赤月の反抗作戦
「日本国内の三か所の宇宙戦艦造船所の地下移転計画はどうなっている?」
「はっ、作業開始から32時間で宇宙戦艦造船所は地下300メートルに移転完了しましたが、艦隊を地上へと送るための大規模マスドライバー式カタパルトの建造と隠蔽に手間取っております。」
私が聞くと、サイトウ元帥から連絡および調整として贈られてきた軍人がそう答える。名前はラクト准将と自己紹介されたのを覚えている。
「合計収容艦艇数は?」
「2キロメートル級1隻、1.5キロメートル級2隻、800メートル10隻、500メートル級30隻、400メートル級及び200メートル90隻が保管できます。」
2キロメートル級と1.5キロ級は地球連邦主力艦であり、2キロメートル1隻と1.5キロメートル3隻をもって一つの艦隊する。
この艦隊は地球連邦にも3艦隊しか存在しない最強艦隊であり、その主砲は星系の端から端まで届くと言われ、主砲の最低出力は惑星を砕き、轟沈を前提とした主砲の発射は恒星すら破壊するのではといわれた艦隊だ。
「赤月の宇宙港は?」
「800メートル20隻、500メートル級50隻、400メートル級及び200メートル120隻が保管できます。2キロメートル級と1.5キロメートル級は日本に存在していないので必要ないかと思われます。」
「失礼します天皇陛下、報告が転移前に現在2キロメートル級1隻、1.5キロメートル3隻の生産が依頼されていたそうで、数時間もあればこの四隻を宇宙にあげれるようです。」
訂正、地球連邦に最強艦隊は4艦隊存在していたらしい、
「報告感謝する。主砲に厳重なセキュリティをかけ赤月軌道航路に派遣しろ、いや余も月に上がる。」
地下に潜む異形共は、圧倒的な敗北を受けた、だが本体はかろうじて存在し、敵にその存在を露見していない、いやその異形共に思考能力は存在しない、ただ本体が末端の情報をもとに対応したユニットを生産、また200体前後まで減らされた個体数は僅か5時間で2千体にまで回復していた。
そう、やつらの脅威は適応力とその圧倒的な物量、地面の下から現れたのは既存の魚雷とシャチの見た目を合わせたような見た目に、爬虫類の蜥蜴のような四本の脚、しかし変わったこともある。
その口のような砲塔はまるで概ね円筒の周囲または箱形の側面に穴をあけた形状へと変わっていた。
マズルブレーキのようなものだろう。発射時の銃の反動・砲の後座距離を減少を目的として銃・砲の銃口・砲口に装着するあれだ。
いやそれだけっではない、新種の個体は40メートルほどの巨体を持ち、大型のクラゲに装甲を持たせたような、それともクラゲの見た目をしたカニというべきか、大型の頭部を中心に無数の足を使用して移動する。
またある個体は一メートルほどの大きさの、車輪のような見た目の速度重視の個体、三つの頭部を持ち、また尻尾にも超大型の砲が存在する。
ひときわ巨大な化け物が現れた、70メートルの巨体を持つ、足を持ちすべてを喰らうような巨大な口を持つ戦艦というべきだろうか、まるで宇宙戦艦を模したような見た目の化け物だ、
遭遇から一日と経たずに、先遣隊を潰され赤月の制空権と地上を奪われた、彼らには人間を生物をして認識してはいない、災害として認識している。これは星を飛び越えこの星の本体だけではなく、他の惑星に住み着くすべての我々を滅ぼしかねない災害、何としてもこの地上を取り返し、この情報を伝えなければとここで奴らを滅ぼそうと行動に移る。
「D-7へ機体番号B-47を移動、アームを同期、」
「音声認識完了、アームを同期、」
男は作業ロボットB-47が移動したのを確認して、何もない場所で体を動かす。作業ロボットは男の動きに合わせて動き、男は作業ロボットが荷物を持ち上げたのを確認し、口を開く。
「B-3へ機体番号B-47を移動、V-65機体のカメラ表示、」
男が操作するのは10メートルほどの輸送機械だ、基地外部ではあらかじめ決められたプログラムに従い、無数の工作機が自動で動き、基地内の物資輸送にはこうして人間が丁寧に機械を扱わなくてはならない。
