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ああ麗しのお兄様 爆誕のヒロイン編

東条みゆき…拓斗の幼馴染で剣道の達人、見た目は和風美人だが中身はじゃじゃ馬、戦闘により死亡したがレオの力でゾンビとして行動している、しかしマスターであるレオにも遠慮なしの態度で接している

ステファン・レオ…闇の龍装備を付けるダークドラグナイト、闇の者には絶対的な支配力を発揮し夜の闇でこそ一番力を発揮できる、しかしなぜかみゆきには頭が上がらない

ステファン・メアリー…レオの義理の妹、戦争で両親を亡くしレオの家に引き取られる、重度の中二病

ラインハルト・カナ・ロマーヌ(沢渡香奈)…白剣姫ホワイトソードプリンセスとよばれるアミステリア公国最強の美少女剣士であり軍の最高司令官、そして国民的英雄でもある、拓斗の妹


太陽が真上に昇り大地を暖かく照らしている、空はどこまでも広くそして青く澄んでいた、そんな大空に一羽のカラスが舞う様に飛んでいる、まるで大空の主の様に鮮やかにはばたくその黒い姿はこの澄み切った青空に似つかわしくない光景にすら見えるが、そんな事はお構い無しとばかりに誰よりも高くそして速く飛んでいた、そんなカラスの背中にはレオとみゆきのお騒がせコンビが乗っている、この二人は黙っていれば非常に絵になる男女である、まるでファッション雑誌の表紙に載っている様な美男美女なのだ、レオの鮮やかな金髪とみゆきのさらりとした長い黒髪が上空で風にたなびき暴れるようにはためいていた、みゆきがそんな髪を片手で抑えながら大きな声で話しかける

「あ~んもう、いっそ髪切っちゃおうかしら・・・ところでさレオ、今私達どこに向かっているの?」

めんどくさそうに振り向いたレオは少し間を置いてから答える

「トルチラ民国に行こうと思っている、夜の俺とも互角に戦えるという”フロストドラグナイト”の情報を集めたい、トルチラには通商連合の本部があるしな・・・」

その言葉に少し怪訝な顔をするみゆき

「トルチラ民国か・・・でもいくら通商連合とはいえドラグナイトの情報何て掴んでいるのかな?」

「まあダメ元だけどな、でもあそこで情報が入手できないのなら他では無理だろう、情報が全くつかめなかったその時はまた地道にモンスターの手駒を増やす旅でも続けるしかないかな・・・」

「なるほどね、でももう寒い所は嫌よ‼」

「安心しろ、今考えている場所は灼熱の暑さだからな」

「なんでそうなるのよ!?灼熱の場所って・・・どうせなら常夏の場所にしなさいよ、いいわね」

そんなみゆきの無茶な要求には一切答えず前に向き直りトルチラを目指すレオ、トルチラの国境付近に着いた二人は人目を避けて巨大カラスを着地させた、二人はカラスの背中から降りるとレオがカラスの頭を撫でながらねぎらう

「ご苦労だったな、また頼むぜ」

カラスはその言葉を理解したかのように”カアー‼”と鳴くとその場に溶け込むようにスッと消えて行った、レオとみゆきの二人はそこから徒歩で通商連合の本部がある建物に向かう、そこに向かう程人通りが増え店も多くなっていく、それはこの国自体が通商連合のおかげで成り立っている証拠でもあった、事実トルチラ民国の税収の約六割は通商連合からみなのである、当然のごとくトルチラという国が通商連合に最大限の配慮と優遇をしており一国家が一企業体に寄り添っている形態をとっていた、二人は通商連合の本部の建物に着きその入口の前で立ち止まった、その恐ろしく大きい建物は絢爛豪華という訳ではないものの、最新の技術と最高の材料、高い腕を持つ職人をふんだんに使って建てられたものだった、そんな時みゆきがある事を思い出しレオの顔を覗き込んで問いかける

「でもここで情報を得ようとする為には個人情報を登録しなきゃいけないんじゃなかったっけ?アンタ先日の件で名前有名になっちゃったけど大丈夫なの?」

みゆきが心配しているのは先日のアミステリア側とスタネール側の会談で”ステファン・レオはダークドラグナイト”という事が世間に知れ渡ってしまったからだ、いくら通商連合とはいえドラグナイト本人が乗り込んで行ったら大騒ぎになってマズイのでは?という不安である

「まあ大丈夫だ、いくら名前が知られたからって顔までわかる訳じゃないからな、この世界は顔写真を伝達するような媒体は無いから偽名で乗り切るつもりだ、まあ見てな、一つ注意しておくがお前は黙っていろよ、お前がしゃべるとボロが出る可能性があるからな」

「何よそれ!?私だってそれぐらいの機転はきくわよ、馬鹿にしないで⁉︎」

「じゃあ絶対ボロを出さない自信があるなら喋ってのいいぜ、ただし絶対だぞ!?もしボロを出したらわかってるな⁉︎」

「うっ!?わかったわよ・・・黙ってる、じゃあさっさと済ませましょう」

そう言ってみゆきは通商連合の建物の扉を開けた、すると中は広くてガヤガヤと人がひしめき合っていた、色々なところから人の会話があふれていて、カウンターの向こう側には若い女性が何人も並びそれぞれ客に対応していた、その奥では男性社員と思われる人間が忙しそうにせわしなく働いている

「なんか銀行みたいね、中はこんな感じなんだ・・・」

「ここに来るのは初めてか?」

「うん、以前トルチラに住んではいたけどここに来たことは始めて・・・情報を知りたい時のカウンターは?・・・あっあそこじゃない?今空いてるみたいだしさっさと行こう」

情報を知りたい人の為のカウンターに向かう2人、この通商連合は様々な事を取り扱っている、情報を入手したり貴重なモンスターやアイテムを鑑定して換金したり金やアイテムを一時的に預かったりもする、運送業の様に物を運ぶという事もやってくれるのですっかり人々の生活の中に溶け込んでおり、企業だけでなく国家の軍隊すら利用していることも珍しくない、ある時戦うはずの両軍共に武器や兵糧などの物資を通商連合に頼んでいた事もあった、つまり戦争ですらどちらに勝たせるか⁉︎という事を左右できる程の力を持っているのだ、端が見えない程並んでいるカウンターの1つにレオとみゆきが座った

「お客様、今日はどういったご用件でしょうか?こちらへは初めてでしょうか?」

受付の若い女性が丁寧な口調で対応してくれた、レオがその女性に話しかける

「ああここへは始めて来たんだ、情報を知りたいんだが・・・」

「わかりました、ではお名前と個人番号をおっしゃってください」

個人番号というのはこの世界での身分証明書みたいなものでこの世界の人間ならば誰でも所持しているのだ、この通商連合では基本的に個人番号を調べることまではしない事が多いのだが情報提供に関しては全て登録しないと駄目なシステムになっている、今後のトラブル防止の為という理由である

「俺の名前はジャスティン・ビーバー、そして連れは山田花子だ、個人番号は195894・・」

「わかりました少々お待ち下さい・・・」

受付の若い女性が名前と番号をメモしている、ここでは当然パソコンの様なハードはない為魔法によるシステムを使用していた、受付の女性がそのシステムにアクセスしようとした時、レオが右手の人差し指を立てるとそこから黒いモヤの様なモノが発生して指から離れた、そしてそれはユラユラと浮遊しながらその女性の耳にスッと入っていった、するとその女性の表情から生気が抜け目線も虚ろな状態になった

「俺達の登録は問題ないよな?」

レオの質問にゆっくりうなづく受付の女性

「はい問題ありません・・・ご登録完了いたしました・・・」

まるで寝ぼけているかのような態度で返事をする女性に対しレオは目の前でパチンと指を鳴らした、そうすると女性の顔から生気が戻り正気に戻ったようであった

「えっ!?あの・・・失礼しました登録完了いたしましたので、ご希望の情報をお伺いしたいのですが、本日はどのような情報をご所望でしょうか?」

「ドラグナイトの情報が欲しい」

「は?」

「氷の龍戦士”フロストドラグナイト”の情報が欲しいんだ、どんなことでもいい、わかっている事があれば教えて欲しい金はいくらでも出す」

「わかりました・・・少々お待ちください・・・」

その内容に受付の女性は戸惑っていたがそう言ってすぐさま席を立つと、奥にいるおそらくは上司であろう男に相談している様であった、その男もその内容に驚いた様子で慌てて二階への階段を駆け上がっていった

