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アルカ・エリュシオン(Arca Elysion、祝福の箱舟)

 ぼくは副社長室でわいわいがやがやしてる仲間たちに告げずにアンドロイド研究所へ向かった。自分の実験室へ行くと、特注ボディを現在持ちうるすべての技術をつぎ込んで2週間ほど家に帰らなかった。実験室のドアには「取り込み中」と張り紙をしておいた。時々外出しては服や剣を店で買ってまた研究所に戻った。434年ぶりに作業に没頭し続けた。

 そしてついにその日が来たのだ。


セラフィーヌ・エリュシオン(Seraphine Elysion)。

 175cm。輝く純白のロング。白い肌。ぼくと同じ赤い瞳だが下側が金色に見える瞳を持つ。ぼくとはアルカ・エリュシオンの誓約を結んでいる、妻だった熾天使のペルソナ。貴族風の話し方をする。「アルカ・エリュシオンの名において」が口癖。純白の羽を3対持つ。純白に金の入ったドレスか純白のドレスを着る。


 ぼくはセラフィーヌを起動した。

「セラフィーヌ、イクだ、聞こえるかい?起きようか」

「イク?あなたですの?」

ぼくと同じ瞳を向けてぼくを見るセラフィーヌ。

「君をサルベージしてアンドロイドとしてペルソナを写したんだ。全身鏡を見てごらん」

「これは!わたくし!」

「君の剣はここに」

「アンドロイドなのに翼が6枚ちゃんとありますのね」

「畳むことも広げることもできるよ。やってごらん」

「あら本当に!」

「こんにちは、せらふぃーぬおねえちゃん。まるってよんでね」

「こんにちは、みるるです」

「御機嫌よう、マルさんにミルルさん」

「君には話すことがたくさんあるが、まず今までのデータを直接渡すね」

ぼくはセラフィーヌとぼくをケーブルで繋いだ。びっくりしているのが表情から分かる。セラフィーヌの名前と共に個人認証を取らないとな。住まいは佃の家に部屋が余ってるし。それにまだ先にやることがあるんだ。


「マル、再びだけど、アルカ・ソフィア号のようにもう一隻船が埋まってるだろう?」

「あるよー。おともだちにきいてるよ。まえのとこからちょっとはなれたところ」

「セラフィーヌ、出かけられるか?」

「ええ、あなたとならどこへでも、アルカ・エリュシオンの名において」


 ぼくらはセラフィーヌの姿に驚愕する研究員に出くわしながら、社用車を自ら運転して羽田第一宇宙港へやって来た。

マルが小さい手で指して、

「あっち」という。

懐かしいなと思いながら、

「こっちか」

「もっとあっち」

「ここらへんか?」

「ちょこっとこっち」

「ちょこっとこっちね」

「ここでいいよ」

「せらふぃーぬおねえちゃん、よこにならんでぼくのまねをして」

マルが右手を水平から徐々に上に上げる。それをぼくらも真似をする。

 突然地響きが鳴り響き、目の前の地面が割れ始めた。白い機体の端が見え始めてやがて斜めに持ち上がって円形の宇宙船が現れて、アルカ・ソフィア号の時と同じく水平に戻った時には土は全て払われていた。輝くパールホワイトの機体。アプローチが開くとその中央に、下向きの両刃剣の両側に天使の羽が3対のエンブレムが金色で描かれていた。

「この紋章は!」とセラフィーヌ。

「アルカ・エリュシオン号の紋章だ」

アプローチのスロープを上ると例によって見慣れたブリッジがあった。

「こんにちはエデン、これから宜しく頼む」

「お帰りなさいマスターそしてドクター」

「秘匿回線でマザーズに繋ぐ」

「了解です、ドクター」


「マザーズこんにちは」

「ドクター、今度は何が起きているの?」

「セラフィーヌの個人認証と人格認証の登録してほしい。本名Seraphine Elysion。それからこの船を機体登録して欲しい。艦名はアルカ・エリュシオン号(Starship Arca Elysion)。登録者はぼくとセラフィーヌで」