基地にアラームが流れ、宇宙への脱出命令が出される。
「班長なんですかこの騒ぎは、」
「エイリアンの残党がこの基地の近くにまで来ているようだ、念のために宇宙に避難する。」
職員の避難は迅速に完了し、五十メートルほどの宇宙船が徐々に高度を上げる。
「何が起きた、」
爆音、砲撃、平和ボケした乗組員はこの二つを結びつけることは出来なかった、しかし赤月軌道、800メートル級の旗艦にて、大型のエイリアンが民間船に砲撃を行った事を観測する。
「500メートル級のシールド出力を最大にし、民間人の乗る宇宙船の盾になれ、他艦隊は事前の計画に従いレーザー主砲照射、同時に戦闘車両を砲撃する。」
艦隊は地上へのレーザー主砲の砲撃を始めた、それに対しエイリアンは対空砲撃を始める。安全圏からの蹂躙それで終わるはずだった。
「下部装甲にダメージ、」
この戦いはこれまでの戦闘とは異なっていた、あの70メートルもの巨体をもつエイリアンの砲撃がシールドを押しのけ、船体に傷をつけたのだ。
「敵砲の威力は?」
「計測結果、サイドモニターに表示します。」
「安全圏に艦隊を下がらせ再び砲撃を続行、この距離では効果が薄いが仕方ない、今回は地上軍に手柄を譲ろう。」
奴らの装甲もまた前回とは違い丈夫であった。これに対し地上戦力14世代戦車がその機動力を生かし接敵する。戦闘の車両がさっそく、エイリアンを哀れな犠牲者に加工しようとしたとき、車体の体制を崩し地面にたたきつけられる。
それは丸い一メートルほどのエイリアン、高速で回転し14世代戦車に近ずき、無数の触手をたたきつけることで丈夫な14世代戦車の装甲を潰し、あるいは切り裂いて見せた。
覚えているだろうか、クラゲと甲殻類のカニを合わせたようなエイリアンを、その頭部の真下から一斉に飛び出す飛行する、航空機のような何かは球体に砲塔を備えたものだった。これもまた新種のエイリアンであり、飛行可能な個体がエイリアンで現れたのである。
「この短期間で進化したのか?」
誰かがそう言葉を漏らす。敵エイリアンは空からの支援を得て、こちらの戦車を撃破していた。また巨大なエイリアンの砲撃は、その大きさに見合うものであり、破壊を周囲に振り撒いていた。
「巨大地上兵器みたいだな、19世代戦車の投入を決めては?」
15世代戦車は高耐火反応剤を絶妙なバランスで混合した鋼板を何十何百と重ねた積層構造により、従来の兵器の攻撃を無効化する防御力を誇る50~60メートル前後の大型兵器だ、絶縁物質と導体物質をセットで鋼板に焼き付け装甲にケーブルに相当する回路を設けることで、中心部の動力炉から外装部の砲身までケーブルを一切使わずに装甲の防御力を下げることなく電力供給を行う機構、大型の動力炉、そしてそのエネルギーを利用した推進力と攻撃力は、当時の戦争を変えた。
16世代にて、戦車は戦場でより相手より良い砲撃ポイントに移動するために、速度が求められ複数人で扱う方式から、一人の人間がこの巨体を操るように変化し、その最高速度は時速200~300キロへと変わる。
17世代、戦車はどのような環境でも使用出来るものから、よりその戦場の環境に合わせた兵器へと変わる。
18世代以降の戦車はシールド設備の開発により、その防御力をさらに絶対的な物に変化させ、戦闘を長引かせる要因になった。
19世代は後の対宇宙地上兵器に移る前の、戦闘車両、戦車だ、今紹介した戦車との違いは新たな推進方法による速度、時速420キロ、60メートルだか50メートルだかの巨体がこの速度で動き回る。またこの速度と砲撃の射程から、戦場の環境はコロコロと変わり、再びあらゆる環境に適応することが求められた。
「本国より三時間後に三台、19世代戦車が戦場に到着するそうです。」
「事前に用意していたようですね、エイリアンとの戦闘時に最悪の可能性を考えて、月面基地に配備されたようです。」
「ただ、この兵器、遠隔操縦不可能、一人乗組員が必要だそうです。」
「最悪の場合いくつかの戦艦の犠牲を覚悟してでも、支援砲撃を行う。その覚悟をしておいてくれ、」
「「了解しました。」」




