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異世界では賢者になりたい。なお、脳筋です。  作者: 乙黒


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第一話 異世界では頭よく生きたい

サクッと読めて、サクッと終わる作品にする予定。

 僕の記憶はとてもはっきりとしている。

 簡単に言えば、平凡な少年だったと言えるだろう。

ピッカピカの高校一年生だ。公立だったので、特に頭がいいこともなく、ずっとバスケ部だったけど万年補欠のような普通の人生を送っていた。


好きなものはアニメや漫画、あ、そうそう最近は現実逃避でラノベを読むことが多いとそう普通の高校生と変わらなかった。


ただ、その中で僕が影響を受けた漫画があったのだ。それが日本で新たな秩序を目指して神を目指すというもの。なんだか小難しい漫画だったけど、とてもおもしろくてああ、こんな風に頭がよくなりたいな、と思ったことがある。


 僕は頭がよくて、他の人がする行動よりもずっと先回りするようなキャラクターに憧れたのだ。

 属に言う知的なキャラだ。できればメガネをかけていたい。それに推理によって事件も解決してみたい


 うん、でも現代日本に生きる僕には無理なことだった。学校の成績は中の下。僕には信じられないような頭のいい人が溢れていて、世の中には人よりも頭がいいAIが作られ始めている。

 真似できた点と言えば、視力が悪かったので眼鏡ぐらいだ。


 平凡だった僕は、すぐに頭がいいキャラを演じることを諦めた。

 すぐに諦めるのが僕の良い点と言えるだろう。


 そんな僕だったが、どうやら異世界に転生してしまった。


 今の僕の顔はもともとのじゃがいもから、貴公子のようになっていた。


髪は金髪。目と鼻の筋も通っており、青い目はまるで宝石のようだ。なんて綺麗な顔なのだろう、と最初は興奮したが、野郎の顔には興味なかったのですぐに飽きた。


 周りには農村の子供ガキ達がいる。僕と同世代の奴らだ。

と言っても、彼らの顔は前世の僕のようなじゃがいもが多かった。僕の母親はこんな田舎には珍しく顔が陶器のように美しかったのである。


 後から聞いた話だけど、どうやら僕は“やんごとなき貴族”の父親と、行きずりの関係になった母の間に生まれた子供らしい。


 というわけで、貴族の生まれだけど、農民という複雑な生まれなのだ。まあ、父親が誰かわからないし、迎えに来るような気配もないから、一生平民のままなんだろうけど。


 そんな僕は、ふと、ぴーんと前世の記憶が役に立つ機会が来たと思った。

 発展した科学の申し子である僕なら、この村に革新をもたらして、すごい奉られるんじゃないか、と思ったのだ。


 神童か天才か。それとも神か!

 僕はよく読んでいた小説の知識で、こういうのを内政チートだというのをよく知っている。


 僕は早くもこの新しい世界に可能性を感じていた。

 とりあえず、内政って何から始めればいいんだと思った時に、畑の改革だ! と前世の知識を発揮しようとしたが、


「ん? この村に農家はいないぞ。この村は狩人の村だからな。鳥と交換で小麦をもらっているんだ」


 と、近しい大人の人に言われた。

 どうやら僕の考えはすぐに失敗したようだ。


 だけど、僕は諦めなかった。

 だって、僕には前世の知識というチートなものを持っているのだ!


 次は塩だ!

 海から塩を生成すればいいんだ、と地元で行われていた揚げ浜式製塩を提案すれば、持て囃されるはずだ、と思って提案しようと思ったのだけど、


「ああ、塩ならこの近くにピンクの塩が取れるところがあるんだ。あれって売れるからとてもいいんだよな」


 と、またしても否定された。

 くそう!

