初仕事
初仕事は意外と失敗するもの。
そこから奮起して頑張るから成長するもの。
へぇ〜(無関心)
暗殺をすると『先生』に言ってから私の生活は劇的に変わった。…悪い意味で。
『先生』は私を相討ちで敵を殺してもらうという使い捨てをするつもりは無いらしく、私を徹底的に鍛え上げようと私に暗殺術を仕込みまくった。
足音を消す歩行術から、体に暗器を隠す方法まで
それはもういろいろなことを教わった。
それに関しては私は感謝しているし、暗殺すると言って良かった点であると思う。
問題はここからだ、それは私が暗殺を教わってから2年後のことだった。
『先生』が私に暗殺術を一通り教え終わったと言って、私に仕事を持ってきた。内容は勿論、殺しだ。
「お前に殺して欲しいのはこの王国の金を管理している財政局の局長だ。」
王国の財政局長……王国の政治や地理は『先生』から習ったからわかる。
財政局長は王国での発言力が強く、『先生』のいる『組織』を取り潰そうとしているらしい。
つまり『組織』の敵だ。
ちなみに、『組織』というのは私たちを買った『先生』が所属している『暗殺組織』であり、私たちの住んでいる王国の重鎮や、貴族たちを殺して欲しいという庶民や敵国の依頼で金を稼いでいる。いわば王国の敵だ。犯罪者組織ともいう。
私は王国の敵に買われたらしい。今更だけど。
「殺害方法はお前に任せる、ただし絶対にお前が居たという痕跡を残してはならない。残していい殺しの痕跡は死体のみだ、足跡一つ残すな。」
「…はい。」
注文が多いが、できない事はない。
財政局長の生活パターンは『先生』から伝えられている。その隙の多さは暗殺をしてくれと言っているかと思うほどに多い。
朝は一人で一時間ほど散歩をしており。
昼は外食がほとんどで、身の回りの警備は信頼を置いているものを1人か2人付けるのみだ。
夜は1人でこっそりと色街に出かけているらしい。
もう隙しかなくて呆れてしまう。
これならただの一般人でも殺すことができるねではないかと思ってしまうくらいだ。
まぁ、殺す人はいないだろうけど。
財政局長の品行方正ぶりは『先生』から習った政治や国学で知っている。
…今思えば、あの『先生』は私に何を教えているのか、殺しにこの情報は必要ないのに。
まぁ、『組織』の敵は国の善人であるという事だろう。
正直、殺していい人じゃない。
でも、私に拒否権はない。
「いいか、お前が任務を失敗する。もしくは任務を放棄した場合。それは『組織』への反抗とみなし、お前の大切な子供達の命は保障されなくなると思え。」
『先生』が暗殺術や勉強を教える前に言った私への注意、もとい脅しだ。
私が『組織』を裏切らないようにするために、私が身につける暗殺術を組織へと向けないように。
「殺しの期限は明後日の正午までだ。…行け。」
「…はい。」
私の初任務が始まった。
ちょっと体調が優れない私。
煎茶飲んで回復する私。
体を冷やしてまた不調になる私。
煎茶を切らして絶望する私(今ココ!)




