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ネバーランド 作戦と約束と編

登場人物

リチャード・ハウゼン(ジェームズ・マクシミリアン)…世界の魔法使いのトップ、三賢者の一人でスタネールの大賢者とよばれている

鳴沢英治…脳科学の権威でワールドファンタジアのデータはほとんど頭に入っている

オストフ・ヴィ・リードヴィッヒ…スタネール共和国王、部下や国民からの信頼も厚い

コンラート・ヴィ・リードヴィッヒ…オストフ国王の息子で次期国王、精鋭騎士団”烈風の牙”のリーダー

アルベルト・ハルス…エスパーによるギルドチーム”ネバーランド”のリーダー、超レアアイテム”賢者の石”の所有者、ハンドルネームは”ティンカーベル”

ミケーレ…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで16歳、ボブ、ケビンと仲が良く三馬鹿トリオと呼ばれる事もある、自分ではチームの兄貴だと思っていて面倒見のいいところもある

ボブ…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで15歳、ケビン、ミケーレと仲が良く三馬鹿トリオと呼ばれる事もある、チームの中で一番短気

ケビン…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで15歳、ボブ、ミケーレと仲が良く三馬鹿トリオと呼ばれる事もある、ちゃらい見た目とは裏腹に意外と小心者エレーナの事が少し気になる

エレーナ…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで15歳、プラチナブロンドのロングヘアーで中々の美人だが口は悪い、弟のオスカーの面倒をよくみている。

オスカー…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで14歳、引っ込み思案で人見知り、いつも姉の背中に隠れていてメンバーの中でも姉のエレーナとミラーとしか話せない

ビル…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで13歳、サッカー好きな優しい少年、トーマスとは元々友達で同じサッカーチームだったこともありいつも二人でサッカーの話をしている

トーマス…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで13歳、サッカー好きな明るい少年、ビルとは元々友達で同じサッカーチームだったこともありいつも二人でサッカーの話をしている

スミス…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで14歳、リーダーのハルスを崇拝していて少しでもハルスの邪魔をしたり悪口を言った奴は許さない。

ミラー…ギルドチーム”ネバーランド”のメンバーで最年少の12歳、明るく社交的で非常に頭がいい、他のメンバーに比べて物事を達観視するところがある。




ハウゼン率いる調査団がギース城に帰還した頃には夕方になっていた


居城について早々ハウゼン、鳴沢、コンラートはオストフの待つ


玉座の間に向う、中でもコンラートの表情が暗い


「しかし父上にはなんと報告していいのやら・・・」


「大丈夫ですよ、国王には私から説明しましょう」


「そうですか、ありがとうございます、私ではうまく説明する


 自信がないものですから・・・申し訳ありません助かります」


そんなコンラートの肩に軽く手を乗せ微笑むハウゼンであった


玉座の間ではオストフ国王の他にも重鎮達も勢ぞろいしていた


「皆の者ご苦労であった、早速で悪いが調査でなにか


 判明したのであれば報告をして欲しいのじゃが」


オストフが待ちきれないとばかりに聞いてくる


それに対してハウゼンが今回の事を丁寧かつ詳細に説明すると


それを聞いていた重鎮達がざわつきはじめる


「”賢者の石”だと‼」


「エスパー軍団の超能力攻撃?なんじゃそれは?」


「そんなものどうやって防ぐんだ?我々もドルフィーラや


 サラルガンの二の舞になるのでは?」


「話し合いとかで解決する方法はないのか?


 そんな奴らと戦っても・・・」


しばらくの間、重鎮達の様々な発言を目を閉じ黙って聞いていた


オストフだったが意を決して口を開く


「皆の者静粛に‼今の報告を聞いている限り相手側とは話し合いによる


 講和路線は無理のようじゃ、ここは腹を決めて戦おうではないか‼」


国王の決定に異議を唱える者はいなかったが、オストフの横に立っている


長老風の男がオストフに問いかける


「国王、徹底抗戦という路線に反対はありません、しかし勝てますかな?


