表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/47

発動

 ……よし……オレはスキルが使えるのか……やってみようじゃないか。

 方法はまったくわからないが……あえてポジティブな方向に思考の舵をきる。レッツトライ! だ。


 そろりそろりと匍匐前進のようにして移動し……実際には片腕片足で不格好であったが、なんとか近くにあった大木へと背を預ける。

 周囲に気を配り……OK、誰も、何もいないハズだ……よし、ここでいいか。

 まずは……超能力者にでもなった気持ちで、スキルをイメージして念じてみる。


 《道具創成(アイテム・クリエイト)》!

  とりあえず……なにかしらの道具でオレの手足の補助がしたい!……なんか……創成(クリエイト)してくれ~!


 ……沈黙の空間に風の音と犬の遠吠えが響いていく……そりゃそうか……まあダメだよね……失敗の気配に気持ちが萎えかけたその時。


『ピコピコピコーーン!』


「……うわあぁぁ!」


 突然鳴り響いた『音』に驚いて、口から出てしまった悲鳴が木々の間に木霊していく。


 な……なんだこれ?。


 驚くオレの頭に、続けざまに謎の声が響いていく……。


『《道具支配(アイテム・ルーラー)》発動確認しました』


『《鍵道具(キー・アイテム)》登録開始します』


創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)の回収を希望(リクエスト)します』


 ……なんだって?……なんだこれ……?


 それは耳でとらえた音じゃなかった。機械的で女性的な……まるでカーナビの音声だ。それが……オレの……頭の中に響いてる?

 これが……スキルなのか!?


創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)の回収を希望(リクエスト)します』


 ……え?……え?……なんすか?……創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)


創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)の回収を希望(リクエスト)します』


 だ……だからなんですかそれ!?

 慌てふためき狼狽えまくるオレ……突然頭の中に干渉される感覚があった。映像というか、明確なイメージが浮かび上がる。

 銀色に輝く金属のパーツ……空き缶みたいな形状で……表面に細かい模様が刻まれていて……

 猛烈な既視感。オレ……これ見たことあるぞ……?

 頭の中に映し出されたイメージが更新される。

 ……これはあの時だ……あのネズミ頭の魔王、創成の魔王ヴィシュバー・クルマーンをぶった切ってしまった瞬間だ……。

 そして、倒れ伏す創成の魔王の傍らに、銀色に光るものが落ちているのが見えた。

 ……あ! 思い出した! 蹴っ飛ばしちゃった()()だ!?


『記憶映像投影成功:希望(リクエスト)対象は()()です:現在地点はここ……対象はここです:速やかな回収を希望(リクエスト)します』


 イメージにうながされるまま這って進み……草刈り機の隣に……あった。

 オレは、おそらくスキルが発動したということに対して……抑えられない高揚感を感じ、未知なる体験をしていることに興奮していた。

 ()()されるまま、何も考えずに()()に手を伸ばす……。


『ピコピコピコーーン!』


 おお!?


『《鍵道具(キー・アイテム)》:《創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)》登録完了しました』


 登録?


『《使役者(マスター)》:《ゴトー》登録完了しました』


 マスター?


『《識者たる指揮者アンサー・アナウンサー》:ナビゲートモード終了:チュートリアルモードに移行します』


 ……ナビ?……チュートリアル?


『はじめまして《使役者(マスター)》:《ゴトー》』


 ……ゴトーってオレだよな……?……オレ……《使役者(マスター)》なの?……は、はじめまして……。


『チュートリアルモードに移行しました:チュートリアル開始:→yes / no 』


 ……ちょ、ちょ、ちょっと!まってくれ!


『待機します』


 ……あの……質問……いいすか?


《保持情報群(データベース)》展開:質問どうぞ』


 ……えっと……なにから聞いていいのやら……パニックだ……。

 とりあえず……ここは……アーテラ?ってところ……てゆーか異世界なんすか?


『A:開始:肯定です《使役者(マスター)》』


 ……そ……そうか……ところで……あの、あなた……()()ですか?


『A:開始:私はあなたを補佐する道具(アイテム)と表明です』



 アイテム???


『開示出来る情報は3つです』


 ……はい


『私の固有名は《識者たる指揮者アンサー・アナウンサー》:先代使役者(マスター)である創成の魔王ヴィシュバー・クルマーン創成(クリエイト)し使役していた創成道具(クリエイト・アイテム)と報告です』


 先代……創成の……魔王……


『全条件達成により現在の使役者(マスター)は《ゴトー》です:継続使役条件は技能(スキル)道具支配(アイテム・ルーラー)》と鍵道具(キー・アイテム):《創魔の魔術杖(ヴィシュバー・ワンド)》の所持・使用と報告です』


 オレが……マスター?


『先代使役者(マスター)により設定された呼称は《エー・エー》と報告です:私が保持する擬似精神(シュード・マインド)に計上された適応レベルは最高値(マックス)と報告です:よって継続呼称を希望(リクエスト)です』


 エー……エー……


『以上をもって回答完了です』


 ……もちろん……速攻で心の整理作業ナンバリング・ルーティーンを行ったのは言うまでもない。


 オレが会話しているのは、頭から響く声だ。姿形のない《識者たる指揮者アンサー・アナウンサー》と会話をしている……つまり、頭の中から響く声と会話をしているわけだ。

 古典的だが、ほっぺたをつねって見た。……痛い。ちゃんと痛い。

 オレ……大丈夫かな……傍から見れば……馬鹿みたいに口を開けて宙を見上げて、一人でブツブツやっているわけで、かなりアブナイおっさんな状況だが……。


 不思議と、少しワクワクしている自分がいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