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18/30

『ヤクザ若頭に保護されたら、なぜか嫁扱いです』 龍ヶ崎燎牙 × 夜見坂澄夜 #3

##3


****


夜。


「澄夜」


低い声。

それだけで、背筋が熱くなる。


澄夜はソファの端で肩を震わせた。風呂上がりの肌へ、燎牙の視線がゆっくり絡みつく。

逃げたい。


でも。

逃げたら、本当に捕まる。


いや、違う。

捕まると分かっていて、逃げるふりをしているだけだ。


「……何」

「来い」


短い命令。

燎牙はソファへ深く座ったまま、片手を差し出している。


澄夜は少し迷って、その手へ触れた。


次の瞬間。

ぐい、と強く引かれる。


「っ♡!」


そのまま膝の上へ閉じ込められた。


「りょ、燎牙さん……っ」

「遅ぇ」


低い声が耳元へ落ちる。

煙草を減らしてからも、燎牙には独特の匂いが残っていた。


雨。

スーツ。


夜。

男の体温。


怖い匂い。

なのに、安心する。


「……待つって言ったくせに」


澄夜が小さく睨むと、燎牙は喉の奥で笑った。


「待った」

「どこが」


「お前が来るまで、手ぇ出さなかった」

「基準が低い!」


文句を言いながらも、澄夜は膝の上から降りようとしなかった。

それが答えだと、燎牙にも分かっている。


だから余計に悔しい。


****


「こっち向け」


顎を掴まれる。

視線を逸らせない。


燎牙の目は、獲物を捕まえた獣みたいだった。


「っ……♡」

「嫌なら言え」


低い声。

澄夜は一瞬、息を止めた。


燎牙は乱暴な男だ

危険な男だ。


けれど、自分が本気で嫌がることはしない。


「……嫌じゃない」


小さく答えると、燎牙の目が暗く熱を帯びた。


「なら逃げんな」


そのまま、重いキスが落ちる。

深い。


最初から容赦がない。


「んっ♡♡ ぁ……♡」

「口開けろ」


舌が深く入り込む。

絡め取られる。


息を奪われる。

澄夜の指が、思わず燎牙のシャツを掴んだ。


「っ♡ りょ、うが……♡」

「煽ったのお前」


低く笑う声。

その響きだけで、腰が震える。


燎牙は普段、ほとんど喋らない。


だから。

たまに落ちる短い言葉が、全部刺さる。


****


「立て」

「は、ぇ……♡?」


燎牙が澄夜を抱き上げる。

そのまま壁際へ追い込まれた。


逃げ道がない。

大きな身体に囲われる。


「っ♡ こわ……♡」

「今さら」


燎牙の手が、澄夜の太腿を掴む。

ゆっくり撫でるんじゃない。


開かせる。

捕まえる。


でも、壊さない。


「ぁ♡……っ」

「脚」


命令しかけた燎牙が、少しだけ言葉を止める。

それから、低く言い直した。


「開けていいか」


澄夜の顔が、一気に熱くなった。


「……そういうの、急に聞くな♡」

「お前が、勝手に決めるなって言った」


澄夜の言葉を覚えている。

囲い込むだけだった男が、待つことを覚えようとしている。


それがずるい。


「……いい」


澄夜が小さく答えると、燎牙の手に力が入った。


「澄夜」

「な、何……♡」


「そういう顔、俺の家でだけしろ」

「っ♡ 言い方……♡」


「お前の部屋でもいい」

「そこ、訂正するとこじゃない!」


強がった瞬間、燎牙の鼻先が首筋へ触れた。

匂いを確かめるみたいに。


「お前、俺の匂い付くとすぐ熱くなる」

「っ♡ そ、んなこと……♡」


次の瞬間。

首筋へ強く噛みつかれた。


「あっ♡♡♡!」


びく、と身体が跳ねる。

燎牙の舌が、噛み跡をゆっくりなぞる。


「他の奴に見せんな」

「ぁ♡……っ」


「嫌なら隠さなくていい」


燎牙の声が耳元で沈む。


「でも、俺は隠したい」


独占欲が、そのまま熱になって流れ込んでくる。


「っ♡ ば、か……♡」

「お前が悪い」


「何で俺のせい……♡」

「帰ってきた顔が可愛すぎる」


重いキス。

深い。


息が乱れる。

頭がぼうっとする。


****


「見ろ」


燎牙の指が、澄夜の顎を上げる。

視線が絡む。


逃げられない。


