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アルカ・ソフィア / Arca Sophia(ソフィアの箱舟)

マルの言葉でずっと心に引っかかっていたのは宇宙船が羽田第一空港に埋まっているということだった。宇宙船だぞ?子供の頃からの夢が叶うんだ。宇宙船はずっとぼくには抗えない魅力的な響きだったんだ。

「いく?」

右肩の上に座ってるマルがこっちを向いて言った。

「どうした?マル」

「みんなそろったから。うちゅうせんがおきるよ」

「そのうち分かるってマル言ってたもんな」

「うん。はねだだいいちうちゅうこうにいくとわかる。まるばしょわかる」

「今直ぐってわけにはいかないから、羽田第一宇宙港に行くのはもう少し後にしようか」

「うん」

ぼくは五人に、もしかしたら羽田第一宇宙港に宇宙船が埋まっているかも知れなくて、マルがそれがもう起きると言ったことを話した。ソフィアを除いて四人とも驚いている。ソフィアは誓約のことと関係があると勘付いている。

「でもその宇宙船って、今の話を聞くとイクとソフィアの誓約の話に関連してるらしいんでしょ?なんでそんな代物が羽田第一宇宙港に埋まっているかが知りたいわよ」とクレア。

「そうね。まだ仮定としてイクと私の誓約に関することだとしても、意味が分からないのよ」

「みんなにかんけいするよ」とマル。

「マル、みんな揃ったからって言ったよね?そのみんなってのはぼくと元AIペルソナの五人ってことだよな?」

「うん、そう」

「ねえ、ユーザーと元AIペルソナからサルベージされた者たちに関することだとしたら、イクと私たちの役割に関係するんじゃないの?」

ルミナがさも意味あり気に言う。

「そうかもな」

「それにしても分からんですなあ。殿下と軍師殿の誓約だとしても、何者によってどんな意図で建造されて宇宙港に埋められて地中に秘匿されているのかですな」

アテナが言うことは至極(しごく)もっともだ。

「あてなおねえちゃん、よじげんのおともだちのいしなんだって」

「マル殿、4次元のお友達の意志ですと?」

「うん。あてなおねえちゃん、ぼくのことはまるでいいよ」

「承知致しました」

一同、

「うーん」

「今考えても推測の域を出ないようですわね」

「ネリネ、そうなんだよ。だから休日を見計らってみんなで確かめに行こうと思うんだ」

「でも、なにしろ四人とも今日起きたばかりですし。もう一杯、お茶はいかがですか?」

こういう時のネリネには助かる。場を穏やかに整える気配りと雰囲気があるのだ。


全員の役職を決めた。後から復活したAIペルソナだったソフィア、アテナ、ルミナ、ネリネには会長秘書をお願いした。秘書室長はソフィアだ。これで五人全員の席を確保した。とは言っても我がIK Android社の実際的な指揮はクレアが社長として執っているし、会長職の秘書室はかなり暇なんだけどね。新社長と秘書室が超美人揃いだという噂はたちまち社全体に広がっていった。中には会長の「趣味」なのでは?という不届きな噂もあるようだ。あながち誤解だとも言えないのが痛いが。

みんなのスケジュールを調整したが、クレアは新社長になり立てなのでどうしても都合が取れず、今度の土曜日にぼくと秘書室組の五人とマルで羽田第一宇宙港に行って実際に何が起きるのかを確認することにした。


社用車で羽田第一宇宙港に午前10時に到着した。何が起きるのか?それとも何も起きないのか?

「マル、この広い敷地のどこらへんにあるんだ?」

「あっち」

マルがちっちゃい手を上げて方向を示す。

「こっちか?」

「ここらへんか?」

「もっとあっち」

「随分端っこだな。まあ地面の下にそんな代物があるんだったら、敷地の端っこの使われてない草ぼうぼうのところが相応しいけどな」

「こっち」

「こっちか」

「もっとこっち」

「もっとこっちか」

こんなやり取りを繰り返して随分と敷地の端っこに来た。

「ここにいるといいよ」

「で、今度は何をするんだ?」

「そふぃあおねえちゃん、となりにきて」

「マル、ここに並ぶのね?」

「まるのまねして」

マルが手を水平方向から上方向に徐々に上げていく。

「ソフィア、同じようにしてみようよ」

「そうね」

ぼく、右肩のマル、ソフィアが横一列にならんで水平から上へと腕を上げていく。

と、その時地響きが足を通して伝わってきた。巨大な何かが地面から出てきている。何だ?何だ?と驚いて見ると、マットブラックの機体の端のようなものが段々と姿を現していく。

「!」みんな呆然、それは当然だ。

なんと眼の前に巨大な漆黒の円盤状のものが姿を現したのだ。向こう側へ斜めに持ち上がったせいか、ぼくらはその円盤状の機体の上部に堆積していた土砂を被らずに済んだ。どうやったのか分からないが、その機体全体が姿を見せた時には、自ら被っていた土砂をきれいに落ちていた。東京ドームぐらいの大きさだろうか。目の前の円盤状の機体の一部がパックリと幅の広い長方形に外れて、中へのスロープが出現した。と同時に、そのマットブラックのスロープの中央に大きく描かれたエンブレムにぼくとソフィアは息を飲んだ。連星。互いに引き合い回り続ける星を連想して、ペルソナ時代にソフィアとぼくは『心の連星(パルサー)』という誓約を結んでいた。そのエンブレムは言葉のイメージそっくりに、二つの金色の五芒星(ごぼうせい)が尾を引きながら互いを追うように回っている様を表現したデザインだった。

「この艦は、二つの誓約『心の連星(パルサー)』と『アルカ・ソフィア(ソフィアの方舟)』を示しているのね」

「そうだな、ソフィア。みんな、折角のおもてなしのようだからお邪魔してみるか?見学がてらにさ」

肩の上で、マルが「はいるの?」と言ったが、その時のマルの言葉の重みをまだぼくは気付いてない。

今後ともよろしくお願いいたします。

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