 そもそも僕の村は山の近くで海まで遠いんだけどね。


 それでも僕はまだ諦めなかった。

 僕には内政チートによって、充実な異世界ライフが待っているんだ、と新たな内政チートを考えようとしけど、残念ながら塩と農業以外は僕には思いつかなかった。


 水だって山の中なので川からたくさん引いているのだ。治水工事もこの村には意味がない。


 なので僕は内政チートで、現代知識を活用して讃えられる人生を歩むことは諦めた。


 平凡な高校生だった僕には無理だと、別の道を目指した。

 それが――魔法だ。


どうやらここは剣と魔法がある中世のようだからね。時代的にも中世に近いらしい。少なくとも僕の村の生活はそうだと思う。未だに猟師は弓で獲物を狩っている世界で、季節も特定の花が咲くことで判別しているらしい。カレンダーという概念も、僕の村にはなかった。


そんな非効率な世界だからこそ、僕は現代で培われた効率的な科学の知識を組み合わせた魔法で無双できるんじゃないかと思った。


 だって魔法には理論が必要だからね。聡明な頭じゃないと使えないこの世界の最先端の技術なのだ。


 誰でも使えるわけではない。


 僕のように貴族である“黄金の血”が流れている者しか、魔法を発動させるための魔力を持っていないからだ。

 

だけど魔力があって、媒体があって、正しい呪文を唱えれば基本的には誰でも使える技術なのだ。といっても、スポーツと同じで人によって大なり小なりの強い弱いがあるけど。


 媒体は杖や指輪だから持っていないことに絶望したけど、どうやらその辺りの木の棒でも振ったら魔法が発現することに気づいた。


 男は木の棒が好きだからね。仕方がないね。


 ただ、正しい呪文を知らないので、たまたま拾った本に書いてあった魔法を覚えている。ちなみにその本には様々な魔法が乗っていたけど、実際に使える魔法は適当に試した中だと一つだけだった。


 僕は聡明だからね。どの魔法が自分に合うか分からなかったから、一つずつ丁寧に試していったのだ。


 今だってそうだ。

 夜中に家を飛び出して、魔法の練習をしている。葉っぱがついた木の棒を振り回して、魔法の名前を叫んでいるのだ。


「『発火パイロキネシス』!」


 魔法書に乗っていた最初の魔法である。魔法書には詳しい原理が書いてあった。燃焼物を魔法によって生成して酸素と結合することで、火を生み出すのである。


 中学校の授業が役にたった。僕は火が酸素で燃えることも、燃焼物が燃えた後に二酸化炭素を発生させることも知っている。


 科学を学んだ僕だからこそ、簡単に理解することができたのだ。

 さすがは僕。頭がいいと言えるだろう。


 だけど、僕の魔法によって生まれた炎は小さかった。まるでろうそくの炎だ。


「これじゃあ、マッチ代わりにしか使えないなー」


 うーん、どうすればいいんだろう?

 こんな威力だったら、虫すらも殺せない。理論で魔法を操るインテリキャラを目指す僕としては不甲斐ない結果だ。


「ふん。でも、僕は多数のアニメに触れてきたんだ。こんな時の対処方法は知っている」


 魔法には、理論と実践が必要だ。そう本に書いてあった。僕これについてとてもスポーツに似ていると感じた。


なんか本には神秘に出会ったり、魔法の仕組みを効率的に発動させれば強くなると書いてあったけど、僕は頭がいいのでそんなのよりも威力を上げる方法を僕は思いついたのだ。


「強くなるためには筋トレだ! つまり……魔トレをしよう!」


 僕は夜空に強く誓った。

 現代では学力が微妙な学生だったけど、この世界では頭よく生きる。


だから、僕は魔トレでひたすらに鍛えて、魔法を強くすることにした。元の世界でもスポーツで強くなろうと思えば、筋トレをするのがもっとも手っ取り早いのだ。


そのために必要なのは常に魔法を使って鍛えることだった。


 僕は寝る間も惜しんで訓練した。途中で回復魔法を覚えたので、睡眠時間すらも削ることが可能になったのだ。


 そして、七年ほどかけて僕の魔法は強くなった。いつの間にか僕も十二歳だ。魔法書の魔法も大体覚えて、何だか強くなりすぎたような気もする。


発火パイロキネシス』は発火ではなく火柱となり、他の魔法も軒並み強くなったからだ。


「これが頭のいい鍛え方なのか!」


 僕はそんな結果に上々だった。

 頭よく魔法で生きるために、今日も寝る間を惜しんでひたすら魔法を使う。とてもつらい修行だったけど、僕は頭がいいので気合で乗り切った。

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