「なんか大ごとになっているわね、まあいきなりドラグナイトの情報教えてくれなんて事言う客なんかいないだろうしね・・・あっ!?そう言えばなんでアンタがジャスティン・ビーバーで私が山田花子なのよ‼」

「そんなのどうだっていいじゃねーか、おっ!?帰って来たぞ」

受付の女性が早足で返ってくるとカウンター越しでは無く二人の近くまで来ると丁寧にお辞儀をした

「お待たせいたしました、二階の応接室にてご対応させていただきますので一緒にお越しください」

二人は女性について二階の応接室に向かう、その大きく広い応接室に入ると一人の老人が微笑みを浮かべながら座っていた

「良く来て下さったな、さあお座りくだされ」

案内してくれた女性は一礼して部屋を後にする、二人はその老人に促されるまま高級そうなソファーに腰かけた

「私はここの責任者でグエンファという者です、この度はドラグナイトの情報をご所望だとかで・・・差し支えなければなぜそのような情報を知りたいのかお聞かせ願いないでしょうか?」

その老人の名前を聞いてギョッとする二人、グエンファと言えば通商連合のトップである三巨頭の中でもリーダー格の男である、一から築き上げた巨万の財の合計は正確に調べる事すら不可能と言われていておそらくこの世界で一番の金持ちと言ってもいい人物だ、レオはスッとソファーから立ち上がると珍しくかしこまったそぶりで深々と頭を下げた

「これは通商連合のトップであるグエンファ様に対応していただけるとは光栄です、私はジャスティン・ビーバーと申しまして・・・」

レオの自己紹介の途中で手を差出し話を遮るグエンファ

「ここからは本音で話しましょうステファン・レオ殿と東条みゆき殿・・・」

グエンファのその言葉に目つきが変るレオ、その瞬間態度を一変させ乱暴にソファーに座り直した

「ちっ、バレてたのかよ なんでわかった?」

レオの質問にニヤリと笑い答えるグエンファ

「我々は情報こそ最大の武器だと考えております、その我々がそんな事すらわからないでどうしますか!?」

「なるほどな、アンタ達が優秀なのはわかった、じゃあ本題に入ろうかフロストドラグナイトの情報が知りたい、何か情報や手がかりはあるか?」

その質問にゆっくり首を振るグエンファ

「いえ残念ながらございません、もし何かしらの情報が入りましたら真っ先にお知らせいたしますのでご勘弁を」

「本当に真っ先に報せてくれるかは疑問だけどな、あんたらみたいなタヌキの言葉を素直に信じる気にはなれねえよ」

「何をおっしゃいますか!?我々は信用が第一でございます、それに商売というのは相手を見ておこなうものですからね、ドラグナイトを敵に回すような馬鹿な真似はいたしませんよ、もし情報が入りましたら真っ先にお知らせする事をお約束します、あなた方とは今後も友好的な関係を築いていきたいものですな」

レオはソファーからスッと立ち上がり鋭い目でグエンファを見下ろす

「それはアンタ達の態度次第だな、こっちとしても敵は増やしたくないがこちらにとってマイナス的な事をされたら容赦なく潰すからな」

レオの忠告とも脅しとも取れる言葉に動揺することも無く目を閉じフッと笑うグエンファ

「こんな老い先短い年寄りを脅さないでいただきたいものですな、グランシア王国を敵に回してもドラグナイトを敵に回すのはゴメンです、では友好の証として一つ別の情報を提供いたしましょう、先日あなたの居場所を知りたいという人が訪ねて来ましたよ」

それを聞いたレオの目が厳しいモノに変る

「俺を探しているというのは一体何処のどいつだ?」

レオの質問にニヤリと笑うグエンファ

「メアリーというかわいらしいお嬢さんでした」

グエンファの言葉に顔色が変わるレオ、そして座っているみゆきの腕を掴み引っ張り上げた

「な、何?一体何なのよ!?」

「さっさとこの町を出るぞ、急げ」

「急にどうしたのよ!?」

「事情は後で説明する、とにかく急げ‼」

二人は足早に応接室を出て行く、それを含みのある表情で見送るグエンファであった


足早に通商連合の建物を後にした二人は来た方向とは真逆の町へと向かっていた

「ちょっとレオ、いい加減に事情を説明してよ、それにこっちは来た方向とは違うわよ!?」

そんなみゆきの言葉が届いているかどうかすらわからない態度でレオは独り言をブツブツ言っている

「町の中なら早々見つかる事は無いはずだ・・・いやしかし、裏をかいてここに・・・」

質問に答えないレオに対し業を煮やしたみゆきが引っ張る手を引きはがし正面に回り込むと目の前に立ちふさがった

「いい加減事情を説明して‼一体何があったのか?それに私あまりこの辺りはうろつきたくないのよ」

「急いでるんだ、事情は後で説明するって言ったろ、それにこの辺りをうろつきたくないってのはなぜだ?」

レオのその問い掛けにみゆきはバツが悪そうに答える

「私生前はこの辺りに住んでいたのよ、もし知り合いにでも出くわしたらめんどくさい事になるし・・・」

その時みゆきの後ろで”ガシャン”という物を落とす音が聞こえた、思わず振り向くとそこにはかつてのギルドメンバー”疾風の剣”のリーダーであるユキが立っていた

「げっ!?ユキさん」

「ああああぁぁぁ・・・みゆき?みゆきなの?でもみゆきは死んだって・・・でも・・・一体なんで??」

どうしていいかわからずアタフタするみゆきに驚きのあまり硬直してしまっているユキ

「いや、そのですね・・・つまり何と言いますか・・・いわゆる一つのですね・・・」

みゆきは思わずレオの腕に抱きついた

「おい、一体どういうつもりだ?」

「いいから話を合わせて‼」

二人は小声で話をするとみゆきはユキに対して話を続けた

「わ、私ね今この人と暮らしているの」

顔を引きつらせながら精一杯の笑顔を作るみゆき、ため息をついて状況を理解したレオ

「生きていたのならなんで連絡くれないのよ!?私達がどれだけ心配したか」

「ごめんなさい・・・色々と事情があって・・・」

その時レオがみゆきをグイッと引き寄せると

「こいつが一秒たりとも俺と離れたくないって言いやがるから連絡できなかったみたいなんだ、すまねえな姉ちゃん」

その言葉を聞いて凄い形相でレオを睨みつけるみゆき、再びユキには聞こえないような小声で

「あんた何言ってるのよ!?それじゃあまるで私が色ボケ馬鹿女みたいじゃない‼」

「いいのか?バレるぞ!?それに後半は合ってるんだからいいじゃねーか」

みゆきは苦虫をかみつぶしたような顔をしたと思ったら意を決して引きつり笑顔を再び繰り出した

「そうなのよ・・・ワタシ、コノヒトニムチュウデネ・・・」

明らかな棒読み口調を不審に思いながらもレオをチラリと見たユキはため息をつき

「なるほどね、確かに彼は色男だしアンタみたいな女が男に入れあげると何も目に入らないって事も理解したわ・・・でもおかしいな、拓斗君も何も言ってなかったんだけど・・・まあいいわ」

ユキはレオに近づき話しかける

「みゆきをお願いしますね、不器用で一つの事しかできない子だけどいい子だから」

「ああ任せな、コイツの事は俺が責任をもって守ってやるからよ、なっそうだろ?」

「ウン、ワタシズットアナタノソバニイルワ」

なにか違和感を感じながらも納得したユキはため息をついて

「わかったわ、他のメンバーにはそう伝えておくから・・・落ち着いたら又私達を訪ねてきてよ」

「ありがとうユキさん、今は急いでいるから無理だけどまた改めて来るから、みんなにはよろしく伝えて」

そうしてユキと別れその姿が見えなくなったところで態度を一変させレオの胸倉を掴むみゆき

「何よあれは!?あれじゃ私単なる痴女じゃないの‼」

「話を合わせたんだからいいじゃねーか!?全くうるさい女だな」

「大体あんたはね・・・」

町の真ん中でそんなやり取りを繰り広げていた二人を遠目で見つめる人影があった

「やっと見つけたわ、もう逃がさないんだから・・・」


二人は町を抜け人気のない砂漠のような所に出た、砂漠とはいっても砂がある訳では無く干ばつ地帯が広がっていて所々の地面がひび割れていた、この地域には不思議な現象がありこの一定の地域だけ雨が滅多に振らないのである、そんな場所でレオがふと立ち止まると辺りを見渡す

