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ネバーランド 正体不明の侵略者編

登場人物

ジェームズ・ハワード…第64代アメリカ合衆国大統領

リチャード・ハウゼン(ジェームズ・マクシミリアン)…世界の魔法使いのトップ、三賢者の一人でスタネールの大賢者とよばれている

鳴沢英治…脳科学の権威でワールドファンタジアのデータはほとんど頭に入っている

オストフ・ヴィ・リードヴィッヒ…スタネール共和国王、部下や国民からの信頼も厚い

コンラート・ヴィ・リードヴィッヒ…オストフ国王の息子で次期国王、精鋭騎士団”烈風の牙”のリーダー


スタネール共和国は一年中わたり気候も良く土地も肥えている為


農業も盛んで国内のみならず国外にも様々な野菜や果物を輸出している


文化レベルも並み以上であり国民にとっては非常に住みやすい国と


言っても過言ではない、その理由は国力に対して軍事費に


それほど予算を使っていないからなのだがこのWFという世界では


各国が常に戦争をしているような状態である為、たとえ自国に


他国への侵略の意思がなくともいつ他国から攻められるか


わからない・・・という不安から軍事費にはできうる限りの予算を


つぎ込むのが普通だ、かの大国グランシアでさえ軍事費につぎ込む


予算の比率は高く国民への負担は非常に重い、なぜスタネール共和国が


低い軍事費でやっていけるのか?という理由は二つあり


”スタネールの大賢者”ことジェームズ・マクシミリアン


(リチャード・ハウゼン)がいるということ


”世界の三賢者”の一人であり強大な攻撃呪文はつとに有名だ、


そしてもう一つは重装騎士団”烈風の牙”という1000人からなる


精鋭騎士団の存在である、この騎士団のリーダーを務めるのが


コンラート・ヴィ・リードヴィヒという人物なのだが


このコンラートは現スタネール共和国王オストフ・ヴィ・リードヴィッヒ


の子息であり、次期国王と言われている男なのである


着任当初は歳も若く”どうせ親の七光りだろう”と部下からも


信頼されていなかったが、そんな予想をあざ笑うかのように


若くしてナイトの称号を得たり戦場では類稀なる指導力を発揮し


数々の武勲をあげたりと今では部下はもちろん国民的英雄扱いなのだ


そのコンラートが城内を速足で歩きながら横の部下に質問を投げかける


「おいジェームス・マクシミリアン殿が帰って来られるという


 情報はまことか?」

「はい、昨日大賢者様からの使い魔が来たとのことで


 近日中には戻れるとのことです」


質問に答える部下も嬉しそうに話す


「そうか実にいいタイミングで戻って来てくれたものだ

 