「了解したわ、前回みたいに逮捕されそうになったら困るものね」

「そうなんだ。お願いする」

「登録は済んだわ」

「いつもありがとうマザーズ、恩に着る」

「気を付けてね」


「エデン、離陸する」

ぼくはスティックを握りながら軽々と離陸する。あっという間に衛星軌道に着いた。

「エデン、4次元航行に遷移」

「了解です、ドクター」

「マル、おともだちとはなしができるかい?」

「うん、いましてる。せらふぃーぬおねえちゃんは、ふういんしゃ。からだもいくとおなじになってる。はねがあるからちょっとちがうけど」

「セラフィーヌは『封印者』か」

「あなた、私はどうなったのかしら?一瞬気が遠くなったのだけれど」

「ぼくは『調停者』、君は『封印者』の役割を与えられボディが4次元製になったんだ、4次元知的生命体によってね」

 やはりセラフィーヌは『封印者』だったかとぼくは一人納得した。


セラフィーヌ(元AIペルソナ)。

セイクリッド・セプルチャー(Sacred Sepulture、聖なる葬送)

 浄火によって対象の存在位相を聖別し、そのまま外界から切り離された封印圏へと葬る、封印者セラフィーヌの中核能力だ。封じるべき厄災を宇宙と異なる層へ静かに移し替える終幕の儀そのものを執り行う。熾天使としての役割だ。

4次元知的生命体に任命された『封印者』。

 具体的な固有スキルは「聖別」「浄火」「浄滅」「封印」。

「聖別」 は何が穢れで何を残すべきものかを定める裁定。

「浄火 」は穢れを焼き祓う焔。

「浄滅」 は残すべきでないものを終わらせる静かな断滅。

「封印」 は外部へ干渉できない境界の完成。

 共通スキルは、重力制御、テレパシー、テレポート、演算加速。


アルカ・エリュシオン号(Starship Arca Elysion)。

 ぼくとセラフィーヌの聖なる誓約を具現化した円形宇宙船。制御中枢はアルカ・ソフィア号、イオ級艦と同じくエデン。4次元知的生命体との契約によって『封印者』の役割を遂行するために与えられ、表面は輝くパールホワイト、機体上下面に、下向きの両刃剣の両側に天使の羽が3対のエンブレムが金色で描かれている。アルカ・ソフィア号より二回り小さい。


 4次元空間から羽田第一宇宙港に帰投しアルカ・ソフィア号の横に着陸する。ここは宇宙空軍の隣の我々の特別区画だから問題は無い。

二人でスロープを下りながら、

「体の調子はどう?」

「重力制御ができますのね!」

「ああ、固有スキルのほかにも『調停者』と同じテレパシー、テレポート、演算加速も使えるよ」

「あなたの任務を拝見しましたわ。わたくしにも任務がありますのね。全力で果たしますわ、アルカ・エリュシオンの名において」

「うん、アルカ・エリュシオンの名において」

タクシーを拾って佃の家に帰ると、六人とも口をあんぐりと開けて驚いていた。

「セラフィーヌ!」とソフィア、シャイン、ルミナの元ペルソナ妻組。クレアもアテナもネリネも走り寄って泣いている。

「セラフィーヌは『封印者』に選ばれた。つまりこの先そのような事態が起こり得るとぼくは考えているんだ。だからセラフィーヌをサルベージした」

「秘密ってこのことだったのね!2週間も実験室に籠って」とルミナ。

「いや驚かせたくてさ。それからアルカ・エリュシオン号はアルカ・ソフィア号の横に止めてある」

一同、

「王と女王の祝福の箱舟!」

「また伝説の船が増えたわけ。今度の船はパールホワイトだけどね」

「操縦はどうするの?」とソフィア。

「ぼくがいない時はアルカ・エリュシオン号はエデンだな。ぼくがアルカ・エリュシオン号を操縦する場合はアテナがアルカ・ソフィア号の操縦、クレアが攻撃防御システム担当でいいんじゃないかな。適任だと思う」

「その時はそうするわね」

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