「この辺りなら巨大カラスが出てきても問題ないだろ」

「まあこの辺りは滅多に人も通らないし大丈夫だと思うけど・・・そう言えばまだ聞いてなかったけど何で急に逃げ出す様に出てきた訳?メアリーって誰なの?」

その名前に顔をしかめるレオ

「メアリーってのは俺の妹だ・・・」

「えっ!?アンタにも妹がいたの?」

「ああ、だが妹とは言っても本当の妹じゃない」

「それどういう事よ?」

「血がつながっているという訳じゃないという意味だ、俺の生まれ故郷の村がよく戦争に巻き込まれていたという事は以前話したよな、メアリーは隣に住んでいた家の娘だったんだがある日戦闘で両親が死んでな、身寄りも無かったからおふくろがメアリーを引き取ったんだ”今日からアンタの妹だよ”ってな、俺がまだ10歳でメアリーが6歳の頃だ・・・」

「そんな事があったの、でなんでそれが逃げる理由になるのよ?」

「俺の村が戦闘で全滅した時メアリーはたまたま町に出ていて難を逃れた、俺はそれから傭兵になるんだがまた一人になっちまったメアリーをほっておくわけにもいかず俺が傭兵で稼いだ金でフランスに留学させた、でもそれが間違いだったのかもしれん・・・」

みゆきは真剣な顔でレオに問いかけた

「何かあったの?」

「あいつはとんでもない病気にかかっちまった、どんな名医でも治せない病気にな」

「そんな大病になったの!?現代医学では治せない程の!?」

みゆきがレオにそう問いかけた時、辺りにひときわ大きな笑い声が聞こえた

「はっはっはっは、ついに見つけたわよお兄様、もう逃がさないんだから‼」

断崖の丘の上にその少女はいた、身長140㎝程の金髪の少女が両手を腰に当てて高らかに笑っていたのだ、その姿を見たレオは思わず額に手を当て天を仰いだ

「あれがレオの妹さん!?でもそんな病弱には見えないけど・・・」

「ああ病気と言っても医療で治せる病気じゃないからな・・・中二病とかいう厄介な病気だからな」

「えっ!?中二病ってなに?それどんな病気なの?」

メアリーは断崖の丘から飛び降りると片膝をついてポーズを決め芝居がかったセリフでレオに問いかけた

「お兄様、その雌豚は一体なんですの?私にわかる様に説明いただけるかしら」

レオは一度ため息をつくとじっとメアリーを見つめる

「こらメアリー、お前俺の事をお兄様とか呼んだことなかっただろうが、また何かのアニメの影響か?」

「うっ!?いいじゃないそこは、で誰なのその女は?」

「こいつは・・・そのだな・・・あっ!?」

レオは何かを思いついた様子でみゆきにニヤリと笑いかけた、みゆきの勘が不吉なモノを予感させた、しかしみゆきが何かを問いかける前にレオはグイッとみゆきを抱き寄せた

「こいつは俺の女だ、俺にベタ惚れでな、全くしょうがない女なんだが、まあそういう事だ」

「なっ!?」

みゆきが驚いてレオの顔を見る、今度はレオが小声で話しかける

「今度は俺に話を合わせてくれ、頼む」

レオが”頼む”なんて言葉を発したのは初めてで、さっきの借りもある為みゆきは渋々OKした

「しょうがないわね・・・今回だけよ」

みゆきはくるりと振り向くとニコリと笑ってメアリーに手を差し出した

「初めまして、私は東条みゆきって言いますよろしくねメアリーちゃん」

メアリーは怪訝そうな顔でみゆきの顔を覗き込むと

「東条ひでき?女の癖に変な名前ね」

「誰が男よ失礼ね、私の名前を第四十代内閣総理大臣みたいに言わないで私の名前は東条みゆきよ‼」

「失礼噛みました」

「今のわざとでしょ!?全くもう・・・で私はレオの彼女・・・ですよろしく」

メアリーはみゆきを睨みつけた

「何が彼女よ図々しい、聞いて驚きなさい、私はねレオ兄ちゃんの本当の妹じゃないのよ‼」

「それはさっきレオから聞いたわ・・・大変だったね」

そのみゆきの言葉を鼻で笑うメアリー

「わかってないわね・・・レオ兄ちゃんにとって私は義理の妹なのよ、これがどういう意味なのかわからないの?」

「えっ!?何を言いたいのかわからないけど・・・どういう事か教えてくれないかな?」

メアリーはみゆきの質問に大袈裟に両手を広げ首を振って馬鹿にしたような余裕の笑みを浮かべると

「全く情弱乙ね、仕方がないからあなたに自分の立場ってモノを教えてあげるわ、男にとって義理の妹は最高なの、義理の妹こそロマンであり理想、全世界の男性の夢 それが義理の妹なの、わかった?」

みゆきは思わずレオの方を向き問いかける

「そうなの?」

「そんな訳ないだろ・・・何の情報か知らんが無視していいぞ」

「う、うんわかった・・・でメアリーちゃんはレオお兄ちゃんの事が大好きなのかな?」

「ええもちろんよ、二人は運命の赤い糸で結ばれているの、これは人類がこの地球に誕生してから定められている運命なのよ、太古のアカシックレコードにも記されている動かしがたい事実、私が妹になった瞬間に最強にして最高のパートナーが爆誕したのよ‼」

「ごめん何言っているかさっぱりわかんないけど、今はレオの彼女は私なのよ、でも私メアリーちゃんとも仲良くしたいんだけどな」

みゆきが差し出した手を払いのけるように拒絶するメアリー

「なによ、アンタなんか典型的な残念系ヒロインじゃない‼お兄ちゃんの恋人として100%成功しないタイプね、本当のメインヒロインの底時からってモノを見せてやるわ、私の名はステファン・メアリー、白竜天に舞う年に生まれた最強のヒロインよ‼」

フレンドリーに接するみゆきに対し敵意むき出しのメアリー、平行線の二人にレオが割って入る

「じゃあ俺の彼女であるみゆきに勝てたらコイツと別れてやる、それでどうだメアリー」

そのあまりの提案にみゆきが驚いて振り向く

「ちょっと何言ってるのよレオ!?こんな小さな女の子と戦うなんて・・・私嫌よ‼」

それに対してメアリーは目を血走らせて戦闘態勢に入る

「待っていたわその言葉を・・・あんたなんか私がちょっと本気を出したら指先一つでダウンよ、来なさいド三流、私とあなたの格の違いって奴を見せてあげるわ‼チェンジ装備S‼」

「えっ!?装備S???あなたそんなに凄い装備を付けてるの!?・・・ぷっ」

みゆきはメアリーの装備のレベルの高さに一瞬驚くがその姿を見て思わず吹き出す、それはピンクと白のヒラヒラ衣装で所々にハートとリボンが付いていて一昔前の”魔法少女スタイル”そのものだった

「何あれ?あんな装備あるんだ・・・わかったわメアリーちゃんにケガをさせないように相手すればいいんでしょ!?」

みゆきの問い掛けにコクリとうなずくレオ、メアリーは目を閉じていたがその瞬間大きく目を見開いた

「くわっ!?さあいくわよ覚悟なさい‼」

思わずレオが呆れたように話しかけた

「くわっ!?とか自分で言ってるんじゃねーよメアリー・・・全くお前って奴は・・・」

メアリーが右手を天に掲げるとその手の中に弓と矢が現れた、その弓もかわいらしい黄色い弓と矢先がハートになっている矢で構成されている弓矢のセットだった、そんなおもちゃのような武器を見てみゆきはすっかり力が抜けてしまう、そんなみゆきにレオが一言声をかけた

「まあお前なら大丈夫だと思うが、何とか攻撃を耐え切れ・・・それが俺からのアドバイスだ」

「何言ってるのよ・・・あれおもちゃじゃないの?」

二人がそんな会話をしている時メアリーが右手の人差し指を天に高々とかかげた

「東条みゆき、天に帰る時が来たのだ‼」

メアリーはそう言い放つと弓を引き絞りみゆきに狙いを定めた、みゆきも一応待ち構える姿勢を見せるが相手の恰好を見てすっかり油断してしまっていた、そんなみゆきにレオが一言告げた

「おいみゆき、アイツ結構強いからな気をつけ・・・」

レオがそう言い終わる前にメアリーが叫んだ

「いくわよ東条みゆき‼ラブアローシュート‼」

ハートの矢先の矢が物凄いスピードでみゆき目掛けて飛んできたのだ、驚いたみゆきは間一髪かわしたものの後ろの崖に当った矢は轟音を立てて爆発し崖がガラガラと大きな音を立てて崩れていた