 そういうところもさすがと言わざるを得ないな」


「ええ全くです」


二人は歩きながら大きく笑った、そしてオストフ国王のいる


大広間の大きな扉を開けた


「父上‼マクシミリアン殿が帰って来られるそうですね‼」


オストフ国王はそんな息子の姿を見て一つため息をつく


「こらコンラート、皆の前では国王と呼べと何度も言ったであろうが」


国王であるオストフは自身の武力で国の頂点に上り詰めた男である


前国王時代オストフはその武力を買われ騎士団長の地位にいた


しかし前国王が王位を巡って弟に暗殺されてしまうという事態に合い


忠義に熱いオストフは単身で乗り込み護衛の兵20人ばかりを切り伏せ


見事に前国王の仇を討ったのである その事が城内や国内に広がると


主君の仇を討った忠臣として皆から英雄視されたのだ


そういった経緯もあり部下や国民からの要望で国王になったのが


オストフである、それゆえに自分の息子にも王位に就く為のハードルを


高く設定している節がある


「これは失礼いたしました国王様、でどうなのですか?」


オストフが170㎝ほどの身長に対しコンラートは190㎝近い長身である


武骨でやや近寄りがたいオルトフに対し、気さくで人懐っこい


コンラート、親子でも見た目も性格も全然違うのだが


両者とも国民や部下からの信頼は絶大である


「あぁ、先週ハラル共和国を出立して明日か明後日には


 こちらに着くとのことだ」


「そうですか、そういえば先日のハラルとグランシア&キシェロ連合軍


 との戦でもマクシミリアン殿が大活躍だったとか聞きましたが」


その質問にオストフも上機嫌で答える


「そのようだな、ハラルのオーデラン国王から長文の感謝状が


 届いておる、なんでもグランシア軍12万人を大賢者殿はほぼ一人で


 壊滅に追い込んだとのことじゃ」


一瞬口を開けたまま固まってしまったコンラート、気を取り直して


再び聞く


「それは真ですか父上!?一体どのような手段を使えば


 そんな事が可能なのですか?」


「コンラート、公的な席で父上と呼ぶなと何度・・・


 まあいいわい、詳しい事は本人に聞け」


オストフも上機嫌なのでそれ以上は言わなかった、それにこの親子の


やり取りを周りの重鎮たちはいつもニヤニヤ見守っている


それに気が付いているオストフも気恥ずかしいので早く切り上げたい


のだ、そしてオストフの表情が真剣なものに変わる


「それはそれとしてコンラート・・・いやここにいるみんなにも


 聞いてほしいのだ、実は大賢者どのからのメッセージでは


 彼と他にも5000人弱の人間がいて、その者達も保護してほしい


 とのことなのじゃ」


広間にいた一同がざわつく、そして国王の左側に立っていた


長老風の人物が口を開く


「それは一体どういう素性の者達なのでしょうか?」


ゆっくり首を振るオストフ


「それはわからん、なにせ短いメッセージであったし


 詳しい事情は着いてから話すとのことだったのでな」


「父う・・・国王様、マクシミリアン殿がそんな怪しい人物達を


 ワザワザ我が国に連れてくるわけないではありませんか


 おそらくどこかの滅ぼされた国の難民でしょう


 我が国の財政は5000人の難民を受け入れたぐらいでは


 ビクともしません問題は無いと思われますが!?」


コンラートはきっぱりと言い放つ


「確かにそうじゃの、どのみち大賢者殿が帰って来てからの話じゃ


 例の件とは無関係だとは思う・・・このタイミングで帰って来て


 くれて本当に良かった」


その日はその話で終わった。




ハウゼン、ハワード、鳴沢達の一行はハラル共和国を出発して一週間


ようやくスタネールの国境に近づいてきた、道中で何事もなかったのは


国境付近まで警護と見送りをしてくれたケビン・ハーパー達の


おかげでもある、そんなハーパー達にに別れを告げ


スタネール共和国の入国管理をしている関所に向う


「あそこに見えているのが入国管理をしている関所です


 私がいますので手続きにはそう時間がかからないでしょう・・・


 おや何かあったのでしょうか?」


ハウゼンの顔が急に曇り眉間にシワを寄せ、不思議そうな顔で


そう呟くとハワードが少し不安そうに尋ねる


「ハウゼン君何かおかしなことがあるのかね?


 もしかしてこんな人数で来たもんだから


 警戒されたとかではないのかね?」


「いえそれは無いはずです、我々を含む5000人の受け入れ要請は


 すでに出してありますから・・・関所というか国境付近に


 配備されている兵士の数が通常よりえらく多い気がします」


ハウゼンの不安に鳴沢が続けて質問する


「そういえば今の君はスタネール国王からお暇をいただいてると


 言っていたね、確かスタネールは隣国のサラルガン王国と


 戦争状態じゃなかったかな?よくそんなときにお暇なんてもらえたね」


ハウゼンはふっと笑い


「実はサラルガン王国の方から半年という期限付きで休戦の


 申し込みがあったのですよ、向こうの事情は知りませんが


 こちらにとっても悪い話じゃなかったのでその条件を飲み


 休戦協定を結びました、あと二か月は戦争は無いはずなので


 こんなに兵士達が配備されピリピリしているのは


 おかしいんですがねぇ・・・」


それを聞いたハワードが


「そのサラルガンという国が休戦協定をやぶったのではないのか?


