轟音、ミサイルが飛び交うのを確認した。


琴音「澪さん、あれ...!」

澪「...始まったか」


その時、走行する車両の前方で爆音が響く。

敵の流れ弾が飛んできて、廃ビルの一部が崩壊し、瓦礫が車両の前方に降り注ぐ。


澪「伏せろッ!!!!」

澪は、咄嗟に琴音の頭を自分の体の下にして覆い被さった。

琴音「ッ...!!」


琴音らの公用車は、爆撃に巻き込まれてしまいスリップし、建物の外壁に衝突した。

運転手は頭を打ったのか、頭から血を流し気を失っている。

なんとか潰されるのは回避したものの、後方が瓦礫に塞がれている。


覆い被さったまま、澪が動かない。

琴音「澪さん、大丈夫ですか?!」

澪「クッ...」


澪は頭部を強く打ったのか、うめいている。

琴音は澪と運転手を肩に担ぎ、なんとか車外へ運び出した。


低い廃墟の物陰に、運転手と澪の2人を運び楽な姿勢で安置した。

澪「琴音........行け」


琴音「......待っててください」

「ッ....!!」

琴音は走り出した。

細かい瓦礫や、石ころに転びそうになりながらも、走った。


しかし突然

琴音「....!!」

走る琴音の目の前に、敵の無人機がビルの影から出現した。

直径5mほどの、白い球体のドローン。

正面に装備されているカメラに、全身を射抜かれ驚き、後ろに座り込んでしまう。

琴音「......行くしかない!」


その時、150mほど上空に、巨大な輸送機が現れた。






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