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白雪姫と小人達

 白雪姫がお清めの山ごもりから帰ってきたのは,集落を飛び出してから3ヶ月後のことでした。


「姫様,おかえりなさい!」

「姫様,おかえりなさい!」

「姫様,おかえりなさい!」



 山道を下ってきた白雪姫を迎えたのは,色とりどりの小人たちでした。


「みんなで出迎えに来てくれたの!?」


 白雪姫は,感動のあまり,声を裏返しました。


「ええ,もちろんです!」

「姫様を出迎えに来ました!」

「村の小人全員で来ました!」


 久々に白雪姫に会えるのがよほど嬉しいのか,小人たちはぴょんぴょんと跳び跳ねました。



「小人全員に出迎えてもらえるだなんて嬉しい。私,みんなから愛されているのね」


「もちろんです!」

「みんな姫様を愛しています!」

「それと,姫様は,村の小人全員に『今日帰る』とDMを送りました!」


 白雪姫はてへっと可愛らしく舌を出しました。



「山ごもりはどうでしたか!?」

「楽勝でしたか!?」

「姿は以前とお変わりないですね!」


「ううん。とても辛かったわ。普段は週1で行ってる美容院に2週に1回しか行けなかったし,普段は週5で行ってる焼肉ランチにも週3でしか行けなかったわ」


「少し頻度ひんどが落ちたくらいですね!」

「普段と生活水準がそこまで変わりませんね!」

「本当に山ごもりしてたんですか!?」


「失礼ね。こもりまくってたわよ」


 白雪姫はほおふくらませました。



「っていうか,私がいない間,村の様子はどうだった?」


「小人は誰一人として死んでいません!」

「平穏無事な生活が取り戻されました!」

「姫様のおかげです!」


「良かった! やっぱり身が清められて呪いが解けたのね」


 小人達の輪の中で,白雪姫も一緒になってぴょんぴょんと跳び跳ねました。




 ピク◯ンのように大勢の小人を引き連れて白雪姫が家に帰ったところ,白雪姫の家にはある異変が起きていました。なんと,家の四方しほうがりんごで囲まれていたのです。



「きゃあああああああ! 何よこれ!!!??? 家に入れないじゃない!!!!」


 白雪姫は地面にひざをつくと,頭を抱えました。



「姫様,落ち着いてください!」

「塩に囲まれているわけではありません!」

「魔物の群れに囲まれているわけでもありません!」


「ちょっと2人目! 塩に囲まれていると私が家に入れないという認識はどこから来てるの!? 私のこと邪悪な存在だと思ってるでしょ!?」


「失敬な! 姫様は姫様です!」

「失敬な! 姫様は姫様です!」

「失敬な! 姫様は姫様です!」


 2人目の小人が集団リンチに遭っている間,白雪姫は,りんごに囲まれた我が家や呆然ぼうぜんと眺めていました。



「どうしよう…私,りんごが何よりも大嫌いなのに」


「姫様,お困りですね!」

「私たちが力を貸します!」

「私たちにできることがあれば,なんでも言ってください!」


「みんな…」


 うるんだ目の白雪姫が,小人達一人一人の顔を見渡しました。



「みんなありがとう! それじゃあお言葉に甘えるわ。みんな,家の周りのりんごを一つ残らず処分してくれない?」


「アイアイサー!」

「お安い御用です!」

「でも,姫様,処分ってどうすればいいですか!?」


「小人が誰一人として健康で文化的な最低限度の生活を送れていないことは承知しているわ。みんなで手分けして持って帰って食べなさい」


 白雪姫のつるの一声で,万年空腹状態の小人達は一斉に家の周りにたかりました。


 家を囲んでいたりんごはあっという間になくなりました。



「みんなありがとう! 私は家に帰るわ。みんなも気を付けて帰りなさい。じゃあね! みんな大好き!」


 ポケットをりんごでパンパンにした小人達は,デレデレとにやけながら,白雪姫に手を振り返しました。


 そして,白雪姫の家の前を辞去しました。






(了)







 次話は怖すぎて書けませんので,これにて完結といたします。


 なお,お香典はptにて承っています。



 今後とも菱川あいずをよろしくお願いいたします。

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