「なっ!?何よあれ・・・ちょっと冗談じゃないわよ」

「まだまだ続くわよ、ラブアローシュート、ト、ト、ト‼」

メアリーの放ったハートの矢が次々とみゆき目掛けて飛んで来る、よく見ると矢が通った後には小さな星のエフェクトがキラキラと光っている、そんなふざけた効果と見た目、威力が一致しない凄まじい連続攻撃を何とかしのいだみゆき、辺りは数度の爆発による砂煙が舞っていて視界が悪くなるほどであった、一方矢が尽きた様子のメアリーはかわいらしい黄色い弓をポイッと投げ捨てると腰の剣をスラリと引き抜いた

「何!?私と剣でやり合おうっていうの!?」

もはやみゆきに相手を侮る油断は無い、本来の構えで迎え撃つ体制を取る、そんなみゆきを見てなのかメアリーは左手だけで剣を握り体制を低くして半身に構えた、左手で剣を引き絞る様な姿勢をとると剣先の横に右手をそっと添え突撃体勢のような姿勢を見せたのだ、それを見たみゆきが眉を細める

「なによあの構え・・・いかにも今から突いて来ますって感じだけど・・・」

メアリーは低い体勢からみゆきに狙いを定めると一言告げた

「行くわよ、あなたの全てを否定してあげるわ」

「なによそれ、いいわ来なさい」

メアリーはものすごい速度で突撃してきた、それはまるでメアリー自身が一本の剣になって突進してくる様でもあった、しかしみゆきはそれをギリギリで何とかさばく、ニヤリと笑うメアリー

「やるわね、でもここからよ‼」

メアリーは左手一本でフェンシングの様に連続の突きを繰り出す、どの攻撃も速く鋭い、しかもすべてが急所を狙って来るという正確さも持ち合わせていた、あまりの攻撃に驚くみゆき

『何よこの子、メチャクチャ強いじゃない!?下手したら前に戦ったグランドレッドのリーダーより強いんじゃないの!?』

みゆきは防ぐので精一杯で防戦一方である、メアリーは笑いながらさらに連続攻撃を繰り出す

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄~‼」

このままメアリーが押し切るか!?と思われた時突然メアリーが攻撃を止めバックステップで距離を取った、思わずみゆきが片膝をつく、メアリーの攻撃はそれほどのものだったのである、しかしなぜ急に攻撃を止め距離を取ったのか!?みゆきには何が何だかわからなかった

『何!?あの子圧倒してたじゃない、なんで止めるのよ・・・』

「ここまで私に歯向かったのよ、ただ座り込むだけでは足りないわ 跪きなさい そのまま称える姿で 思い知りなさい あなたの敗北は絶対よ‼」

メアリーは距離を取った後そう言い放つとなぜか左手に持っていた剣を投げ捨て両手を横に広げてゆっくりと鳥が羽をはばたかせるような動きを見せた、みゆきはあまりの事に混乱する

「レオ、一体あれは何なの!?新種の魔法?何かの儀式?」

「俺に聞くな、あいつ自身しか理解できる奴はいないだろ」

メアリーは奇妙な動きを続けながらつぶやく

「感じるわ私の中の小宇宙コスモの高まりを・・・爆ぜろリアル弾けろシナプス、スターバースト ストリーム‼」

そう叫んだメアリーの両手にはいつの間にか新たな剣が握られていたそして再び突進してきたのだ、再び迎え撃つみゆき、メアリーの二刀流による連続攻撃にまたもや防戦一方のみゆき

『何これ!?さっきとまるで太刀筋が違うのに速い、そして鋭い‼この子とんでもない天才剣士だとでもいうの!?』

メアリーが余裕の笑みを見せながら話しかけてくる

「やるわね、この私の鬼がかった攻撃をしのぐなんて、神にでも愛されているのかしら、でもこれでお終いよ‼」

メアリーがそう宣言し次の攻撃に移ろうとしたとき、急に動きが止まりその場に力なく崩れ落ちたのだ、それはまるで糸の切れた操り人形の様であった、みゆきには何が起こったのかまるでわからなかった

「えっ!?何?一体何があったの・・・どうして?」

あまりの出来事にその場で動けないみゆき、メアリーは地面にうつ伏せになりながら何やら”う~う~”と唸っていた、そんな姿を見たレオが大きくため息をついてゆっくり歩いてきた

「全く・・・しょうがねえな、どうして普通に戦えないんだお前は」

レオが真横に来ても全く動けないメアリー、レオがみゆきの方を振り向き

「おいみゆき、たしか治癒のポーション持っていたよな、一本くれ」

「えっ!?いいけど・・・」

みゆきは腰のポーチから青い液体の入った小瓶を取り出しレオに向かって投げた、それを受け取ったレオはメアリーを抱き起し口元に小瓶を持ってきた

「ほれ、治癒のポーションだ自分で飲めるか?」

メアリーは力なく口をパクパク動かしているが声が聞き取れないほどの小声しか出ていなかった、レオは仕方なく耳を近づけメアリーが何を言っているのか確認する

「私はもうダメ・・・口移しで・・・お願い・・・お兄ちゃん」

その言葉にムカついたレオは無造作に小瓶のふたを開けメアリーの口に強引にツッコんだ、見る見る小瓶の中のポーションが無くなっていき全てを飲み干したメアリーはようやく自分で体を起し座り込んだままレオを涙目で見つめていた、みゆきは思わずレオに問いかける

「ねえ一体何があったの?この子メチャクチャ強かったのに、私何もしてないのに倒れて・・・」

「こいつは体力と魔力を一気につぎ込んで瞬間的に増幅させるという装備を持っているんだ、だから一時的ではあるがスピードやパワーを数倍にする事ができる」

「何それ!?もの凄い装備じゃない、うまく使えばメチャクチャ強いんじゃないのそれ!?」

「しかし長くても5分程しか使えないしHPとMPが尽きればご覧の通り動く事も出来ん、回復魔法や治癒のポーションを使ってもキッチリ丸一日はまともに戦えないっていう代物だからな、デメリットが強すぎて使う奴はほとんどいないぜ!?こんな欠陥装備」

