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第44話 小さな騎士様

いつも読んでいただきありがとうございます


*最近、仕事が忙しくて更新できないとです・・・orz

 眩しさで混乱した人々の喧騒に包まれる中、私の耳元にはっきりとした声が聞こえてきた


「静かにしててください」


「え?」


 目を開けてみたけどまだ眩しさが残っててよく見えないけどこの声には聞き覚えがある

 丸太に縛られてた私の手と足からブチブチと音が聞こえて体が前に倒れる感じがする


 なんとか体を支えようとするけど体が言うことを聞かない

 ああ、どうしよう・・


 そう思った時、しっかりと体を誰かに受け止められた


「誰か分からないけどありがとう・・・」


「気にしないでください」


 優しい子供の声だ。この声、どこかで聞いたことがある・・・

 どこだっけ・・・


 あ、それより今の私、2日以上縛られたままでトイレにも行かせてもらってないから色々汚れちゃってる。どうしよう・・・


「ごめんね。私、汚いから着てるもの汚しちゃうよ?」


「いいんです。本当に気にしないで」


「アルト殿、急ぎましょう」


 そうだ。思い出した。抱きとめてくれた子の声はアルト君の声だ


「アルト君、ごめんね」


「・・・いいんです。少しは気休めになるかもしれません」


 ヒールと小さくアルト君から聞こえると私の手足の感覚と目の感覚が戻ってきた


「すごい・・・アルト君、ヒール使えるんだ」


「いいえ。それほどでも」


 視力が戻った私が見たのは3か月前と変わらない金髪の可愛らしい少年だ

 でも、3か月前よりどこか精悍さを感じる

 少し見ないうちに成長したんだね


「ナヴィアさん時間がありません。何も言わずについてきてくれませんか?」


「え?えぇ・・・」


 思わず返事をするとアルト君が私の手を力強く引いた


「ま、まって・・・」


 そうだ。お父さんが・・・

 そう思ってアルト君に引かれながら絞首台の方を振り返るとさっきまで縄で吊られた父はおらずフードをかぶった人の足元に寝かされていた


「ロジェリーさんなら大丈夫です。とにかくこの場所を離れましょう」


 そうなんだ・・・お父さん大丈夫なんだ

 なんだかほっとしたのもあって足が言うこと聞かないや


「・・・ナヴィアさん、失礼します」


「え?」


 思わぬ浮遊感に驚いた。でもこの格好って・・・


 私の膝と背中を支えて走るアルト君を見上げる

 真剣な顔で前を向いてる表情を見て私を助けに来てくれたことがすぐに分かった


 どうしよう・・・涙が止まらないや・・・

 ごめん。アルト君少し胸をかして


 私がしがみついたことでアルト君が一瞬、驚いたように体を震わせたけど抱いてる私の体を力強く抱き返してくれた


 大丈夫・・・僕が守るから


 小声でそんな声が聞こえた気がした

 嘘でも嬉しいなぁ・・・


「小娘が逃げたぞ!追え!」


 後ろから私を私たちをここまで追い込んだ奴が声をあげてる

 背後でヒューと甲高い音がなった。多分、何かの合図を出したんだろう


 まだ、周りの兵士たちは目が元にもどってないからかおろおろしてるけどこのままだときっと追いつかれて私はともかくアルト君たちも捕まっちゃう


「アルト君、もういいよ。このままだと君まで・・・」


「ナヴィアさん、舌を噛みますから静かに」


「え?それはどういう・・・きゃっ!」


 思わず声を出しちゃったけどこれは馬?

