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入会(裏)

先程投稿した話の少し後の話

私は、自分で言うのは恥ずかしいが人と話すのは得意な方だと思う。

むしろ人と話すのは好きだ。

だからなのか人付き合いで苦労したことはない。

…伊達に荒くれ者相手の受付嬢をやってない。


そんな人付き合いの得意な私は、2日前にある人と出会った。

『彼女』は…かなり『特殊』な人だった。


「ラディリエさん、これ。」

「どれどれ?あぁ、この依頼ね。分かったわ、期限は明後日の昼までよ。」

「…わかった。」

「…ところで、宿はどうだった?」

彼女に紹介した宿は私も気に入っているのだが彼女はどうだっただろうか。

「うん…すごく良かった。」

「そう!ちなみにどこが良かった?」

彼女は他人と少しズレてるからどこが気に入ったのかは結構気になる。

「部屋にベットがあった。」

「そ…そう、大事よね…ベット。」

不覚にも返答に困ってしまった。

……ベット…普通あるよ?無い方が珍しいよ?

「ちなみに、他には無かった?」

「えっと…窓があった。」

「……。」

不覚にも返答できなかった。

「まぁ、気に入ってくれたなら嬉しいわ。お仕事、頑張ってね。応援してる。」

「わかった、頑張る。」



彼女、ナナちゃんとの出会いは普通だった。

カインズさんの紹介でギルドに来たナナちゃんは見た感じ普通の女の子だった。


懐から一気に三本のナイフを取り出し、玄人のように扱うまでは普通の女の子に見えた。

あのナイフの使いこなし方は普通じゃない。

それにナイフ投げの精度も尋常じゃない。

カインズさんが必死に避ける姿は初めて見た。


そんなわけで、その姿を見た周囲の人間は彼女を少し警戒…というか敬遠している。

簡単な話、彼女を不気味に思っているのだ。

幼いのに自分以上に武器の扱いが上手い少女。

そんなのが普通なはずがないのだから。

実際、彼女は普通じゃないからタチが悪い。


しかし私は彼女のことを不気味に思っていない。


むしろ、可愛いと思う。

この国には珍しい濡羽色の髪、その髪と調和した紅い瞳。そして年相応のきめ細かい肌。

どこを見ても可愛い。

無口な性格も合わさって人形のようだ。


それに、お金がないと不安になっている時の表情もなんだかそそるものがある。


私は、彼女が好きだ。


それに真面目な話、彼女は弱い。

実力は申し分ないけど、彼女は孤独だ。

孤独は人を選ばずにその人を殺していく。

彼女にそんな思いはさせたくない。


私は、彼女を守りたいと思った。


そんな私の気も知らずに、私の同僚は言う。

「ラディリエさん、大丈夫?」

「…何がですか?」

「さっきの子よ!なんだか不気味じゃない?」

「……不気味?」

「ええ、無口で無表情だし。なんだかズレてるところもあって会話が成立しないというか…。」

少し正しいからタチが悪い。

ちゃんと否定できないから辛いのだ。


「…大丈夫ですよ、彼女は真面目ですし。」

「…そう、まあいいわ。それより聞いた?あの噂。」

女同士の会話はコロコロ話題が変わる。

ついていくのに精一杯だ。

「…噂?」

「ほら、あの連続殺人鬼よ。今回で3人目よ。」

「あぁ、ありましたね。確か犯人は男性とか。」

私も詳しくは知らないが、聞いたことだけはある。

「そうなの?よく知ってるのね。」

「まぁ、お喋りは好きな方なので。」


同僚と話していると、ギルドの扉が開く。

……彼女だ。

「ラディリエさん、終わりました。」

「お疲れ様、サインはもらってきた?」

「はい。」

サインを確認する、問題ない。

しかし、サインが書かれた紙にはもう一つメッセージが書かれていた。

『この子、あっさり魔獣を狩りおった。怖い』


やっぱり、彼女は普通じゃない。


「よく頑張ったわね。はい、お給料。」

「ありがとうございます。」

それでも、やっぱり彼女は可愛い。


私が彼女に癒されていると、勢いよくギルドの扉を開ける音がする。

そこに目をやると、1人の男性の姿。

それは、貴族の格好をした老人だった。

「依頼がある。」


それは私が受けた以来の中で……

「娘を殺した殺人鬼を…殺してほしい。」

…一番残酷で、悲しい依頼だった。



「その依頼…私が()る。」

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