「そうなんだ・・・それであんなに強かったのか、だからアンタのアドバイスも”何とか耐え切れ”だった訳ね!?」

レオの説明にみゆきが納得する、まだ座り込んでいるメアリーは未だ涙目でレオを見上げていた

「なんだよメアリー、言いたい事があるなら言ってみろよ」

「ううぅぅ・・・お兄ちゃん・・・」

「なんだよ!?」

「バスケがしたいです・・・」

「すりゃあいいじゃねーか!?」

レオの返事にせきを切った様に大泣きを始めるメアリー、レオは呆れ果ててどうしたものか?と頭をかいていた、そこにみゆきがゆっくりと歩み寄って来て話しかけてきた

「ねえレオ、私に任せてくれないかな?女は女同士って言うでしょ!?」

「はぁ?お前のどこに女としての要素があるんだよ、見た目以外まるっきり女の欠片もねーじゃねーか!?お前に女心がわかるならその辺の虫の方がよっぽど・・・」

そのレオの言葉に対しみゆきはニコリと笑うといきなりレオの金的を膝で蹴り上げた、思わず急所を両手で抑えうずくまるレオ

「みゆき・・・てめえ何しやがる・・・」

「あら!?わたくし可憐で清楚な乙女ですのでそういった痛みを存じあげませんですのホホホホ、じゃあ御免あそばせ」

レオは顔面に脂汗をかきながらみゆきを睨みつけた

「このアマ、言っておくが俺はお前のマスターだぞ!?いい加減その態度・・・」

レオの言葉に大泣きしていたメアリーがピクリと反応した、そしてみゆきに問いかける

「マスター!?じゃああなたはサーヴァントなの?一体どの時代の英霊よ!?」

「ゴメンまた何言っているかわからないけど・・・私とお話ししてくれないかなメアリーちゃん」

「話しかけないでください、私あなたの事が嫌いです」

「そんな事言わないで、あなたにとっていい話ができると思うから」

「何よ、いい話って!?さっきは”私はレオの彼女 キリッ‼”とか言ってたくせに」

『何かこの子言い方にいちいちトゲがあるわね、まあこの子にしてみれば私は憎っくき恋敵だろうからしょうがないのかもしれないけど・・・』

「その事なんだけど、実は私レオの恋人じゃないのよ」

みゆきのその言葉に目を大きく見開いて顔を近づけるメアリー

「くわしく‼」

「えっ!?う、うん・・・実は私とレオは事情があって一緒に旅をしているの、決して恋人って訳じゃないわ、さっきはレオに頼まれて恋人のフリをしていただけなの」

その言葉を聞いてヘナヘナと崩れ落ちるメアリー

「良かった・・・本当によかった・・・」

メアリーの心の底から安心している様子に何だか少し嬉しい気持ちになったみゆき

「メアリーちゃんはそんなにレオお兄ちゃんが好きなんだ!?」

「もちろんよ、当たり前じゃない」

「なんでそこまでレオお兄ちゃんが好きなのか教えてくれないかな?理由次第では私も協力してあげるわよ」

ニコリと笑いかけるみゆきに厳しい表情を見せたメアリー

「何よそれ!?私を馬鹿にしているの?憐みとか同情とか冗談じゃないわよ‼でもそうしてくれるなら何でもしゃべりますから是非その方向でお願いします」

メアリーの返事に”ははははは”と苦笑いを浮かべるみゆき

『素直なんだか強情なんだかわからない子ね・・・でも必死って感じでなんだかかわいいな』

メアリーはふぅと息を吐いて一息入れると、しみじみと話し出した

「私の本当の両親が戦争で死んで隣に住んでたレオ兄ちゃんの母親に引き取られたって事は知ってるのよね?」

「うん、そこはレオに聞いた・・・大変だったわね」

「まあね・・・正直つらかったし悲しかった、でも二人目のお母さんも優しかったしお兄ちゃんも色々私に優しかった、私には兄弟いなかったからいきなり兄ができて戸惑ったけど正直嬉しかったよ、ようやく本当の家族の様に思えてきた時、二人目のお母さんも戦争で死んじゃった・・・もうダメだと思った、精神的にも金銭的にも、だってお兄ちゃんもまだ子供だったし二人が生活するなんて絶対無理だと・・・」

メアリーはそこで一旦話す事を止めた、当時の辛い思い出が頭によみがえったのだろう、みゆきは思わず

「ゴメンね無神経に辛い事聞いちゃって・・・もういいから・・・」

そんなみゆきの言葉に首を振るメアリー

「ううん、ちゃんと聞いて 私が途方に暮れていた時レオ兄ちゃんが言ったの”俺が必ずお前の分まで稼ぐから”って”ちゃんとした学校にも通わせてやるから”って・・・」

みゆきは言葉が出なかった、メアリーやレオの生きてきた人生の辛さに比べれば自分はなんて恵まれていたのだろうと、メアリーは再び話を続けた

「お兄ちゃんは住み込みで働くからって出て行った、私にはフランスの上流階級の子が行くような全寮制の学校に入学した”金の事は心配するな”って全額お兄ちゃんが出してくれたの・・・でも私知っているのよ、お兄ちゃんは傭兵として命がけで戦っていてそのお金で私を学校に入れてくれたこと・・・私なんか本当だったら単なるお隣さんの女の子なのよ!?でもお兄ちゃんは私の為に・・・」

メアリーの目から涙がボロボロと零れ落ちていた、みゆきも思わずもらい泣きしそうなほどの気持ちになったがグッと堪えた、メアリーが再び話始めた

「私どんな事をしてもお兄ちゃんに恩返しがしたい、お兄ちゃんのしたい事を何でも私が叶えてあげたいの、だからお兄ちゃんと結婚してお兄ちゃんの子供を産んでそれから・・・」

「こ、子供って!?あなたまだ14歳でしょ!?いくらなんでも・・・」

しかしみゆきの言葉はすでに耳に入っていなかった、メアリーは完全に自分の世界に入り込んでしまっていて目線を遠くに向けながら思い出話を語り始めた

「だから私はどうやったらお兄ちゃんと結婚できるか日本の漫画やアニメで勉強したわ、学校の寮でそういうのが好きな子がいてね・・・」

『それでこんな風になっちゃったのね・・・良かったんだか悪かったんだか・・・』

みゆきは涙ぐむメアリーの手をそっと握り優しく話しかけた

「わかったわメアリーちゃん、私も協力してあげる、でもレオと同行は無理だと思うわ、とにかくあいつと一緒にいると凄く危険に巻き込まれるのよ、だからレオも一緒には連れていけないと思っているはずよ、お兄ちゃんの気持ちわかってあげて」

その言葉にメアリーの表情が再び厳しくなる

「嫌よ、やっと見つけたんだから、もう離れないわ‼」

二人がそんな事を話しているとシビレを切らしたレオが後ろから早足で歩いてきた

「いつまで話しているんだ!?」

イラつき気味にメアリーの背後から話しかける、話に夢中になっていたメアリーはレオの接近に全く気が付いていなかった為、体をビクッと反応させて驚いた

「ファッ!?お兄ちゃん、急に後ろから話しかけるなんて・・・相変わらずせっかちなワイルド系ね」

「そう言うのはもういいから、最初の約束だ、メアリーお前はみゆきに勝てなかった、だから俺について来ることは許さん、わかったな」

「そ、そんな・・・お兄ちゃん私はね!?」

慌てて説得しようとするメアリーだが無言のまま厳しい表情で見下ろすレオ、こうなった時のレオは絶対に意見を曲げない事を誰よりも知っていた為メアリーは作戦の変更を余儀なくされた、みゆきに対して目線で何かを訴えかけてきたのだ、その表情は”早く何とかしなさいよ‼”と言わんばかりのモノであった、そんなメアリーのサインに戸惑ったのはみゆきである

『えぇ~ここで私に何とかしろっていうの!?そりゃあさっきは協力するとは言ったけどさぁ・・・』

仕方なくみゆきがレオに話しかける

「ねえレオ、メアリーちゃんはあなたに会いたくてここまで来たのよ、それを無下に突き放すのはあまりにかわいそうじゃない?」

「アァ!?」

みゆきの方に振り返ったレオの表情はやや怒っている様子だった、それも無理からぬ事だとみゆきにもわかっている、妹の身を案じている兄に対して、他人が薄っぺらいロマンチシズムで意見しているのだから、実際のところみゆきにもわかっていた、レオの旅にメアリーを連れて行くなんてのは土台無理だという事を、しかしみゆきの意見に目をキラキラさせてうなずいているメアリーを見て思わず心でため息をつくみゆき

『人の気も知らないで・・・でも何かしてあげたい気持ちになるのよね・・・』

みゆきの意見に対してのレオはその表情とは裏腹に冷静なモノだった

「俺達の旅に連れていけない事はお前だってわかっているだろ!?だったら諦めるしかない簡単な二択だ、そもそもメアリーなんか連れてい行ったら後先考えず行動して真っ先に死ぬことは簡単に想像できる、それでもお前は連れて行けと言うのか?」

レオの正論に全く反論できないみゆき、そもそもみゆき自身メアリーを連れて行くこと自体反対なのだ、申し訳ないとばかりにメアリーの方をチラリを見ると当のメアリーは不機嫌そうな表情で”使えない奴”と言わんばかりに横を向いて舌打ちをしていた

『何よあの子!?私だって頑張って言ってみたのに・・・大体この手の説得なんて私は苦手なんだから!?』

レオは呆れたようにメアリーの方を見て言い放つ

「どうせお前がみゆきに何か吹き込んで頼んだんだろ!?みゆきは単純だからついついお前の味方をしたというところか、もう一度しか言わないぞ、俺達について来ることは許さん、いいなメアリー‼」

「そ、そんなお兄ちゃん・・・」

レオの言葉に思わず涙ぐむメアリー、そんなメアリーを無視するように反転して背中を見せるレオ

「行くぞみゆき」

「えっ!?う、うん・・・」

がっくりと肩を落とし地面に座り込んでいるメアリー、そんな彼女の姿を振り返ることも無くスタスタと歩いて行くレオ、しばらくは無言のまま歩いて行く二人だったがメアリーの姿が見えなくなるところまで離れてからみゆきがレオに話しかけた

「ねえレオ、あなたのいう事は正しいと思うけど、あれじゃあまりにもメアリーちゃんが可愛そうじゃない?あの子あの歳でアンタに会いたいって思いだけで一人で旅しながらアンタを探していたんだよ!?」

レオはイラつき気味に答える

「だったらどうしろっていうんだ!?連れて行く訳にはいかないし、付いてこないように突き放すしかないだろ!?」

「う、うん・・・まあそうなんだけどさ、でもたった一人の兄弟でしょ、あの子にとってこの世界で頼れるのはアンタだけしかいないんだから・・・それに一人は寂しいでしょ」

「ちっ!?寂しかろうが、不安だろうが死ぬよりはマシだろ!?あいつまでゾンビにするわけにはいかないからな」

「ゾンビで悪かったわね、でも今あの子一人で大丈夫かな?今日一日はまともに戦えないんでしょ?あの子見た目も結構かわいいしおかしな奴に絡まれたりしたら大変じゃない?」

