追い求めるもの(1)
みーたんはね、素敵なお嫁さんになりたいの。そのためにはね、
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
特別な魅力が必要なの。
「あーあ。全く嫌になっちゃうなぁ。君たちみたいな下種が、この僕に近づいてくるなんてっ。」
目の前の男がだらしなく泣いている。がりがりの骨、脂肪がなさそうだから食べてもまずそうだぁ。血もあんまり流れなぁい。あーつまんない。
「お、お前なんで、こんなっ」
馬鹿な質問だ。
「なんでぇ?そんなの決まってるじゃないかぁ。」
暗闇に美しく光るナイフが真っ赤に染められている。
「お腹がすいたからだよぉ。」
真っ白な髪に赤い染みが付いた。
不味い。実に不味い。食べれたもんじゃないよぉ。血に汚れた顔を長い服の裾でぬぐい片手を上げる。途端に響くクチャクチャという音と光る幾つもの目。少女とも少年とも言えぬ幼い子の長い前髪が風に揺れてようやく瞳が現れる。その目はどこか遠くを見ていた。
「ぐぅ。」
動物の唸り声、幼子のすぐ脇にその正体である片目のドーベルマンが凛々しく立っていた。その後ろからも数頭の野良犬が現れる。何も言わずに、彼らは歩き出した。
僕は呆れている。幻滅している。この世界に、人間に。
見ろ、この世界を。文明は衰退し、使用されなくなった道具は価値を失い鉄くずと化した。子どもは生き残り大人は殺されるという事実を嫉み、両者に大きな壁が発生した。 何の対策もできない形だけの政府に国民は反旗を翻し、自滅の道をたどった。 “奴”の出現はこの世界を変えたんだ。それは人間には害であり、自然には幸である。
たかが数年で緑は戻った。川は澄んだ。これこそ地球のあるべき姿。
自然は、僕は、“奴”の味方だ。