 アルト君が私を馬にのせるとさっとその後ろに乗り込んで手綱を握る


「行きますよ」


「うん・・・」


 アルト君の掛け声で馬が走り出し街中をかけ抜けるとすぐに城門が見えてきた


「アルト殿、少しまずいかもしれません!」


 目の前の男の人が振り返ってアルト君に声をかけてくる

 城門の方を見てみるとそこには兵士達が盾と槍を構えて道を塞いでいた


「ええ。シカロさん。たぶん、さっきの広場の音を聞いて集まったんでしょう。なんとかしますからそのまま駆け抜けて露払いをお願いします!」


「わかりました!」


 男の人が前を向いて剣を抜く


「アルト君!城門の上にも兵士がいるよ!」


「大丈夫ですよ」


 城壁の上に弓を番えた兵士が並んでこっちを狙ってるからどうしようと思った私にアルト君が耳元で大丈夫って優しく囁いてくれる


「ファイアーボルト!」


 背後のアルト君が魔法を唱えた瞬間、私の横を一瞬、熱いなにかが通り過ぎて城壁の上の弓を構えた兵士たちに一斉に当たった


「次!シカロさん行きますよ!」


「了解しました!」


「ファイアーストーム!」


 私が城門の上で燃えてる自分たちの体の火を消すのに必死になってる兵士たちを見て唖然としてる間にアルト君が次の魔法を唱えると目の前で盾を構えていた兵士たちがいきなり火に巻き込まれて大混乱に陥った


「どけどけ!」


 混乱して隊列を崩した兵士たちを前を行く男の人が馬を加速させて吹き飛ばしていく


「すごい・・・」


 私がつぶやく間にも私たちをのせた馬は兵士たちの間を抜けて城門を通り過ぎた

 なんだかあっという間のことだった


「ナヴィアさん、大丈夫ですか?」


「え、ええ・・・」


 心配して声をかけてくれるアルト君に私は思わず返事を返したけどそれが余計に心配をかけたようでアルト君が一旦馬の足を止めて私の顔を覗き込んだ


「ナヴィアさん?」


「・・・ありがとう」


 私の返事に覗き込んだアルト君が不思議な顔をした

 ふふ・・・その顔をみると年相応の男の子の顔だね


「もう大丈夫だから早く行こ。前の男の人がこっちを向いてるよ」


「あ!そうですね。急ぎますね!」


 アルト君はそういうと馬を再び走らせる

 夕暮れの陽に照らされた景色が流れる中、私はこう思うんだ


 さっきは大丈夫って言ったけど私は今のこの時が夢じゃないかと

 こんな都合のいい現実なんてあるわけないよ


 きっとそうだ。今もお父さんが絞首台の上で吊るされてるんだ

 それを見て気を失ったわたしを神様が憐れに思ってこうなるといいなと思う夢を見せてくれてるんだ


きっといつかこの夢は醒めてあの悪夢のような光景がよみがえるんだ・・・


「夢じゃありませんよ」


「え?」


 私の心を見透かしたような声に一瞬、体が強張った


「これは現実です。貴方は夢を見ていない」


「そっか。現実か・・・」


「そうです。だから貴方はもう大丈夫」


 心が次第に現実を受け入れ始める

 徐々にその気持ちが心に染み渡るといつのまにか私は泣いていた


 震える肩を後ろからぽんぽんと優しく叩いてくれる小さな手

 大丈夫、大丈夫。叩かれるたびに心に染み渡る言わなくても伝わる言葉


「ありがとう・・・アルト君」


 小さく呟いた私の声に答えるようにアルト君の叩く手が止まって添えるだけになった

 その小さな手から伝わる温もりが私の冷えた心を温かくさせる。いつの間にか私はその手に自分の手を重ねていた


 ああ、温かいなぁ

 ありがとう。小さな騎士様・・・


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魔法のちょいマメ説明

*ファイアーストーム 火魔法Lv3

火風を指定した範囲に吹き荒れさせます

威力と範囲はMAGとDEX、使用魔力によります


*ファイアーボルト/ファイアーボール  火魔法Lv2

火魔法の最もポピュラーな魔法

魔法で作り出した火を相手にぶつける

込める魔力により威力の調節が可能

MAGとDEX、使用魔力の調整次第では一度に出せる本数も調整可能

すっごい便利

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