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【武器世界物語】  作者: ezelu
第二章 5年後の武術都市
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人工神者計画!

とある真っ暗な部屋でパソコン数台をカタカタと音を立てながら操る女性の姿が見える。


女性は、「あの時」から全く変わっていない。姿も性格も。全て。


「あの時」とは、五年前。


雷ヶ峰終がある人の「救出」のために一人の女性と行動した時だ。


雷ヶ峰終は柳瀬薫を仲間に引き入れるために救出に向かった。


一人の女性は、空吹楓に会って自分の力。フェイクを解除するために行動したのだ。


アトリビュートは、柳瀬薫を必要としていた。何故か。


彼女の能力が魅力的なわけではない。フェイクという力は、「自分以外の誰かの姿、形を変えてしまう」というような能力。


そのため、彼女自身が使う分には使えるが仲間に引き入れるまでもない力だ。


況してや、アトリビュートには様々な最強能力者が所属していた。「無敵」と呼ばれ、勝てる者は絶対に居ないとされた坂上駿など。


『成る程…私の身体にはこんなものがあるわけね…こんなものがあったら間違いなく私の人生(ストーリー)はバッドエンドじゃないの…!』


彼女が今居る場所は、TBVが能力者実験を行った場所。「能力者開発研究所」。今は封鎖されており、中の機密情報も削除されていたはずだが。


彼女は、自分の能力で最初に此処を出る時。本物の情報と偽情報をすり替えた。削除されたのは、偽情報ということになったのだ。


彼女が見ていた情報には、柳瀬薫の身体情報が載っていた。


TBVが独自に行おうとしていた計画らしい。戦争後に柳瀬薫の身体を使い、能力者を超えた最強の人体兵器。人工神者(マン・メイド・ゴッド)の作成計画。


名は…。


人工神者計画(マン・メイド・ゴッド)


「神化」という能力者という次元の先にある扉。常人では開けることのできない絶対的な力。神の力。


そんなものを兵器として、使ってしまえば戦争は無くなる。


誰も勝てないという「絶望感」を植え付けてしまえば良いのだから。

簡単なことだ。


しかし、この計画が行われていないという理由として「柳瀬薫が空吹楓だったから」という理由が一番だろう。


5年前、研究室に乗り込んだ時、柳瀬薫はフェイクを解いた。その時に多数の研究者は目撃し、死んだ。


目撃したから死んだわけではないが…。


しかし、TBVは柳瀬薫が生きているという事実を知っているだろう。


恐らく海崎という剣城学園元学園長が元ネタだろう。自分が戦う時、柳瀬薫は生きていると情報を述べたからである。


別にそれが「失敗」というわけではない。むしろ「成功」だ。


『仕方ない…私は神になるわ…』


自分が神になる方法。柳瀬薫が神化を成功させる方法は、意外と簡単だった。


常人ならためらうであろう、その方法は、大切な眼を二つ捧げること。


神になる方法は、行動の通り目玉を二個捧げるだけらしい。しかし、自分の体の部位を切り取って捧げる数によって力も変化するらしい。


『私は…耳と鼻の感覚を失わせる…』


彼女は決断した。自分の人生(ストーリー)は決定されていた人生。だったら、それを捻じ曲げるという覚悟を決めるしかない。


耳と鼻の感覚を失うというのは、何も聞こえず匂いもしない。彼女には目も無い。五感を封じられたような状態だ。


しかし、どうだろう。体の部位を月の光に照らし捧げていれば、自分の体が突然光りだしたのだ。


感覚は自分で念じれば消えていく。その瞬間から一瞬だけ彼女の持つ世界には静寂が訪れた。


『これが…神の力…私は…もっと先に行くわ…私が全て殺すのよ…』


彼女は、事実上最強最悪の人工神者(マン・メイド・ゴッド)になったのだった。


『取り敢えず…この研究所はもう不要ね…』


彼女自身は聞こえない見えない匂いもない状態だ。しかし、彼女の周りに忌々しいような肉眼でも見える紫のオーラが取り巻いている。


そのオーラが、おそらく五感を超えた働きをするのだろう。


目が見えないはずが千里眼のようにどこまでも見渡せる。物が動く次の未来を覗くことができる。


耳の感覚、聞こえもしないはずの音は同時に自分が聞きたいと思った場所の声が聞こえるようになった。

例え、どんなに遠くても。


鼻の感覚、犬の嗅覚や猫の嗅覚と比べ物にならないほど嗅覚が優れた。


捧げた部分が以前よりも進化したのだ。これ以上捧げれば、女性の身体には負担がかかりすぎるだろう。


最高でも3つの部位が限界だ。


その直後、研究所だった場所は消滅しただの空き地と化した。当然、音もなく無音で彼女は消えた。


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