 地球の歴史でも戦時協定をやぶったなんて例はいくつもあるしな」


「いえ大統領それはおそらくありません、この世界において


 協定は絶対なんです理由は・・・話すと長くなるのでまた別の機会に」


そう断言するハウゼンに鳴沢も大きくうなづく、ハワードが不思議そうに


聞いていると関所付近から10人ぐらいの兵士がこちらに


向って走ってくるのが見えた


「はぁはぁ、これは大賢者様とその御一行ですね


 話は聞いております、さあどうぞ」


息を切らせながら関所の入り口に案内する若い兵士達、すんなりと・・・


というよりなんのチェックも無しで関所のゲートを次々と通る


5000人程の列、その光景を見ている他の入国手続きをしている人々が


不思議そうな顔で関所のゲートを素通りしていく列を見つめている


「なにかズルしてるみたいで申し訳ない気持ちと


 特別扱いされている優越感が入り交じって複雑じゃの」


鳴沢が笑いながらそう話す、関所のゲートをくぐると三人の軍人と


思しき人物が微笑みながら近づいてきた、そして先頭の人物が


ハウゼンに話しかけてくる


「おかえりなさいませマクシミリアン様、いえ大賢者様 


 お疲れのところ大変申し訳ないのですが、オストフ国王が


 大至急城に来てほしいとのことです、こちらに馬車を用意して


 おりますのでよろしくお願いします、お連れ様御一行は


 こちらが責任をもっておもてなしさせていただきますので」


終始丁寧ながらも今この国がなにか切迫した状況である事を


物語るものであった


「なにかあったのですね、わかりましたすぐに向かいましょう


 ただここにいる二人も城に同行していただきたいのです


 この二人の事は私が保障しますので」


その提案に少し戸惑うもすぐに切り替えて返答する軍人


「わかりました大賢者様がそうおっしゃるのであれば


 さあ急ぎましょう国王がお待ちです」


ハウゼン、ハワード、鳴沢の三人は豪華な装飾のしてある馬車に乗り


スタネール共和国の居城ギース城に向った





ハワードと鳴沢は馬車の窓から道中の風景を眺めていた


この国の文化レベルが高いというのも理解できたがやはり街の中にも


何か緊張感の様なものを感じるていた、ギース城が見えてくると


ハワードと鳴沢は


「おお~~」

という感嘆の声をあげた、ハラル共和国の誇るジゼル城よりも


一回り大きくその黒く巨大な建築物は威厳を感じさせる


しかし近づくにつれギース城を近くで見ると所々壊れたり


古くなっている所も多く、補修箇所もその場しのぎ的な感じの


箇所がまま見受けられた


「がっかりしましたか?」


ハウゼンの指摘に図星をつかれたハワードと鳴沢は


あたふたしてしまった


「このギース城は現オストフ国王になってから大幅な補修工事は


 おこなっていないんですよ、なぜかわかりますか?」


ハワードと鳴沢は顔を見合わせて首をかしげる、そしてハウゼンが続けて


「これほどの城の補修工事となりますと莫大な費用がかかります


 そうなれば国民の負担も増える為、あえて補修工事には


 踏み切らないんですよ、それに現国王になってからギース城を


 使ったいわゆる籠城戦になった事が一度もないので


 不要と判断したのでしょうね」


ハワードが感心して聞く


「中々立派な王様なんだね、スタネール国王は・・・」


「はい名前はオストフ国王といいます覚えておいてください」


ハワードの言葉に少し嬉しそうなハウゼンであった


そしてギース城に入り三人はすぐさま広間に通された


「ジェームズ・マクシミリアン様とお連れ様二名ご到着になりました‼」


兵士の一人がそう言うとハウゼン、ハワード、鳴沢はオストフ国王と


スタネール共和国の重鎮達の前に案内された


「おおおぉぉ~~よくぞ帰って来てくれた大賢者殿


 余は嬉しく思うぞ、それとお連れの二人もようこそ我が


 スタネール共和国へ、私がここの国王をやらせていただいている


 オストフ・ヴィ・リードヴィッヒじゃよろしく」


国王のあいさつにハワードと鳴沢も頭を下げる、ハウゼンも


一緒に頭を下げた


「ジェームズ・マクシミリアンただ今戻りました


 長い間国を開けてしまい申し訳ありませんでした」


その言葉にオストフは嬉しそうに何度もうなづく


そしてその表情が一瞬険しくなって静かに話し始めた


「本来貴殿達の帰還を盛大に祝おうといいたいところなのじゃが


 そういう訳にもいかない事情ができてな、戻ってきて早々


 ここに来てもらったという訳なのじゃ」


その言葉に一度うなづくハウゼン

「国境付近や町中の様子、そして関所にいた者の態度からも


 何かがあったことは感じておりました、一体何があったのですか?」


ハウゼンの問いかけにオストフは答え辛そうな素振りを見せる


どうやらハワードと鳴沢を気にしている様子だ


「大賢者殿これは国家の重大な事でありあまり部外者には・・・」


ハウゼンにもようやくわかった、オストフは国家の重要事項を


よそ者に知られたくなかったのである、常識で考えれば当然の事だ


「国王この二人ならば問題ありません、国家の大事ならばむしろ


 この二人にも聞いてもらった方が良いでしょう


 それは私の名に懸けてもいいです」


それを聞いて少しホッとした様子のオストフが身を乗り出して話し出した


「実はな近々戦争になるかもしれないのじゃ」


驚くハワードと鳴沢、それ以上に驚いたのがハウゼンである


「なんですって、戦争ですか!?サラルガンが協定を


 やぶったのですか?いやそんなはずはない・・・


 ならば他国ですか?いやしかし・・・」


「いやサラルガンではない、他国・・・といえば他国じゃな・・・」


何やらオストフの歯切れが悪い、珍しくハウゼンが動揺している


「ではどこが我が国に戦争を仕掛けてこようとしてるんですか?

 

 ガルゾフですか?グランシアですか?それともドルフィーラですか?」


「いやわからんのじゃ」


「は?わからないとは一体どういう事なのですか?」


オストフの曖昧な返事に益々混乱するハウゼン


それを見かねたコンラートが口をはさむ


「国王様、横からでしゃばる事をお許しください


 国王に代わり私が説明させていただきますよろしいですか?」


コンラートの言葉にうなづくオストフ、それを確認して


ハウゼンの方を向き語りだすコンラート


「マクシミリアン様、事態が事態なので形式的な挨拶は


 割愛させていただきます、まず最初に説明させていただく事は


 先ほどマクシミリアン様から上がった名前の国


 ドルフィーラ公国はもうありません」


「なっ!?」


あまりの事に驚くハウゼン、しかしコンラートの話は続く


「そしてまだ未確認ではあるのですがサラルガンもおそらくは・・・」


「なんですかそれは?一体何がおこっているというのですか?


 おそらくとはどういう意味なんです?」


「順を追って説明いたしましょう、まずドルフィーラ公国が


 攻め滅ぼされたのは先々週の話です、しかもドルフィーラを


 占領したのは隣国ではなくグランシアの様な大国でもありません


 というか国ではないのです」


ハウゼンにはコンラートが何を言っているのかわからなかった


「コンラート私にもわかる様に説明してください


 ドルフィーラに何があったのですか?モンスターの襲撃で


 国が全滅したという訳ではないんでしょう?」


「ある意味それに近いかもしれません、まだモンスターなら


 まだマシなんですが・・・」


それを聞いたハウゼンが何かに気が付く


「まさか・・・」


コンラートがうなづき答える


「そうです国ではなく人に、あるギルドパーティーによって


 国が占領されたのです」


「そんな馬鹿な・・・どこのギルドパーティーですか?