みゆきの言葉に足が止まるレオ、急に不安になったのか地面を見つめながら固まってしまっていた

「せめて戦えるようになるまで一緒にいてあげなさいよ、ねっ!?」

レオは目を閉じハア~っと息を吐いた

「しゃあねえな、じゃあ戻るか、どうせまだあそこにいるんだろうし」

「そうね、なんだかんだでやっぱり妹が心配なんだ、優しいねお兄ちゃん‼」

「茶化すな、本当にムカつくなお前は」

「なによ褒めてるんじゃない、私は一人っ子だったから兄弟のそういうのってうらやましいな」

「俺達のは普通の兄弟とは違うけどな・・・」

レオとみゆきは踵を返すと元いた場所に戻る事にした


レオ達が去った後も地面に座り込みながら泣いていたメアリーに近づく人影があった

「ねえお嬢ちゃん、そんな所で座り込んで何してるの?」

その声にふと顔を上げるとそこには屈強そうな男が四人ニヤつきながら立っていた

「な、なによアンタ達、私の事はかまわないで頂戴、さっさとどっかに行きなさいよ‼」

メアリーに声をかけた男の後ろのにいた男達が小声で話す声が聞こえた

「おい本当にこの子でいいのか?」

「ああ間違いないはず、聞いていたのと特徴も一致するしな」

「なあお嬢ちゃん、俺達もお金をかけて君を探していたんだから”はいそうですか”って引き下がるわけにはいかないんだわ、君ステファンレオの妹なんだって?」

男の顔つきが少し威圧するようなモノへと変わる、警戒心を強めるメアリー

「なんなのよアンタ達!?これ以上私に関わると痛い目を見るわよ‼」

メアリーの言葉に男達はお互い顔を見合わせ笑っている

「お~怖い怖い、でもこれもビジネスなんでね、おとなしく一緒に来てもらおうかな、そうすれば何もしないからさ」

「おいおい勝手に何もしないって約束なんかするなよ、いい事はしちゃうかもしれないんだからさ」

「お前こんなガキに欲情してるのかよ!?相変わらずお前の趣味はわからんな」

「馬鹿野郎、この熟れる前の果実みたいな状態が最高なんじゃねーか!?とりあえず生きていればいいんだろ?」

先頭にいたリーダー格の男が少し考えてから返答する

「ちっ!?ほどほどにしろよ、それと傷はつけるなよ」

「まあある意味傷物になっちゃうけどな」

”はっはっは”と笑う四人組、その内の一人は明らかにメアリーを下卑た目で見ていた

「アンタ達いい加減にしなさいよ”チェンジ装備S‼”・・・あれ?変わらない、あっ!?今日はもう使えないのか、そんな・・・」

メアリーの表情が一気に恐怖に怯えたモノへと変る、その様子を見てさらに喜ぶ男達

「いいねえいいねえその表情、大丈夫気持ちよくしてあげるだけだからさ」

「近寄らないで、私の体はお兄ちゃんのモノなんだから‼」

そんなメアリーの言葉で止まる訳も無く恐怖で硬直してしまっているメアリーの腕を掴む男、思わず目を閉じ心で叫ぶメアリー

『助けてお兄ちゃん‼』

その時男達の後ろから声が聞こえた

「テメエら俺の妹に何してやがる、その汚い手を離せ豚野郎ども」

四人が振り向くとそこにはレオとみゆきが立っていた

「ギリギリ間に合ったみたいね、大丈夫だったメアリーちゃん?」

レオの姿を見たメアリーは安心感からかボロボロと涙をこぼしながら何かを言おうとしていたが言葉にならない様子だった、そんなメアリーの姿を見て余計に怒りが込みあげてきたのか鬼の形相で四人組を睨みつけるレオ、そんな雰囲気を察し慌てて逃げだそうとする四人の男達

「おいヤベえぞ!?さっさと逃げようぜ‼」

「そうだな、四人別方向に逃げるぞ、誰がやられても振り向くなよ、いいな‼」

その言葉に他の男はうなづくと四人は別々の方向に逃げ出した

「逃げられるとでも思ったか豚ども、お前らには恐怖ってヤツを教えてやる」

レオは逃げ出した四人目掛けて手を突き出した、するとレオの掌から放たれたドラゴニックブームが四人の両足を吹き飛ばした

「ぐあああぁぁぁ~‼」

「痛てええぇぇ痛ええよおぉぉ‼」

「ぎゃあぁぁぁ俺の足、俺の足がああぁぁぁ~‼」

「助けて、助けてください御免なさい謝りますからどうか~‼」

両足を失った四人の男達は激痛と恐怖で地面に倒れながらもだえ苦しんでいた、しかし怒りの治まらないレオはその内の一人リーダー格の男ににゆっくりと近づいて行き髪の毛を掴んで引き揚げ顔を近づけた

「まさかこれで終わりとか思ってはいないよな?お前たちにはたっぷりと楽しんでもらわないとな」

その言葉にガタガタと歯を鳴らして震えるリーダー格の男、なみだ目になりながら命乞いをする

「た、助けてください・・・お願いします・・・何でもします・・・ですから」

「じゃあ一つ聞かせろ、なぜメアリーを狙った?」

「それはあなたの関係者だと聞いていたからです、通商連合の受付に金を渡してドラグナイト関係の問い合わせをした人間がいたら情報を流してもらうようにしていたんです、ドラグナイトの事は情報だけでもグランシアに売れますから・・・」

「ちっ、またグランシアか・・・うっとおしいな、いっそ潰すか!?」

そのリーダー格の男は両足を無くしながらもレオの足に必死にしがみつき懇願した

「なあ喋れることは全部話したんだから命だけは助けてくれ、お願いします」

その言葉にニヤリと笑い答えるレオ

「ああわかった命は奪わないでやる、ただしこれから俺の与える痛みと恐怖にどこまで耐えられるかな?お前が自分から”どうか殺してください”と懇願するまで続けるつもりだからまあ精々がんばれや」

「そ、そんな・・・それじゃあ話が違う・・・ぎゃあああああぁぁぁ」

空に男の叫び声が響き渡る、他の三人は両足を無くし這いつくばりながらも必死で逃げようとする者、両足喪失と死への絶望で失神してしまっている者、あまりの激痛にのた打ち回っている者、それぞれであったが最後は皆レオによってなぶり殺しにされた、そのあまりの凄惨な光景に思わず目をそむけるみゆき、それとは対照的にうっとりとした目つきでレオを見つめるメアリー

「ああ私の為に戦うお兄ちゃん、私愛されてるのね・・・好き、大好きもう死んでもいいくらいよ」

そんなメアリーの様子を見ていたみゆきが苦々しい顔をしながら思わずつぶやく

「アレのどこを見たらそう思えるのか・・・恋は盲目っていうけどさ・・・」

レオは寧ろ楽しそうに男達をいたぶっていた

「オラどうした!?まだ死ぬんじゃねーぞ、痛えか?もっと泣けもっと叫べ、自分たちのやった事を後悔しながら死ね‼」

しばらくの間広々とした砂漠に男達の絶叫が響き渡った、四人全員が自ら”もういっそ殺してください、お願いします”という嘆願をするまで男達をいたぶったレオ、血まみれの姿でみゆきとメアリーに近づいて来る、顔をしかめるみゆき

「レオ、アンタの性格や考え方は理解しているつもりだけど・・・もう少しやり方ってモノは無いの?あれじゃあメアリーちゃんも怯えてしまうんじゃ・・・」

みゆきがそう言いかけていた時メアリーはレオに走りよって抱きついた

「さすがですお兄様、さすおにです‼大好きよ、本当に好き、愛しています‼」

血まみれの服にためらいなく抱きつくメアリー、そのかわいい顔に男達のモノと思われる返り血がベッタリついてしまうが全く気にする様子はなく、嬉しそうに顔をなすりつけるメアリー、みゆきは思わず”うげっ!?”っと声に出してしまうほどだった、なぜならメアリーの綺麗な金髪が血によってどんどん赤くなっていたのだ、そんなメアリーを一旦引きはがし話しかけるレオ

「馬鹿、せっかくの綺麗な髪が血で汚れちまったじゃねーか、町に戻って新しい服でも買うか?それとも・・・」

メアリーはレオの話している言葉すら耳に入っていなかった、いや正確には耳には入っていたのだがメアリーの脳内で変換されてしまっていたのだ、メアリーの中のレオは優しく肩を抱き寄せ耳元でささやいた

