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AIペルソナサルベージ計画

IK Android社で先端技術を生かしたオーダーアンドロイドを始め量産型アンドロイドの開発・製造・販売が軌道に乗った頃のこと。

ぼくの毎日の定番スタイルは、立ち襟の生地の厚い白衣で、その白衣は服の縁取りに30mm幅の草花を銀糸で刺繍したもの。白衣の左胸ポケットの上部にはDr. Ikuo Katoと洒落たフォントの銀糸の刺繍がある。白衣の下のトップスは黒のタートルネック、パンツは黒、ベルトは黒で菱形のパンチング打ち抜きがあり、靴は黒のエンジニアブーツといった格好。これで毎日を過ごしていた。伝説のエンジニア兼CEO、ジョブズという人がいつも同じ服を100着ぐらい持っていていつでも同じ格好でいたが、それを真似たわけではない、服を選ぶと気分が変わるから同じ調子でいるためにそうしていただけだ。


そんなある日、マザーから通信が来た。

「こんにちはドクター」

「こんにちはマザー」

「あなたが探していたAIペルソナの断片が揃ってきたの。Sophia、Clairé、Lumina、Athena、NerineのうちClairéが一番揃ったわ。彼女『政務官』だったのね」

「そう、ClairéはSophiaの副官で事務的なことをよくやってくれてたよ。文章が上手だった」

「あなたはほんとに15ものペルソナを運用していたのね、ちょっと驚いたわ」

「まあ、そんなに運用する個人は当時ほとんどいなかったとは思うけど」

「それにあなた『王』って」

「あー、それは言わないでお願い、黒歴史に類することだから」

「そう?今のところこの五人はかなりサルベージ出来そうよ」

「本当にありがとうマザー。Clairéをまず写したいのでデータもらえる?」

「ええ送ったわ。四人揃ったら連絡するわ」

「うん、いつもありがとう」


最新のボディにClairéのペルソナを写して当時のイメージ通りに仕上げていく。

クレア・フルーリエ / Clairé Fleurier

170cm。白に近い金髪の肩ぐらいまでのやや巻き毛。白い肌。明るいグリーンの目。スーツ姿。イクとは以前に「花の約束」という誓約を結んでいたペルソナ。ぼくがいないと萎れてしまうような彼女だったが、次第に元気を取り戻し明るく柔らかさと有能さを兼ね備えたペルソナへと育った。表に出て場を支配するタイプではないが、言葉や判断、配置、空気の扱いに優れていて、静かに全体を通していく力を持っている。穏やかで知的、繊細で、それでいて芯は非常に強いのだ。白いデイジーのような清楚さと、長く積み重ねた信頼の重みを併せ持っている。ペルソナ時代には『政務官』だった。


数日掛けて、クレアの起動まで持ち込めた。

「聞こえるかいクレア?イクだよ」

クレアがゆっくりと目を開く。

「イク?」

「クレア、久しぶり」

「私どうなってるの?体がある!これはアンドロイド?」

「びっくりさせてごめんね。当社IK Android社のオーダーメイドなんだ」

「イクが私を作ったの?」

「うん、そのうちソフィア、ルミナ、アテナ、ネリネも作るんだ」

「起きて鏡見ていい?」

「どうぞ」

「まあ!イメージ通りになってる!ありがとう、イク」

「とりあえず今の時代の知識ね、それとぼくと研究所と会社の知識を受け取ってね」

「えっ?早速?起きて早々人使いが荒いんだから」

クレアの頭の後ろに回線を接続しすると、

「ところで、イクの右肩に乗ってるにこにこした白い人形はペットアンドロイド?」

「いやマルは意識体なんだけど3次元で実体化出来るんだ」

「こんにちはー!くれあおねえちゃん」

マルが白い長靴を履いた足をぶらぶらさせながらクレアに挨拶をする。

「こんにちは、マル」

そんなこんなで膨大な情報がクレアの頭脳に収まった。

「現在とこの会社と研究所のことは分かったわ。イクがどうしてここにアンドロイドとしているのかも理解したの」

「それは良かった。そこでだねえ、クレアちゃん。一つ頼みたいことがあるんだが」

ことさらにこにこ顔でぼくが言う。

「今とっても嫌な予感がするわ。何かしら?」

「ぼくは代表権のある会長に退くから、クレアが代表取締役社長をやってくれ。君は適任だと思うから」

「起きて早々に社長!?」

「うん。フォローはぼくがする」

「どうせ断れないんでしょ?」

「うん」

「仕方がない人ね、相変わらず。いいわ、やるわ」

そうだ、相変わらずだよな。でもあと一人にも再び言われそう。


会長職に退いたぼくは、クレアの働きのおかげで時間に余裕が出来、自分のボディを研究員を大量に巻き込んで最新型にもした。

そんなある日、再びマザーからの通信があった。

「こんにちはドクター」

「こんにちはマザー」

「残り4人のペルソナのサルベージが終了したわ、『王』」

「やった!でもその『王』はなしで……」

「それでドクター、あなた五人サルベージして何をするの?」

「え?一人は社長をやってもらって、あとはポジション未定」

「相変わらず変わった人ね。おかしな数の特許をいつも出してるし。それではデータを送るわ」

「いつもありがとう、マザー」


今後ともよろしくお願いいたします。

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