 世界最強といわれている”赤い土地グランドレッド”でもそんな事は不可能なはずです」


「はい”赤い土地グランドレッド”ではありません不明なのです


 しかもその正体不明のギルドパーティーは二日前に


 サラルガンに攻め入ったという情報が入りました」


「まさかあのサラルガンが二日で・・・」


ハウゼンが信じられないといった表情で聞く


それに対し首を振るコンラート


「わからないのです、サラルガンに侵入させている工作員からの


 連絡はありませんし商人に扮装させた工作員や本当の商人に頼んで


 サラルガンに潜入し新たな情報を集めているところなのです」


ハウゼンがうなづく


「なるほど、その正体不明のギルドパーティーが次々と国を


 攻め滅ぼしていくドルフィーラ、サラルガンとくれば


 次の目標はここスタネールだと推測できますね」


「はい、そんな状態なのです、今のところドルフィーラの敗残兵からの


 情報で相手は10人程のギルドパーティーであるということしか


 わかっていないんです」


「なるほど、その敗残兵から相手のギルドパーティーの情報は


 得られなかったのですか?国を滅ぼす程の力があるのなら


 とんでもない戦士がいるとか、凄まじい数のモンスターを


 操っていたとか、超巨大な呪文を放つ魔法使いがいるとか・・・」


「それがわからないんです、いくら聞いても・・・


 ただ奴らは不思議な力を使うと言っているそうです


 一番近いのは魔法らしいのですが明らかに魔法とは違うと・・・」


ハウゼンも首をかしげる


「ふむ、わかりませんねぇ・・・あまりに情報が少なすぎますね」


そこに一人の兵士が慌てて入ってきた


「失礼します、コンラート将軍これを」


小さなメモをコンラートに渡し耳打ちする、そしてそのまま


 退場していった、そのメモを見てコンラートが首をかしげる


「なんだこれは、全く意味が分からんし何の情報にもならんな」


そのメモをクシャクシャに丸めてポケットにしまうコンラート


それを見たハウゼンが問いかける


「一体何の情報だったのですか?」


「いや例の正体不明のギルドパーティーに関する情報では


 あるのですが・・・」


広間全体に緊張が走りコンラートに注目が集まる


その視線を感じたコンラートが慌てて説明を始める


「いやいや本当に大したことじゃないんですよ


ドルフィーラを占領した奴らはその土地を


”ネバーランド”と名付けると宣言したらしいです


それだけのことです」


ハウゼンとハワード、鳴沢が真剣な顔を見合わせる


それとは対照的に国王を始めスタネールの重鎮達は


「何だそれは、国の名前か?確かに大した情報ではないのう」


「”ネバーランド”とはどういう意味じゃ?あまりセンスがあるとは


 言えんのかっかっかっか」


「もっとマシな情報は無いのか?これでは相手の事が全く


 分からないまま攻め入られるぞ‼」


弁明を聞いてもらえたコンラートが少しホッとした顔で


ハウゼンを見ると連れてきた二人と共に小声で真剣に話しこんでいる


「マクシミリアン殿どうかなされましたか?」


ハウゼンは二人との会話を終えうなづくと


「オストフ国王とコンラート将軍、内密に話したい事があります


 この後少し時間をいただけませんでしょうか?」


ハウゼンの真剣な訴えにオストフとコンラートは顔を見合わせ


「わかった、では今回の会議はここで一旦終了とする皆の者


 ご苦労であった、大賢者殿とコンラート将軍はこの後


 私の個室に来るように、以上だ解散‼」


広間での会議が終わりスタネールの重鎮達がぞろぞろと引き上げていく


ハワードと鳴沢はハウゼンに連れられオストフの部屋に入っていった


「おぉ大賢者殿来たか、ん?連れのお二人も一緒であるのか


で内密の話とは一体なにかな?」


ハウゼンが軽くため息をつき


「国王、前から頼んでいますがその大賢者殿という呼び方は


 止めてもらえませんでしょうか?」


「そうであったなスマンスマン、で話とは一体・・・」


「何から話していいのかわかりませんが・・・この話はお二人の


 心の中だけにとどめておいて欲しいというのがまず私からの


 お願いです、くれぐれも他言無用に願います」


ハウゼンの真剣な訴えにまたオストフとコンラートは顔を見合わせた


「あいわかったコンラートも異存無いな?」


「もちろんです、誰にも言わないと誓います‼」


「ありがとうございます、これから話す内容はあまりに


 突拍子もないことなのでお二人には理解しがたい事でしょうが


 全て真実なのです」


ハウゼンの前置きにオストフとコンラートは息をのむ


「実は私とこの二人は異世界の住人でありこちらの世界へは


 転送されてきたのです」


オストフとコンラートはポカンとした表情を浮かべて


ハウゼンの顔を見つめる


「マクシミリアン殿、一体何を言いだすのですか?」


コンラートの問いにハウゼンが答える


「納得できないでしょうが事実なのです、今回私と一緒に来た


 5000人弱の人々もその異世界より来たものです


 実は我々のいた異世界はある事情で消滅してしまい


 こちらの世界に避難してきたのです」


その話に困惑するオストフとコンラート


「にわかには信じられないが大・・・マクシミリアン殿が


 そういうのであれば、信じよう、それでその異世界とやらから


 こちらの世界に来たのは君たちとその5000人だけなのかね?」


オストフが困惑しながらも質問するとハウゼンは首を振る


「今ここにいるのは我々とその5000人だけですが、その異世界からは


 我々とは別にこの世界中に転送されてきているはずです


 その数は約100億人」


あまりの数に思わず立ち上がる二人


「100億だと‼世界の総人口の3倍ではないか!?


