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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
第四章 冬の戦い、11の先へ
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第四十五話 先輩と破壊と姉弟と

 第三特別棟四階廊下。


 これでほとんどの戦力が削られます。藤堂さんと金剛君の対決です。非情に心配な戦いですけど大丈夫でしょうか。


「さて、金剛君だっけじゃあ、はじめましょうか先輩として倒させてもらうわ」

「よかろう我にはむかうことを許そう」

「それはどうも。まあ、慢心しすぎて足元掬われないようにしなさいね」

「笑止、我が負けることなどありえぬ」

「ならその絶対の自信砕いてあげる」


 木刀を構える藤堂さん、一方素手で自然体の金剛君。


「来るが良い」

「なら遠慮なく」


 木刀を構え金剛君に疾駆する。


「やああああ!!」


 ドッ!


 木刀は屈強な金剛君の体に傷を負わせることはなかった。


「さすが、鍛えてることはあるわね……あの頃とは違うか」

「ふん、我の力を使うまでもないな。フンッ!!」


 腕を薙ぐそれだけで藤堂さんが吹っ飛びます。廊下の端から端まで吹っ飛びました。凄まじい筋力ですね。がたいもいいですし結構……い、いえそんなことはないですよ。わたしの好きな人はって! なに言ってるんだろうわたし。落ち着け落ち着け。


「痛、まったくここまで飛ばされるとは本格的にあの頃とは違うようね」

「行くぞ!」


 金剛君が一瞬で廊下を駆け抜ける。


「ここじゃ戦いにくいわね。場所を帰ることにするわ」


 パリィン!


 窓を割り藤堂さんが飛び降りた。ってここ四階です!!


「ホッ! セッ! ヤッ!」


 近くにはえていた木。その枝を使いなんなく地面に着地しただっ広い校庭へと走っていった。運動能力が高いんですね、わかります。


「なるほど衰えてはいないようだな」


 金剛君はそのまま飛び降り何事もなかったかのように着地した。そして走る。一瞬で藤堂さんを追い越し前にでた。


「ふう、さっすがまた早くなったみたいね」

「これくらいで驚かれては困る」

「まさかこれくらいは当然でしょ。ほら、続きやるわよ」


 このお二人会話を聞くに知り合いか何かなのでしょうか。


「はあああ!」


 藤堂さんが木刀を振るう。それを拳で弾く金剛君。一歩も譲らない戦いが続く。と言っても異様な光景だ。木刀を拳で弾く。普通ではない。


「どうしたその程度か」

「冗談、まだまだ序の口よ」


 さらに速く重く木刀を振るう藤堂さん。しかし、それに難無くあわせて拳を振るう金剛君。この二人の攻撃に耐えている木刀の方がすごいとわたしはおもいます。アレも南雲製なのでしょうか。どこかにマークでも彫ってないでしょうか気になります。


「はああ!」


 ザンッ!


 木刀の横薙ぎの一振りをバックステップでかわす金剛君。二人とも一度距離をとる。


「筋力、反応速度、速さ。そのどれをとってもあの頃と段違いね。でもま、関係ないでしょ」


 藤堂さんが金剛君の元へ疾駆する。


「セイッ!!」


 木刀を横薙ぐ。それをかわす金剛君。さらに踏み込み横薙ぐ。それもかわす。今までとは比べ物にならない速さです。


「フン、ようやく本気になってきたようだな」

「しゃべってる暇があるなら集中する事ね」

「笑止、これくらいわけない」

「あら、そう」


 意に返さず二人の攻防は続く。繰り出される木刀と拳。


「まだまた!」

「まだだな」


 繰り出される拳。それを後ろに飛んでよける藤堂さん。そのまま距離をとる二人。


「フッ、なるほどやるな流石は我が姉上だ」


 金剛君が言い放った。ってええええええええええ!! 藤堂さんが金剛君の姉!! あ、そうです金剛君は一年生です。衝撃の事実発覚です。あれでも名字が違うような。


「一時期だけでしょう」

「フッ、それでも我の姉上であったことには変わりない。我はあなたを尊敬し誇りに思っていた」

「……」

「我らの両親が離婚し離れてもこの気持ちは変わらなかった」


 あ~、なるほど両親が離婚して離れ離れになったんですね~。ってことはこれは再会ですか~。でも、なんで戦ってるんでしょう。


「強……」

「この高校にいると知ったときは我はうれしいと思った。我のことを覚えていないとしても我はそれでも良いとおもった」

「私もあなたのことは忘れたことはなかったわ。あなたのことはとても心配だった。この高校に来たと知ったとき私は本当はいやだった。あなたがこの高校に来たらかならず11組に配属されるから。私と同じ道をたどると思ったから」