「っ♡……」

「その顔、俺以外に向けんな」


そのまま、深く抱かれる。


「あっ♡♡♡!」


奥。


一番熱い場所を、最初から正確に抉られる。


「ぁっ♡ や、ば……っ♡」

「逃げんな」


腰を掴まれる。

完全に固定される。


深く。

重く。


逃げ道を塞ぐみたいに。


「ぁ♡♡ むり、っ♡」

「無理じゃねぇ」


燎牙の額が、澄夜へ押し付けられる。


熱い。

獣みたいな熱。


「っ♡ こわ、ぃ……♡」

「怖ぇのに、帰ってきたのはお前だろ」


「ぅ♡……っ」


図星だった。


怖い。

燎牙は危ない男だ。


でも。

今、一番安心する場所が、この腕の中だった。


澄夜は、守られるだけのつもりはない。

置かれるつもりもない。


自分でここへ帰ってきた。

その自覚ごと、燎牙に抱き込まれている。


****


深く突き上げられる。


何度も。

何度も。


「あっ♡♡♡ ぁ、やば……♡♡」

「締まる」


「っ♡ 言う、な……♡」

「俺の家に帰ってきた顔してる」


「そんな顔、知らな……♡」


燎牙の手が、澄夜の腰をさらに引き寄せる。

逃げられない。


身体ごと、自分の縄張りへ閉じ込められていく。

けれど、以前とは少し違う。


ただ捕まっているんじゃない。

帰ってきた場所で、抱き締められている。


「っ♡ りょ、うが……♡」

「帰ってこい」


耳元。

低い声。


その瞬間、澄夜の身体が大きく震えた。


「あっ♡♡♡!」


深く突き上げられる。

奥を抉られる。


「ぁ♡♡ そこ、ぉ……っ♡」

「俺は待つ」


重い言葉。

でも、それが嬉しい。


「っ♡ ぅ、あ……♡」

「だから、お前は帰ってこい」


また奥を突かれる。

澄夜の視界が滲む。


怖い。

逃げたい。


でも。

帰る場所は、ここだった。


****


「ぁ♡♡♡ りょ、うがっ♡♡」

「離れんな」


低い声と同時に、最奥を強く抉られる。


「あぁっ♡♡♡♡!!」


絶頂。

身体が大きく跳ねる。


燎牙の腕が、澄夜を完全に抱え込んだ。

逃がさない。


壊さない。

でも、絶対に離さない。


「っ♡ ぁ、ぁ……♡」


燎牙も低く息を吐きながら、深く抱き締める。

首筋へ、もう一度キスが落ちた。


****


しばらくして。

燎牙は澄夜を胸へ閉じ込めたまま、髪へ顔を埋める。


「……帰ってきた」


掠れた声。

澄夜の胸が熱くなる。


「……俺、最初からここにいましたけど」

「違う」


燎牙の腕が、少しだけ強くなる。


「お前が、自分で帰ってきた」


澄夜は言葉に詰まった。

中盤で、自分で言った。


置かれるんじゃない。

自分で帰ってくる、と。


燎牙は、それをちゃんと覚えていた。


「……そういうとこ、ずるい」

「何が」


「怖いくせに、たまにちゃんと待つところ」


燎牙は少し黙った。

それから、澄夜の髪へ唇を押し当てる。


「待つのは苦手だ」

「知ってます」


「でも、お前が帰ってくるなら待つ」


澄夜の胸が、じわっと熱くなる。


「っ……♡ 重い……」

「今さら」


「あと、外出るなとか言ったら怒りますからね」

「危ねぇ時は言う」


「コンビニは?」

「……組員に行かせる」


「俺が行く!」

「じゃあ俺も行く」


「結局ついてくるんじゃねぇか!」


澄夜が文句を言うと、燎牙はほんの少し笑った。

その笑い方が、以前よりずっと人間らしい。


怖い男。

危ない男。


でも。

その男が帰ってくる場所は、自分だった。


澄夜は小さく息を吐き、燎牙の胸へ額を押し付ける。


「……ただいま」


燎牙の身体が、わずかに強張った。

それから、抱き締める腕が深くなる。


「おかえり」


低い声。

約束通りの言葉だった。


澄夜は目を閉じた。

怖くて、重くて、普通じゃない。


でも、もうここが帰る場所だ。


「……離れんなよ」


ぽつりと零すと、燎牙の目が少し細くなった。


「お前が言うな」


低い声と一緒に、額へキスが落ちた。


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