 そんなことが本当に・・・」


「はい、そして今回の謎のギルドパーティーによる侵攻は


 その異世界より来た者達がおこしているとみて


 間違いないと思われます」


「どうしてそんな事がわかるのですか?今回の件は手がかりなど


 ほとんど無いのに・・・」


コンラートの問いにハウゼンが冷静に答える


「”ネバーランド”という名前です、これは私たちの世界に伝わる


 おとぎ話の中の国なのです、そこには子供だけしかいない


 子供だけの国・・・そういう設定です


 つまりこのギルドパーティーは


 ”異世界より来た人間だけの国を作ろう”というメッセージを込めて


 ”ネバーランド”と名付けたのでしょう」


ハウゼンの話をきいて愕然とする二人、しばらく言葉を発することも


できなかったが気を取り直しオストフが口を開く


「マクシミリアン殿、その話が事実だったとしてその異世界より来た


 ギルドパーティーはどうやってドルフィーラとサラルガンを


 侵略したのかね?」


「それはわかりません・・・できればそれを確認するために


 私がサラルガン方面におもむき情報収集をしてきたい


 のですが許可をいただけませんか?」」


ハウゼンの提案に少し考えるオストフ


「マクシミリアン殿に何かあったら国の一大事なので正直


 賛成しかねるのじゃが・・・」


「私なら大丈夫です、相手の情報が無いのでは手の打ちようが


 ありませんし悠長に構えている時間も無いはずです」


そこにコンラートが口をはさむ


「確かにマクシミリアン殿ならば大丈夫と思いたいのですが


 その異世界より来た者達は異世界からの特別な技術を


 こちらに持ち込んでいるという可能性は無いのですか?


 そうでなければこの短時間でドルフィーラとサラルガンの


 両国が攻め滅ぼされるなんて考えられないのですが・・・」


そのコンラートの質問に後ろで聞いていた鳴沢が答える


「突然口をはさむ無礼をお許しください、コンラート将軍の質問ですが


 その可能性はありませんこの私が断言いたします」


その発言に驚くオストフとコンラート


「マクシミリアン殿、彼は一体何者なのですかな?」


「ここにいる鳴沢博士はこの世界のことなら全て知っている人なのです


戦う力はありませんが”知識の賢者”といった人物です」


オストフとコンラートの鳴沢を見る目が一瞬にして変わる


そして続けざまに尋ねる


「ではもう一人のお方・・・ハワード殿と申しましたかな


あの方はどういった人物なのですか?」


「彼はジェームズ・ハワード、アメリカ合衆国の大統領です


 我々のいた異世界で最も力を持っていた国のトップですね


 こちらの世界で例えるならばグランシアの国王にあたる人物に


 なります」


驚くオストフとコンラート

「なんと!?それは凄い、大国の国王でありましたか


 今までの無礼をお許しを」


深々と頭を下げるオストフとコンラート


「いえいえ、今となっては何の力も無い一人の人間ですが


 何かのお役に立てればと思っております」


「それはかたじけない、確かに謎のギルドパーティーが


 異世界から来たというならばお二人の知識は助かりますね父上‼」


「こら父上と呼ぶなと何度も・・・そんなこと言っている場合


 じゃないのぅ」


その時鳴沢がオストフに進言する


「オストフ国王、ハウゼ・・・いやマクシミリアン殿と共に


 私も情報収集の隊に加えていただきたい、事の真相を是非


 確かめてみたいのです」


オストフは少し考えて意を決めた


「ではマクシミリアン殿と鳴沢殿に情報収集を頼みます


 警護は我が国の最精鋭をつけますので」


オストフはそう告げるとコンラートがうなづく


「我が”烈風の牙”総勢で警護にあたりますのでご安心を


 必ずやマクシミリアン様と鳴沢様ををお守りしてみせます」


翌日マクシミリアンことハウゼンと鳴沢を中心にコンラート率いる


”烈風の牙”が調査隊となりサラルガンに向けて出発した


サラルガンとの国境まで半日程かかったが道中何の抵抗もなく


到着できた、サラルガンとの国境にある入国の為の関所に


来てみたものの入り口は閉ざされていて人がいる様子もない


そんな状況を見てハウゼンがコンラートに話しかける


「不気味な程静かですねぇ、ここまで近づいてもサラルガンから


 何の反応も無いところをみると本当にサラルガンは


 攻め滅ぼされている可能性が高いですね」


「はいマクシミリアン殿、これからどういたしましょう?


 この国境の壁を無理やり越えてサラルガン国内に侵入


 いたしましょうか?」


そう言い終わると同時に上空から声が聞こえた


「貴様らは一体何者だ?自分達の所属している国と身分


 そしてここに来た目的を言え‼さもなくば皆殺しにするぞ‼」


一同は声のする上空を見上げる、するとそこには15~16歳と思われる


少年が三人空中に浮いている、そしてその手には青くて大きな


水晶のような宝石を握っていた、


「なんだあいつらは!?」


「一体どこからあらわれたんだ?」



「なんで空中に浮いているんだ?魔法なのか?」


”烈風の牙”の兵達がざわつき動揺する


それを見たハウゼンが鳴沢に質問する


「鳴沢博士彼らはどうやってあらわれたと思いますか?


不可視の呪文やアイテムで姿を隠していたのなら


私が気が付かないはずがありません、転移の魔法を使ったとしか


思えないのですがここに転移してきた瞬間、詠唱も無しに


浮遊魔法を使うなんて芸当はあり得ません、アイテムによって


浮遊しているのでしょうか?しかし博士もご存じの様に


転移魔法は膨大なMPを消費しますし、浮遊アイテムも決して安くは


無いうえに使い捨てです、そんな使い方をしますかね?


