「エー・エー」
オレはゴトー。
今、いわゆる異世界にいます。
こっちでもこの名前でいいらしいです。まあ後藤だしな。
そして……今は頭の中に響く声……「道具」と……会話をしています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
……えーっと、とりあえず……5つ質問したいんだけどいいかな?
頭の中で整理したことを頭の中に質問するなんて、かなり変な感覚だが、オレは問いかける。
『対応可能:質問どうぞ使役者』
即座にカーナビ音声的なそれが答えてきた……OK、OK。じゃあとりあえず……。
一つ目。先代「使役者」があの「創成の魔王」で、条件を達成したから今の使役者がオレ「ゴトー」なんだよね? ……その条件ってなんだよ?
『A:先代使役者が【エー・エー】の強奪防止を目的として設定した最難たる関門=「不死なる創成の魔王の殺害」を達成したことが最大条件であった事実を報告です』
最難関の達成だって?……オレ……草を刈ってただけなんすけど……
それに不死の魔王だって?……不死って……死なないから不死と表現するんじゃないの?
……それをオレが殺したの?
……すごくもやもやするんですけど……。
でも……とりあえず達成した条件は……理解した。
じゃあ二つ目の質問。この……頭の中でのやりとりがすごく違和感あるんだが……あなた……「識者たる指揮者」って……どこにいる?
『A:【識者たる指揮者】である呼称【エー・エー】は、ベーテラ基準の数値による直径2cmにあたる魔法道具と報告です』
マジック……アイテム……!
『使役者に権限が委譲された際に「間脳視床内部の特殊核」として、物理的に新造構成されて存在している、と報告です』
脳の中に……存在?
『要約するに【エー・エー】の存在場所は使役者の頭部です:よって「頭の中でのやりとり」という表現は的確だ、と賞賛です使役者』
……なんか褒められた……魔法道具だって?……そ、そうなんだ……そんなのが脳の中にあって大丈夫なのかよ?……怖いじゃないか……あと……呼称へのこだわりが半端なくないすか?……【エー・エー】って呼んで欲しいってことなのかな? 道具から圧力をかけられるオレって……。
まあいい、続いて質問。つまりオレは……【エー・エー】を使用っていうか、使役出来るってことなのか?
『呼称|【エー・エー】の継続呼称に擬似精神は喜びの波動を申し上げます使役者』
……お、おお……どういたしまして……
『A:肯定です:今現在において、進行形で使役権行使中です:使役始動条件は魔力の流入である、と報告です:使役者の先程の行動は使役始動条件に合致したことも併せて報告です』
よくわかんないけど……喜んでるならよかった……それにしても、無視できないファンタジーな単語が出てきたよオイ……魔力ですと!?
そんでもって使役を指導する条件に合致した行動ってーー
「《超能力者》にでもなった気持ちで、スキルをイメージして念じてみる」
ーーあれか?……あの念じたやつか……?
ええっと、質問四つ目。使役って……何が出来るの?
『A:使役者の補佐として有用であると自負です:【エー・エー】の補佐能力は、技能「創造主」並びに技能「道具支配」の発動時に使役を推奨です使役者』
……ちょっと待った! それだ。
……そのスキルの名前……「道具支配」?
……さっき《エー・エー》の使役条件って言ってたやつだろ? それと《創造主》だって?
それってオレの持ってるスキルなのか?……「導くもの」が言ってたのと違わないか? どーゆうことだよ?
質問五つ目だ。オレのスキルって、「道具創成」と「道具使用」って聞いたんだけど……違うの?
『A:是定と否定です使役者』
へ?
『肯定については、使役者がどちらともに2秒ほど所持していた事実を報告です』
はい?
『否定については、現在所持している技能が、どちらともに進化した「特殊技能」である事実を報告です』
はああ!? 「特殊技能」だって!?
『補足情報として、これらの技能の保持事実は秘匿することを推奨して進言です《使役者》』
え!? 保持してることを秘匿しろ!? なんでなんで!? どーゆーことだ!?
『質疑応答の追加要請を確認です《使役者》』
うん! そうだよ! 要請! 質問追加!
「特殊技能」ってなんだよ!? それをオレが持ってるのか? で、何故秘匿を推奨する?
『A:特殊技能とは、技能の経験値が一定の積算を経て行われるレベルアップを繰り返すことの結果により、技能が進化してランクアップした上級の技能である、と回答です』
進化したスキル……。
『使役者は、「創造主」と「道具支配」の二つの特殊技能を現在進行形で所持している、と報告です』
『保持事実の秘匿推奨については、使役者が所持する二つの特殊技能が、進化・取得する為に必要な特殊条件がある希少な技能である点を留意です』
希少スキル……?