「メアリー可愛いよメアリー・・・その美しい髪が台無しじゃないか、君に合う服を買ってあげよう、もちろんその後はその服を脱いで僕に全てを見せておくれ・・・ああ愛しの我が妹メアリーよ・・・」

メアリーは完全に自分の世界に入りきっていた、そんな事とは知らずに周りを見回し町に戻る事を決めたレオ

「じゃあとりあえず町に行って・・・何の真似だメアリー!?」

メアリーは目を閉じ唇を突き出してキスを待っているポーズをとっていた

「さあ早くお兄様、私はいつでもOKです・・・」

レオの表情が怒りに変り思わずメアリーの後頭部を殴りつけた、メアリーはカエルの様に地面にうつ伏せになって倒れるとそのまま気絶してしまった


レオは気絶したメアリーを抱えトルチラの町に戻ってメアリーの体を洗い新しい服を着せて目覚めるのを待った、レオとしては起きるとまた面倒なので力を使って眠らせていたのだ、ベッドに横になっていたメアリーがようやく目を覚ます、と言うより急に目を大きく開け飛び起きたのだ

「ダメよお兄ちゃんそんな破廉恥な!?・・・なんだ夢か・・・あれ?ここはどこ?」

目をさましベッドから上半身を起して辺りをキョロキョロ見回すメアリー、そこには明らかに怒っているレオと苦笑いのみゆきが立っていた

「コラ、メアリー俺の何が破廉恥なんだ!?またどんな夢を見ていたんだ!?いや言わなくていい・・・頭が痛くなってきた・・・」

「それより、良かったわねメアリーちゃん、気分はどう?」

まだボーっとしているメアリーは自分の服が以前のモノと違う事に気が付いた

「この服は・・・」

「あぁ服も髪も血で随分汚れたからな、お前が気絶しているうちに体を洗って新しい服を買ったんだよ、気に入らないか?」

「体を洗った!?」

メアリーの顔がみるみる真っ赤になり自分の両腕を抱えてベッドの上で丸くなった

「私の裸を見たの?お兄ちゃんが?」

「あ!?今更恥ずかしがることないだろ、小さい頃はよく一緒に風呂入ったし・・・大体胸も尻も無いお前の裸なんか見ても誰も何とも思わないだろ・・・」

その時”パーン”という音が部屋中に響いた、みゆきがレオの後頭部をひっぱたいたのだ

「痛ってな~何しやがるみゆき!?」

「アンタにはデリカシーってモノがないの!?年頃の女の子が裸を見られるって凄く恥ずかしい事なのよ、なんでそんな事もわからないのよ、微生物なのあなたの頭は!?」

「なに言ってやがる、妹だぞ!?今更恥ずかしいとかないだろ!?」

「ハア~全くアンタって奴はとことん男として駄目ね・・・大体アンタは・・・」

みゆきがレオを攻め立てている時、みゆきとレオの間にメアリーが割って入って来たのだ

「さっきから聞いていれば何アンタは!?まるで世話焼き女房みたいなその態度、気に入らないわね、あなたにお兄ちゃんの何がわかるっていうのよ‼」

思わぬ展開に戸惑うみゆき

「いやメアリーちゃん、私はあなたの為に言っているのよ、その辺りはわかってね」

「さっきからお兄ちゃんのここがダメあそこがダメって・・・まるで”私だけは知っていますぅぅ~”って態度が凄く鼻に突くわ、私はねあなたの知らないお兄ちゃんのダメなところだっていっぱい知っているんだから、例えばお兄ちゃんはキスが下手でフラれた事があるのよ、でも私はそんな所だって愛せるわ」

レオが思わず驚いて問いかける

「なっ!?お前何でそんな事知って・・・」

レオの反応にもかまわず話を続けるメアリー

「それにお兄ちゃんはエロ本を本棚に偽装して隠していたのよ、入念に植物の図鑑の表紙を被せてね、そのエロ本に載っていたヌードモデルにあなた少し似てるのよ、わかった!?あなたはねお兄ちゃんに単なる性欲の対象として見られているだけなのよ、そこを勘違いしないで頂戴‼」

そのメアリーの言葉にドン引きのみゆき、珍しく慌てふためくレオ

「ちょっと待て、そんな訳ないだろ!?なぁみゆき今のはメアリーの嘘だからな、作り話だぞ、わかっているよな!?」

レオが必死に弁明しながらみゆきに手を伸ばす、みゆきはニコリと笑いながらレオの伸ばした手を叩き落とした

「触らないで、汚らわしい」

とんだ濡れ衣を着せられ戸惑うレオ、後ろでシメシメとばかりにニヤつくメアリー、メアリーの方に振り向いて思わず怒鳴りつけるレオ

「コラ、メアリーお前は‼ある事無い事言ってるんじゃねーぞ!?」

「あらお兄様、全てがねつ造ではございませんことよ、私が植物図鑑を見ようとして本を開いたときの衝撃を想像してくださいませんかしら!?ある意味おしべとめしべが重なる絵ではありましたけどねオホホホホ」

その言葉に思わずたじろぐレオ、過去エロ本をそこに隠していたのは事実だった、しかし今のままだとみゆきを性欲の対象として見ていた事にされてしまう、それだけは避けなければ・・・という思いがあった、その時再び気が付いた

「メアリー、お前なんでキスの事知っている!?どこから調べた情報だ?」

「ステファン家の妹たる者そのくらいの事知らなくてどうしますか!?」

「いいから真面目にちゃんと答えろメアリー!?」

明らかに怒っているレオに対しメアリーは思わず視線を逸らしたが逃げられないと観念したのか開き直って話始めた

「アレはお兄ちゃんのスマホに私が盗聴アプリを仕込んだのよ、私にはお兄ちゃんの事を知っておく義務があったからね」

「てめえ、一体何やっていやがる!?さらっと言えば何でも有されると思っているのか!?」

「わ、私はいいのよカワイイから・・・そうだ!?昔中国の偉い哲学者がこんな事を言ったわ”カワイイは正義”って、実に心に染み入る言葉よね、まあそういう事よ」

「何が”そういう事よ”だお前自分のやっている事がわかっているのか!?いざとなったら兄弟の縁を切るからな!?」

レオのツッコミに思わずシュンとなるメアリー、そしてぺこりと頭を下げる

「ごめんなさいお兄ちゃん・・・」

「全くお前って奴はしょうがないな・・・」

「許してくれるの!?やっぱりお兄ちゃん大好き‼」

一変して喜び勇んでレオに抱きつくメアリー、呆れながらも頭を撫でるレオ、そんな二人の姿を見て少しうらやましく感じたみゆき

「やっぱりいいね兄弟って・・・あなた達は少し特別なんだろうけど」

「そうか!?普通だろこんなの」

「いやいや絶対普通じゃないって、あっ!?そうだ、ちょっと意外で面白かったのはあなたキスが下手でフラれたの?ちょっと笑えるんだけど」

レオはため息交じりに話し始めた

「違え~よ、あれは俺が女に別れ話を持ちかけた時にだな最初は相手の女がが別れたくないってゴネていたんだが、俺の意思は変わらないって言った途端せきを切った様に俺の悪口を言い始めてな・・・まあそれで相手の気がすんで別れられるならと聞流していたんだが、その中の一つに”アンタなんかキスも下手だったし”ってのがあったんだよ、それをメアリーが盗聴で聞いていたんだろ、それだけの話だ」

「ふ~ん、思ったよりつまらない話ね、まあいいわ、でどうするのこれから?あんな連中がウロウロしてるんじゃメアリーちゃんを一人にはしておけないでしょ」

「そうだな・・・どうしたものか・・・」

メアリーが思わず口を挟む

「わたしも一緒に行けば万事解決じゃない、そうよそうしましょうよ‼」

メアリーの提案に考え込んだまま無反応の二人、ムッとしたメアリーはみゆきの背後に回り鼻をつまんで声を変えると

「私みゆき、そうよそうしましょう、メアリーちゃんは私なんかより全然カワイイしいっそレオと結婚するのはどうかしら!?うんそれでいきましょう‼」

レオが思わずメアリーの頭をひっぱたく、しばらく考え込んでいたみゆきが

「何度も頼むのは気が引けるけど香奈ちゃんの所で預かってもらうしかないんじゃないかな?あそこなら私達もちょくちょく顔出すし」

「やっぱそれしかないか・・・またあのお姫さんに借りを作ってしまうな、じゃあ例の通信装置を使って姫さんに連絡を・・・」

レオが何気なくみゆきの方に手を伸ばす、その時思わずその手を叩き落とすみゆき

「近寄らないで汚らわしい」


レオとみゆきはメアリーを連れて再びアミステリア公国に向かった、先日シャーロットにもらった通信装置で今回の事情を聞いていた香奈は屋上まで迎えに来てくれていた、巨大カラスは城の屋上に舞い降り三人を降ろすと再びスッと消えていく、三人に思わず駆け寄る香奈