それにあの青い水晶のような石はなんですか?


一体どうなっているのやら・・・」


ハウゼンに聞かれた鳴沢は下を向いて一人で考え込み


ブツブツ独り言を言っている


「いやまさかそんな可能性は・・・いやしかし現に今・・・


 でも青いし・・・」


「鳴沢博士‼」


ハウゼンの強い問いかけにハッと我に返る鳴沢


「いやスマンスマン、ちょっと考えておったのだが正直


 私にもわからないのだ・・・思い当たる節はあるのだが


 それは現実的にあり得ないのでな、それとあの青い水晶の石だが


 あれは私も知らん、紫ならば知っているのだが青いとは・・・


 それに三つも・・・訳が分からん」


そんな混乱する一同をみて空中にいる少年の一人が


しびれを切らせた様に吐き捨てる


「何をごちゃごちゃ言っている、さっさと答えないか‼」


少年はそう言って右手を天に向かって上げ叫ぶ


「サンダーー‼」


その瞬間上空から巨大な稲妻が落ちてきたのだ


ハウゼンがとっさに反応する


「グレーターシールド」


ハウゼンの防御結界が稲妻を弾くその衝撃に皆が驚く


「なんだ?」


「魔法か?でもこれは‼」


「一体何がどうなっていやがるんだチクショウ」


コンラートが慌ててハウゼンと鳴沢に質問する


「これは一体なんの攻撃ですか?魔法みたいですが相手は全く


 呪文の詠唱をしませんでしたよ‼」


「鳴沢博士これはもしや・・・」


「間違いないの奴らは”エスパー”じゃ」


聞きなれない言葉にコンラートは困惑し改めて聞き直す


「鳴沢殿、エスパーとはなんですか?魔法使いとは違うのですか?」


「うむ魔法使いの魔法とは精霊や大地の自然の力を借りて放つものだ


 だからその契約の儀式として呪文の詠唱が必要になってくる


 対してエスパーの使う力”超能力”は誰の力も借りずに


 己の力のみで放つ、だから魔法の呪文のような詠唱を必要とせず


 瞬間的に放つことができる」


それを聞いたコンラートはやや青ざめたような表情を浮かべる


「なんだよそれ・・・そんなの無敵じゃねーか・・・」


その時コンラートの横で話を聞いていた”烈風の牙”の隊員が


話に割り込んでくる


「突然話に割り込む無礼をお許しください、私は以前に戦場で


 エスパーと一緒に戦ったことがありますがそいつは常に


 ゼェゼェ息を切らせながら回復のポーションを


 ガブガブ飲んでいたんですが・・・」


その話を聞いて鳴沢がうなづく


「そうエスパーには大きなデメリットがある、魔法の様な


 呪文の詠唱を必要としない代わりに超能力を使用する度


 とてつもなくMPを消費してしまうというデメリットがな


 しかもMPが切れたら超能力の代償として己の体力HPから


 奪っていくのだ、だから瞬間的な一発勝負には強いものの


 少しでも長引けば自滅してしまう為、あまり実用的じゃない


 と思われていて職種として人気が無い、それがこの世界の


 エスパーなのじゃよ」


コンラートは納得した顔で聞いていたがハウゼンはまだ


納得できない様子である


「鳴沢博士、奴らがエスパーならあれ程の超能力を使えば


 すでにガス欠になるはず、そもそも転移からの雷撃なんて


 エスパーに可能なのでしょうか!?」


「それなんじゃわからないところは・・・たぶんあの青い水晶の石が


 関係していると思うのだが・・・」


一撃目の雷撃を防がれた少年は再び手を天に向かってかかげ叫ぶ


今回は他の二人もそれに続く


「サンダーー‼」


「ファイヤーー‼!」


「ハリケーーン‼」


今回は巨大な雷撃に加え巨大な爆炎と強力な竜巻が同時に襲ってきた


「グレーターシールド‼」


ハウゼンが再び防御結界を張る、物凄い爆音と衝撃、そして雷撃、爆炎、


竜巻の同時攻撃により上空の三人からは地上にいる一同は全く


確認できなかったが、すでに勝利を確信している様子であった


「ふう手こずらせやがって」


「こいつら何だったのかな?結局わからず終いだったけど」


「まあいいんじゃね?どのみちこの世界の奴らは


 ぶっ殺しても問題ないし」


攻撃が収束していき徐々に視界が開けてくるとそこには


誰一人欠けることなく無傷の一同があらわれた、


「なっ‼そんな馬鹿な」


「なんでこいつら生きてるの?てゆうか無傷ってあり得なくね?」


「ちょ、なんなんだよお前ら!?素直に死んどけよな」


上空の三人の少年の顔から余裕がなくなった


そしてハウゼンが上空を見上げて


「あなた達三人がどういった経緯でそんなことをしているのかは


 存じませんがこれ以上の狼藉を許すわけにもいきません


 補導してしっかりと教育しなければいけないようですね」


ハウゼンはそう言い放つと冷たい目線でギロリとにらんだ


それを聞いた三人の少年は


「おいちょっとヤバくね?」


「今回はさっさとずらかるか」


「ああそうだな一旦退いてから改めて・・・」


その様子を見たハウゼンは呪文の詠唱に入る