『所持事実を公開することにより、アーテラにおける国家間勢力へ甚大な影響を及ぼすと判断される公算が極大である点を懸念です』
なにそれ……怖い。
『権力闘争への参加を強制される事態も懸念材料として報告です』
チキンレース!?
『以上の公算を併せた結果により、保持事実の秘匿を推奨して進言です』
うーん……《特殊技能》かあ……ってことは当然便利かつ有用ってことなんだろうが……隠した方がいいスキルって微妙だなあ……それにしても秘匿ってどうやってやればいいんだか……。
『A:使役者はすでに特殊技能隠匿に適した魔法道具【隠蔽した飾り窓】を所持している事実を報告です』
へ?
『チュートリアル終了時に【エー・エー】の補佐により【隠蔽した飾り窓】を使役しての隠匿作業実践を提案して進言です使役者』
……【隠蔽した飾り窓】? そんなものを……所持してる実感なんてまったくないよ?
『A:チュートリアル進行により実感たる知覚が可能と報告です』
とりあえずチュートリアルをやれってことか……。
その前にもうちょい聞きたい。スキルについてさらに質問を追加だ。
オレは創造主と道具支配を使いこなせるのか?。
『A:《技能》使用経験の蓄積を進言です』
ふむふむ。
『状況理解並びに感覚把握が進捗すると推測です』
ほう。
『《エー・エー》の補佐が有用だと進言です』
おお……。
『まずはチュートリアルモードの使役が最適解だと推奨です《使役者》』
やっぱりチュートリアルか……何よりとりあえず使ってみろってことか。
でもその前にどうしても気になってきた。もういっちょ追加質問だ。
『対応可能です:質問どうぞ《使役者》』
そもそもスキルってなんだ? なぜ、なんのために存在してる?
『A:《技能》とは、アーテラに存在する概念である、と報告です』
概念?
『より上位の存在よりアーテラ人に貸与され、研鑽・流布が進行した《精神強化概念》である、と報告です』
上位から貸与?
『またベーテラより至る《越境者》は、生命改変時に合わせて概念取得している、と報告です』
地球人……ってことか……。
『例示することの「極限まで集中する」「全力で打撃を放つ」「最大限に跳躍する」などの延長線上にあり更なる効果を発揮するもの、と説明です』
……漫画とかでよくあるやつかな……。
『《技能》の存在意義とは、人類の生存技術である、と報告です』
つまり……魔法とか、超能力とか……そんな感じ?。
『A:肯定です』
やっぱり……いわゆる剣と魔法の世界ってことか……じゃあ例えば、銃みたいな兵器とか……電車とか車とかみたいないわゆる科学技術ってのはあるのかな?
『A:現時点では回答不能です:使役者の記憶情報への接続を希望です』
記憶へのアクセスだって? うーん……まあいいか。今は情報が欲しい。持ってけオレの記憶! 接続OK!
『脳内記憶領域へ接続開始…………情報取得完了です』
うーん……なんか頭の中がざわっとしたあ……。
『A:アーテラ現在において、ベーテラ現在の科学技術の存在は殆どありません』
ない……てことは……。
『アーテラにおける生存技術の発展は、ベーテラにおける進化とはまったく異なるベクトルで成されている、と説明です』
進化のベクトル……?
『つまり科学技術に相当する存在はあると報告です:例示することの、「ベーテラにおける銃火器・航空機・原動機付自動走行車」に対して「アーテラにおける攻撃魔法技能・精霊使役魔法技能・移動用魔獣類調教使役技能」辺りを比較対象として例示です:要約するに「ベーテラにおける科学技術の進化・向上による生産品の使用」に対して「アーテラにおける精神強化概念の発達・習得による技能の使役」である、と報告です使役者』
……なるほどねえ……こんなこといっちゃあれだが……企画中のスマホゲーの世界観設定と似てる。
採用に際し、ありがちな設定だと会議が散々紛糾した経緯を思い出した。
つまり異世界アーテラは、いわゆるベタなファンタジー世界ってことだろうか。
理解しやすい……と前向きに捉えるべきか。
ここは、ありがちな剣と魔法の世界ってわけだ。
……だけど……テンション上がるぞ……剣と魔法の世界って響きは。
『質疑応答の完了と判断です』
『チュートリアルモードに移行しました:チュートリアル開始:→yes / no 』
もちろん→yesでポチっとな!
なんか……オラわくわくしてきたぞ!