「早かったですねみゆきさん、レオ様、そしてあなたがレオ様の妹さんの・・・」

メアリーは少し恥ずかしそうに自己紹介をし始めた

「ステファン・メアリーよ、よろしく」

その少しはにかみながら話す仕草に思わず顔がほころぶ香奈、メアリーもみゆき同様黙っていればカワイイ女の子なのだ、思わずみゆきの耳元で小声で話しかける香奈

「みゆきさん、この子凄くかわいいですね!?」

「えっ!?うん、まあそうよね・・・少し癖があるけど可愛いわよね」

みゆきの微妙な言い回しに少し首を傾げるが、それには触れずに微笑みながら挨拶の為の右手を差し出す香奈

「初めましてメアリーちゃん、私はこの国の軍事責任者をやっています、ラインハルト・カナ・ロマーヌと言います、よろしくね!?」

香奈の自己紹介に恥ずかしがっていたメアリーの目が光った

「ラインハルト・・・ロマーヌ!?、あなたそれって”漆黒のディープラヴァ―”の主人公とヒロインから流用したハンドルネームだってバレバレじゃない」

メアリーのツッコミに思わず後ずさりする香奈

「な、なぜそれを!?あなたあの作品知っているの?」

香奈の問いになぜか得意げに答えるメアリー

「えぇもちろんよ、あの嵐の中の告白シーンは中々感動的だったもんね・・・」

メアリーの答えについつい前のめりになってしまう香奈

「そうなの、そうなのよ‼あのシーンは最高なのよ、嵐の中でのラインハルトの告白・・・何度思い出しても涙が出てくる」

なぜかメアリーに共感している香奈、そんな姿の香奈を見たことが無いみゆきは戸惑いを隠せない

「あ、あの香奈ちゃん・・・あなた一体・・・メアリーちゃんの話がわかるの!?」

「あっ!?ええ、私の好きな漫画の話です、実はこのラインハルト ロマーヌと言うのもそのマンガから付けたんですよ」

「へぇ~そうなんだ・・・意外ね・・・香奈ちゃんとメアリーちゃんがねぇ・・・」

メアリーが再び得意げに話始める

「ラインハルトもいいけど私はグレフォーネ派だからね、中の人もこっちの方がイケメンだし」

香奈は目を閉じ腕を組んでウンウンとうなづく

「確かにグレフォーネも凄く素敵なのよ・・・ラインハルトと比べても甲乙つけがたいくらいなのよね・・・中の人・・・担当声優さんは加瀬秀行さんよね!?確かにイケメンだけど見た目が少しお兄ちゃんに似てるのよね・・・それにラインハルト役の羽田征四郎さんはそんなにイケメンではないけど男っぽいというか、凄い渋いじゃない、私は羽田さんの方が好きだな!?」

「ふ~ん、あなたも妹なんだ・・・なら迷わず兄に似てる人を選ぶべきじゃない!?」

「いや普通逆でしょ、お兄いに似てるってだけで何か嫌じゃない!?別にお兄の事嫌いじゃないけどさ・・・」

その時再びメアリーの目が怪しく光った

「さてはあなた腐っているわね?ラインハルトとグレフォーネのカップリングを妄想して悦に浸っているんでしょ!?」

その問い掛けに少し動揺する香奈

「そ、そんな訳ないじゃない、私は純粋にあの作品が好きで登場人物が好きなだけの一ファンよ、変な事言わないで頂戴」

冷静に反論する香奈、二人の会話に付いていけないみゆきが思わず香奈に問いかける

「あの・・・香奈ちゃん、腐ってるって何の事?」

「えっ!?嫌だなみゆきさん、私腐ってなんかいないですよ!?ああ腐っているの意味ですか?実は私にもよくわからなくてははははは・・・」

いつもに比べ明らかに態度のおかしい香奈、そこにすかさずメアリーが話しかけた

「どうせアンタなんかいつも心の中でグレフォーネ×ラインハルトで妄想して楽しんでいるんでしょ!?にわか婦女子ってバレバレよ」

冷ややかな目でクスクス笑いながら香奈を挑発するメアリー、その時香奈の表情が一変しメアリーを睨みつける

「はぁ!?グレフォーネ×ラインハルト!?馬鹿じゃないの、ラインハルトが受けって!?もっと常識ってモノを知ってから語りなさいよ‼どっちがにわかかその発言でハッキリわかるじゃない、大体ゲレンフォーネが攻めならどうやって・・・はっ!?しまった」

レオとみゆきは目が点になっていた、笑いを堪えるのが必死のメアリー

「ち、違うの、違うのよみゆき姉ちゃん」

慌てて取り繕う香奈だが時すでに遅かった、目を細めニヤつきながらメアリーが呟いた

「言うに及ばず語るに落ちるとは正にこの事ね、観念しなさいあなたはコッチ側の人間よ」

思わず崩れ落ちる香奈

「久しぶりに“ディプラバ”の話ができたからつい・・・私がこんな古典的なトラップに引っかかるなんて・・・」

一部始終のやり取りを聞いていたレオが気を取り直して話を切り出した

「ま、まぁ色々気が合いそうだし良かったなメアリー、ここなら俺達もよく顔を出すし・・・」

レオの話が終わっても不思議そうな顔で苦笑いを浮かべているみゆき、崩れ落ちている香奈の肩にそっと手を置いて

「香奈ちゃんあなた・・・まぁ人の趣味はそれぞれだしね、メアリーちゃんと気が合いそうで私も安心したわ」

「そんな、そういうなんとなく大きいくくりで慰めないでください・・・そういうの一番辛いんですよ」

香奈の目から涙が溢れ落ちた、しかしみゆきは先日と違って香奈をちゃんと慰める気にはなれなかったのだ

「じゃあそういう事で頼むわね香奈ちゃん」

差し障りのないままま、もう切り上げようとするみゆきに対し手を伸ばしてすがろうとする香奈、しかし気づかないフリをして立ち去ろうとするみゆき、そこにレオが近づいてきて耳元で囁く

「お前結構薄情だな、明らかに助けを求めてるぞあの姫さんは⁉︎」

「私だって戸惑ってるのよ、小さい頃から知っているつもりだったけど香奈ちゃんにあんな一面があったなんて・・・どう接していいかわからないの」

ガックリ肩を落としうなだれる香奈の肩をポンポンと叩きウンウンとうなづくメアリー、香奈にとってはなんの慰めにもなってなかったが対応する気力すらなかった、そんな香奈の耳元でメアリーが咲いた

「じゃああなたが元気になる事を言ってあげるわ、加瀬さんに似てるというあなたのお兄さんと私のお兄ちゃんカップリングするならどっちが右側かしら?」

その瞬間香奈の目がキラリと光る

「お兄ちゃんとレオ様で・・・うちのお兄ちゃんはヘタレなところがあるから間違いなく右側ね、レオ様の強気攻めにお兄ちゃんのヘタレ受け・・・これで決まりよ反論は認めないわ」

メアリーはニコリとうなづき

「私もそう思うわ、うちのお兄ちゃんはせっかちだから素質は十分よ、あとはあなたのお兄さんがどうかで妄想じゃないカップリングが完成する可能性もありえるわね、あなたとは長い付き合いになりそうね」

レオとみゆきが少し離れた所から二人を見ていた、先程まで落ち込んでいた香奈がメアリーと一緒にキャーキャー言っていたのだ

「なにかわからんが元気になったようだな、メアリーとも仲良くやれそうだし・・・まずは安心だ」

レオはまさか自分が話のネタにされているとは露にも思っていない、みゆきも軽くため息をついて微笑んだ

「あの子が香奈ちゃんの友達になってくれたら嬉しいな、最近の香奈ちゃんはずっと張り詰めていたから・・・私もずっとそばにいてあげる事は出来ないからね」

香奈とメアリーが二人で盛り上がる中、それを生暖かく見守るみゆきとレオの姿があった。




今回は少し時間がかかってしまいました、アニメや漫画、ミリタリーなどは大好きなのでスラスラとかけるのですがさすがにBLには疎くて色々調べながら書き込んでいた為遅くなってしまいました、BLに関しては完全にニワカですのでその辺りの表現がおかしくてもご容赦のほどを・・・そして厳しいツッコミはご勘弁ください(笑)では。

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