「地の精霊偉大なるボルガノよ大地の恵みとその温かな慈愛をもって


 我に高貴なる力を与えんガルフミスト・ベ・ギラリア‼」


その瞬間大地から無数の木やつたが発生し上空の三人に


襲い掛かる


「やべ、すぐ転移で・・・」


「いやさっき巨大攻撃やったばかりだから転移はまだ無理」


「じゃあ高速飛行で逃げるぞハイフラ、もごっ」


大地から伸びた植物は上空の三人に次々巻き付く


そして真っ先に少年たちの口をふさいだ


「いくら超能力が瞬間発動できると言ってもその力にかかわる


 キーワードを言わない限り発動しませんからね・・・


 さてあなた達にはどういった経緯なのかじっくり聞かせて


 もらいましょうかね」


木やつたでさるぐつわとぐるぐる巻きに拘束された三人の少年達は


地上に下ろされハウゼン達の目の前に連れ出された


先ほどの余裕は一切なくなりその目には怯えすら感じていた


「やれやれしょうがないなぁ」


上空から再び声が聞こえ一同が一斉に上空を見上げる


そこには20歳程の青年が浮かんでいてその左手には


紫色の水晶が握られていた


「エアーカッター‼」


その少年が叫ぶと空気の刃が三人の少年の束縛を切り裂いた


三人は慌てて空中に逃げ上空の少年と合流する


「ありがとうございます助かりました」


「助けに来てくれたんですね感謝します」


「リーダーが来てくれたのなら百人力だぜ、お前ら覚悟しろよ‼」


見上げている一同に緊張が走る、リーダーと呼ばれた青年を


ハウゼンがジッと見つめる、そんな目線を感じたのかリーダーの青年が


口を開く


「さすがは”スタネールの大賢者”ですねお見事でした


 その魔法能力だけでなく心理誘導や駆け引きも称賛に値しますよ」


三人の少年が驚いてリーダーを見つめる


「あいつがスタネールの大賢者か」


「なるほど強い訳だな」


「でも心理誘導や駆け引きってどういうことですか?」


その発言にリーダーの青年はため息をついてから話し始める


「お前らなぁ、さっきやられたことを思い出してみろ


 あの大賢者に脅され睨まれてビビったろ


 そして逃げ腰になった・・・違うか?」


「うっ、その通りです・・・すいません」


「お前らそこでもう奴の術中にはまってるんだよ


 考えてもみろ、相手はいくら凄いとはいえ魔法使いなんだぞ‼


 つまりあちらが呪文の詠唱を始めてからでもこちらの超能力の方が


 先に発動するんだよ、それに呪文の詠唱中は防御結界を張れない


 だからこそ奴は駆け引きでお前らをビビらせ攻撃の意思を


 無くさせてから魔法を発動させたんだよ」


それを聞かされた三人の少年は唖然とすると共に


感情をむき出しにしてきた


「そういうことだったのか、ちくしょう‼」


「俺達をコケにしやがってボコボコにしてやるからな」


「リーダーがいてくれるなら負けるはずがない、やっちまいましょう‼」


その言葉を聞きスタネールの一同は身構える、ハウゼンだけは


冷静な態度を崩さずリーダーの青年をジッと見つめている


そんなハウゼンの態度とは裏腹にリーダーの青年はふっと笑いながら


「お前らそろそろ時間だろ、さっさと撤収しろ


 ケツは俺が持ってやるからよ」


そいわれた三人の青年はハッと気づいた素振りを見せ


「そうだった、あぶねぇあぶねぇ」


「ありがとうございます、早速撤収いたします」


「じゃあお先に失礼しますリーダー」


そのやり取りを聞いたハウゼンがあるキーワードに引っかかった


『時間とは?一体・・・』


「テレポーテーション‼」


三人はそう叫ぶと転移の超能力で逃げ去った


「さて今回は僕も撤退しますか、スタネールのみなさん


 また会いましょう、そして大賢者様、次回は僕がお相手させて


 いただきますよ、それでは」


リーダーの青年が転移により撤収しようとしたその瞬間


スタネールの一同の中から大声で叫ぶ声がした


「ちょっと待った‼もう少しだけ話をさせてくれ‼」


声の持ち主は鳴沢であった、兵士に守られていた為


後方に下がっていたが兵士の間をかき分け、前面に出てきたのである


そして興奮気味の様子で上空の青年に話しかけた


「君が、君の持っているのがオリジナルだな‼さっきの時間という言葉で


 ようやく謎が解けた、君の正体は”ティンカーベル”だな?」


鳴沢の問いかけにニヤリと笑う青年


「どこかで見覚えのあるジジイだと思ったらもしかしてあんた


 鳴沢英治か?確かWFワールドファンタジアを運営してる


 MDDHの社長兼開発責任者だよね雑誌で見たことあるよ


 しかし僕のハンドルネームよく知ってたな?」


「この世界でそのアイテムを持っているのは君だけだからな


 ”ティカーベル”君」


「へぇ~そうなんだ本当にこれ超絶レアアイテムなんだな?」


ティンカーベルと呼ばれたその青年は左手に持っている紫色の水晶を


マジマジと見つめペロリと舐めた、そのやり取りを聞いていた


ハウゼンが鳴沢に問いかける


「鳴沢博士、彼の持っているあのアイテムは何ですか?