「そうそして我はここにいる」

「……だから私はここにいる。あなたは11(イレブン)にいるということがどういうことか知らないから。私が止める」

「話は合わないようだな」

「ええ、だから力ずくで」

「いいだろう」


 二人の雰囲気が変わった。


「本気で行かせてもらうぞ姉上」


 ドッ


 金剛君を中心に地面が砂になった。


「クッ!!」


 藤堂さんは跳んで木の上に立ち砂の範囲から逃れる。


「触れたものを破壊する能力。電子を切断し物質を分解する……あなたもなのね」

「甘いな姉上!!」


 木の下の地面も砂になり木が倒れる。


「クッ!」


 藤堂さんは木の上に乗った。


「なぜ力を使わない」


 藤堂さんの後ろに金剛君が立っていた。


「……あなたこんなに力をつかって見せびらかして楽しい?」

「ああ、楽しい。我の強さがわかるからな」

「そう……変わったわね。なら……」


 藤堂さんの雰囲気が冷たくなる。


「私が力ずくで止めてあげる」


 木刀を振るう。


「ようやく本気になったか姉上! 我とどちらが上か」


 金剛君が避けている間に藤堂さんはすでに無事な場所に居た。


「な!?」

「遅いわね。ほらこっち来なさいよ」


 藤堂さんの瞳からは感情が消えていた。


「行くぞ!」


 跳んで来る金剛君に木刀を振るう。


「分解してくれる!」


 金剛君が木刀に触れるが木刀は分解されない。


「この程度の力なの。ふ~ん。期待はずれね」


 冷たい声でそういい金剛君ごと無造作に木刀を振る。


「ヌアッ!」


 金剛君は体育倉庫の壁にぶち当たった。


「クッ、どういうことだ!?」

「簡単なこと」


 藤堂さんが金剛君の胸に木刀をつきたて立たせる。


「グウッ」


 金剛君の胸に木刀がめり込む。


「お前の力が分子間の電子を切断する能力なら私の力は電子を操る能力だということ。お前とは能力の強さが違うのよ。だから、そこで反省しなさい」


 ドゴンッ!!


「ガハッ!!」


 容赦なく金剛君を壁に叩きつけた。体育倉庫の壁に穴が開き金剛君は気絶した。


「ふう」

「ひゅ~。おっかないね~」

「切夜直人か」

「そうそう、悪いんだけどさ君もここで休んでれば」

「そうね、あなたに私はかなわないだろうけどそれでもあと二つはもらっていこうかしら」

「そうしろ」


 藤堂さんが特別武装風紀委員会(ガーディアンズ)に向かう。


 バタッ


「ふう」


 立っているのは切夜直人一人。


「おい麻耶」

「もうしわけありません」

「なに、この化物を倒したんだどうでもいいさ。さて、俺は行く」

「はい、御武運を」


 切夜直人が駆け抜ける。


****


 11(イレブン)ルーム。


「さて、そろそろ私も動くとしよう。飛鳥あとはかってにやっていろ」

「わかった」

「さて、いくとするか。執事共そこで主人を守れなかったことを悔いていろ」


 11(イレブン)ルームにはセンバスチャンズが倒れていた。


「すみませぬ、坊ちゃん」


 ナンバー1(ワン)神野クロードが動く。


****


 生徒会室


「計画通り進んだ、後は11(イレブン)の神野と特別武装風紀委員会(ガーディアンズ)の切夜を倒すだけだ。行くぞ、最後の戦いだ。これで終わらせるぞ」

「ああ、隼人行くぞ」

「ここを放棄する。戦えない者は直ちに戦線を離脱し高校を出ろ」

「わかりました」

「佐藤と綾崎、こいつらを無事に脱出させてやってくれ危険はないと思うがたのんだ」

「わかったで」

「わかったわ」

「桜崎頼んだぞ」

「はい、帰ってきてくださいね」

「ああ。行くぞ」


 最後の戦いへ。


****


「さあってここからクライマックスだね~」

「佐藤帝何を考えているんです」

「ウメちゃんは知らなくていいことだよ。君は見ているだけでいいんだよ」

「……」

「大丈夫だよ、これで俺の計画は次の段階へ進むんだから」


 佐藤帝が不敵に笑っている。


「あなたの計画通りに行くとは限りませんよ」

「フッ、それはどうかな」

「あまり甘くみないことです」

「お~怖い怖い肝に銘じておくよ。さて、そろそろだ。そろそろ計画は次に進む、楽しみだ」


 佐藤帝が笑う。その笑いは何を意味するのか。




 現状報告


 生徒会残存兵力6名


 11(イレブン) 残存兵力2名


 特別武装風紀委員会(ガーディアンズ)残存兵力1名



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