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先輩⑦


 4人合流後。時間的にお昼を先に済ませようと言うことになり、私は手を挙げる。


「安く済ませたいです。マク○ナルドのジャンクフードがいいです。ハッピーセッ!!」


 バイトもしてないのでおこずかいをやりくりする私はお金がないですという宣言をした。下着……服などにお金を使うため。非常に苦しいのである。最近は執筆資料本も買ってしまい。慢性的な金欠。


「そっか……下水流。○ス・バーガーにしよう」

「えっ……お金ないって言いましたけど。200円300円高いじゃないですか……」

「奢るよ。親に貰ってきたからな」


 はい?


「いいんですか!? あんな高いの奢って貰って!?」

「二人もいい?」

「俺はまぁーバイトしてるから。そこそこ」

「私も大丈夫です」

「ん……でも……私だけ奢られるのも……」

「銀ちゃん安心していい。一岡陽菜ちゃんはこの坂本先輩が奢るから」

「坂本先輩!? えっあっ……そんな」

「陽菜ちゃん。格好つかせてほしい」

「あっはい……」

「よし、まとまったな。行くぞ」


 話がまとまり、皆でお店に向かった。先輩二人の高校生でありながらの財力に驚きながらも、何処にでもある訳ではないが緑の看板のお店に入る。


 入り、席を取り荷物を置いて注文する。あまり来ない場所でちょっと気が引ける。


 お会計を済ませ札を持って席に座った。


「やっぱ高い」

「高いけど美味しい……」

「先輩たちは良く来るのですか?」

「銀ちゃん。あんまりこない」

「遊びに出ることが……まれ」

「ふーん。陽菜ちゃんは?」

「私も……出たの久しぶりで……」

「ちょっと……ワクワクするね」


 少しだけ。大人になった気分だ。小説1冊分以上で私は喜べるぐらいにチョロい。


「そういえば。陽菜ちゃんと銀ちゃんって中学から?」

「違うよ。高校から」

「は、はい」

「へぇー中学どこ?」

「えーと私は他県。陽菜ちゃんは?」

「…………えーと桜です」

「下水流は他県だな」


 高橋先輩が頷きながら今朝の話をし出す。


「何でわかったんですか?」

「パジャマなのか、真っ赤色にチーム名が書かれてたし。方言調べてたからな。あとお前は自分で言ってたじゃないか」

「あっ……言ってましたね」

「だから。教室で友達出来たのは驚いたんだぞ」

「銀ちゃん浮いてそうだしね」

「あの。浮いてました……だけど。私も浮いて……その……馴染めなかったから助かったんですけど」

「やっぱ浮いてるのかー下水流は」


 皆が私を奇異な目で見る。もちろん私は笑顔で答えた。


「褒められた」

「いーや。褒めてないぞ。下水流」

「変わり者こそ……至上」

「いや。マジ……変わり者」

「本当に銀ちゃんかわいいなぁー。ニコニコして前向き出し……いいなぁ」


 坂本先輩がニマニマしている中で商品が店員によって運ばれる。私はポテテを摘まみ口に入れた。


「いただきます。あつっ!?」

「下水流……熱いから気をつけろよ」

「……やられました」

「陽菜ちゃん気を付けないと火傷するね」

「はい」


 私は下を出しながら火傷の痛みに耐えるのだった。





「最初に何処行く?」

「お店~」

「なんのお店ですか? 銀ちゃん」

「陽菜ちゃん。最近ここが辛くて」


 私は胸を押さえる。坂本先輩は鼻の下を伸ばして私を見た。


「………へぇー」

「なので下着屋行きたいです」

「し、下水流。いきなり……ハードル高いのだが!?」

「先輩大丈夫です。勇気を出せば一緒に入れます」

「下水流!! 絶対に嫌がらせだろ!!」

「先輩の好きな柄いいですよ?」

「あっ……お前……からかってるな」

「へへ」


 まぁもちろん本当に買いに来たのだが。


「先輩……逃げるんですか~?」

「高橋……一緒に行くぞ」

「坂本。俺にはそんな度胸はない」

「ごめんなさい……私も……それは……」

「ふふ。私一人で行くので他回ってもいいですよ」

「あっ俺一緒に行くわ」

「……坂本」

「坂本先輩?」


 坂本先輩が私の肩を持つ。その持つ手をなぜか高橋先輩がつまんだ。


「お前なぁああ!!」

「イタタタタ……なんだよ。不安か? なら一緒に行けよ……俺は一緒に行くけどな‼」

「ちっ……しょうがない。付き合うよ」

「おっ~先輩~」

「坂本がえらい張り切ってるから……気をつけろよ」


 ポンポン


「ささっと買えよ。恥ずかしいから」

「……うん」


 頭を優しく叩かれてそのまま流されるように下着を買いに行く。頭を撫でられ、少しぶっきらぼうな言い方に私は呆けてしまい。何もなく……買い終えるのだった。






 下着、服、おやつにチョコクロワッサンを食べた俺たちはそのまま別れる。


「下水流を送ってくから。坂本は頼んだな」

「おう。じゃーな」

「じゃーな」


 俺は警戒されているようで高橋に釘を刺される。襲う気などないのにだ。


「坂本先輩。今日は楽しかったです。ありがとうございます」

「ん……じゃぁね」

「はーい」


 てとてとと高橋の背中をそのままついていく。その姿はすでに付き合ってると言われてもいいのではと思うのだ。


「仲が本当にいいですね」

「だよなー」

「ん、ちょっと寂しいですね」

「ん?」

「な、なんでもないです」

「まぁ。気持ちは一緒。ちょっと高橋取られてるからな」

「ふふふ」


 陽菜ちゃんが口に手を押さえて笑みを溢す。


「坂本先輩……かわいいとこありますね」

「だろぉ~じゃぁ駅まで送るよ」

「はい、よろしくお願いします」


 俺は俺で役得な気もする。日々が続くのだった。







 






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