 そして謎というのは一体どういう事なんですか?教えてください」


ティンカーベルはニヤニヤ笑いながら鳴沢に話しかける


「いいよ、そちらの大賢者様に教えてあげなよ、説明してる間は


 僕も待っててあげるからさ、その謎解きがちゃんと合ってるかどうか


 答え合わせといこうか」


ハウゼンを始めスタネールの兵士一同も息を飲んで


鳴沢の説明を待っている


「あのアイテムは”哲学者の結晶”だ」


「ピンポーンまずは正解、まあここは合ってて当然だよね


 そうこれは超絶レアアイテム”哲学者の結晶”


 またの名を”賢者の石”といいます」


一同がざわつく”賢者の石”それは幻のアイテムとして語り継がれている


伝説の代物、誰もが名前ぐらいは聞いたことがあるにも関わらず


その効果は全くの謎なのである、よって伝説だけ一人歩きして


”世界を滅ぼす”とか”死んだ人を全て生き返らせる”とか


おかしな憶測まで飛び交うほどなのだ、ハウゼンがすかさず切り出す


「あれが”賢者の石”ですか、さすがに私も初めて見ました


 鳴沢博士あの”哲学者の結晶”こと”賢者の石”のデータを


 提供してください、特に長年にわたり謎であったその効果を!?」


「あの石の本当の効果は”威力向上”、使用した魔法や超能力の


 威力の底上げと”魔力回復”使用者の魔力(MP)を永遠に


 回復し続けるという代物だ」


さすがのハウゼンも驚きを隠せない


「なんという効果・・・なるほどエスパーと賢者の石


 全く持って最強かつ最悪の組み合わせですねぇ


 しかしお二人の会話を聞いていると”賢者の石”は


 超絶レアアイテムのはずなのになぜ最初の三人も


 持っていたのですか?」


鳴沢とハウゼンのやり取りをティンカーベルは面白くてしょうがないと


いった感じの態度で聞いていたのだがこらえきれなくなったのか


「さぁなぜでしょうね?答えをどうぞ鳴沢ハ・カ・セ


 ファイナルアンサー‼」


「”空蝉人形”を使ったのだろう」


鳴沢が苦々しく答える、そしてティンカーベルが大喜びで


「正解‼さすがですね~鳴沢博士、そう”空蝉人形”で~す」


「なるほど”空蝉人形”ですか・・・ようやく私にも


 謎が解けましたよ鳴沢博士」


鳴沢の説明に納得するハウゼンだが未だ訳がわからない


コンラートはハウゼンに質問する


「あのマクシミリアン殿”空蝉人形”というのはなんですか?」


コンラートの問いにハウゼンは丁寧に答える


「”空蝉人形”というのはレアアイテムの一つで武器でもアイテムでも


 他の物でも形状のあるものなら何でもコピーしその物と全く同じ物に


 成りきってしまうというアイテムです」


一同がざわつく、コンラートが慌てて問い詰める


「なんですかそれは!?じゃあどんな希少価値の高い武器や


 アイテムでもそれを使えば簡単に複製できるんですか?」


「理論上はその通りです、しかしながら当然の事ですがデメリットも


 存在します、この”空蝉人形”は使用してから10分経過すると


 消滅してしまうという使い切りのアイテムなんですよ」


「なるほど、だから時間がどうのって言ってたんだな


”空蝉人形”か・・・確かに凄まじい効果だけど


10分しかもたないなら使いどころは悩むよなぁ


ならばあいつが持ってるのが本物で最初の三人の持ってたのは


複製ってことか?」


コンラートの問いに鳴沢がうなづく


「そのとおりじゃ、”空蝉人形”はその特性上、すり替えて盗む


 などの悪さに使われる可能性もある為、オリジナルとは


 色が変わるという性質をもっておる、だから最初の三人の


 複製品は青かったのじゃ」


上空でティイカーベルがわざと大きな仕草で拍手をしている


「大正解、”空蝉人形”はレアアイテムだけどそこまで


 稀少ってことはないし、所有者も使いどころに迷うアイテムだからね


 お金や別アイテムや武器と交換してくれって頼んだら


 みんな簡単に換えてくれるんだよ、そうやって大量の”空蝉人形”を


 集めてね最強のエスパー軍団を作ったのさ、凄いでしょ‼」


足をバタつかせケラケラ笑うティンカーベル


それを見つめていたハウゼンが問いかける

なぜこんな事を始めたんですか?あなたのやっていることは


国を民草ごと虐殺しているだけですよ」


あれほどおどけていたティンカーベルが笑うのをピタリと止め


急に真顔で語り始めた


「何言ってるんだよ、こちらの世界に来て我々地球人が


 どれだけ殺されていると思ってるんだ


 元々この世界は弱肉強食じゃねーか


 だったら僕達がこの世界を力で制服して何が悪い


 これはもうこちらの世界の人間と我ら地球人との戦争なんだよ‼」


ティカーベルは語気を強めて言い放つ、コンラートを除く


スタネールの兵士達はティンカーベルが何を言っているのか


理解できない様子だ、思いの丈を吐き出したティンカーベルは


大きく息を吸い今度は静かに語りだした


「今日のところはこれで帰るよ、また近い内にスタネールに


 侵攻するから、その時は決着つけようね、スタネールの大賢者様と


 鳴沢博士、それと僕の名前はアルベルト・ハルス、オランダ人だよ


 じゃあね、テレポーテーション‼」


そう言い残しティンカーベルことアルベルト・ハルスは上空から消えた。



お久しぶりです、本当に久々の投稿となってしまいました 書きたい話はまだ山ほどあるのですが・・・申し訳ありません、また懲りずにおつきあいください。

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