ドルフィーラやサラルガンは一方的にやられた模様ですが・・・」


他の重鎮達も大きくうなづく、オストフは大きく目を見開いて発言する


「ドルフィーラやサラルガンは相手の事が何もわからない内に


 急襲されて敗れたのだ、今回の我々は相手の情報があるのと同時に


 近日中にここに攻めてくるという事がわかっている


 それに我々には”スタネールの大賢者”と”烈風の牙”がいるのじゃ


 絶対に負けはせん‼」


オストフの発言に重鎮達もやや納得ムードになりかけたが


再び長老風の男がハウゼンの方を見て口を開く


「マクシミリアン殿、オストフ国王はこうおっしゃっているが


 貴殿はどう思うのじゃ?忌憚きたんない意見を


 聞かせてくれないか?」


ハウゼンは発言を一旦躊躇ちゅうちょした


その際オストフと目が合い


「マクシミリアン殿、此度こたびは国の一大事じゃ


 私に遠慮はいらない貴公が思った通りの事をのべるがよい」


その言葉に大きくうなづくハウゼン


「わかりました、では私の考えを伸べさせていただきます


 国王のおっしゃる通り今回敵と遭遇できたことにより


 相手の情報を得ることができたのは非常に大きく


 同時に相手に対する策もいくつか思いついてはあります」


その言葉に一同からは”おおぉぉ~”という声が上がり一気に


雰囲気が良くなったが、さらにハウゼンが話を続ける


「しかしいくら情報を得たといっても強敵である事には違いないです


 正直この相手に勝利するなら正攻法で戦っても勝算は皆無です


 ある程度賭けに出るしかないというのが私の考えです


 それでもよろしければ私の考えた作戦を発表したいと思いますが


 どうでしょう?」


城内の空気がまた厳しいムードに変わる


その空気を読んでかオストフがハウゼンに尋ねる


「それでマクシミリアン殿の作戦を用いたとして


 勝算はどの程度とお考えかな?」


その質問に目を閉じ顔をふせてしばらく考え込んだハウゼンだが


「正直30~40%といったところでしょうか・・・」


ハウゼンの回答にまた場内がざわつく


オストフも目を閉じて静かにつぶやく


「半分以下か・・・しかし・・・」


そんな消沈ムードに我慢できないといった感じで


コンラートが口をはさむ


「やりましょう‼どのみちあの相手とは講和とか共存とかの


 選択肢はないのです、戦には機というものが有ります


 このタイミングでマクシミリアン様が帰ってきて調査の際に


 相手の首魁しゅかいとも遭遇でき情報も得ることができたのです


 これはどう考えても流れはこちらにあるではないですか、勝てますよ‼」


コンラートのその言葉にオルトフは大きくうなづく


「そうじゃなコンラートの言う通りじゃ、皆の者この敵とは


 徹底抗戦という方針は決定じゃ‼今後これに関する異論は許さん


 マクシミリアン殿、戦うという前提で貴殿の立てた作戦というのを


 聞かせてもらえぬか?」


「わかりました私の考えた作戦を発表させていただきます


 ですがその前に情報の分析と整理をおこないたいと思います


 先ほど話しました”賢者の石”の能力は皆さん理解したと思いますが


 その正確なデータとそこから導き出される敵の戦力の分析を


 おこないます、今回戦ってわかった事は”賢者の石”は魔力を


 無限に回復してくれますが消費した魔力(MP)を瞬時に


 回復してくれるわけではないということです、それは先ほど


 話しましたが最初に遭遇した三人組が超能力による強力な攻撃を


 放った直後に転移をしようとした者がいたのですが


 ”まだ転移は使えない”というセリフを言っておりました


 そうですね鳴沢博士」


大きくうなづき鳴沢が説明を始める


「”哲学者の結晶”こと”賢者の石”について説明します


 先ほどの話のとおり魔力の回復は瞬時にはできませ


 魔力をMP値で表した場合1秒間に1ポイントづつ回復します


 そしてエスパーですが彼らの使用する超能力は魔法使いの


 魔法と比べて3.5倍もの魔力(MP)を消費します


 彼らの使用した”ファイヤー”と”テレポーテーション”を


 魔法に置き換えると爆炎魔法の消費MPが20なので×3.5倍で70


 転移魔法の消費魔力が30なので×3.5倍で115となるわけです」


鳴沢の話を聞いていたコンラートが首をかしげる


「あの鳴沢殿、その計算は何の役に立つのですか?


 俺にはさっぱりですが・・・」


「もう少し聞いてくれんかの、ここからが重要なのじゃ


 最初の3人は超能力での攻撃をした後に転移が使えなかった・・・


 要するにこの3人は70を消費すると即座には115を使えない


 つまり自分の総魔力の貯蔵値が185未満ということがわかる」


コンラートを始め重鎮達が思わず”あっ”とさけぶ


かまわず鳴沢が話を続ける


「例えば彼らが”ファイヤー”のような超能力の攻撃を連続で


 2発放った場合、消費魔力は70×2回で140なので魔力貯蔵値が


 最大180と考えても最低でも30秒間は”ファイヤー”クラスの攻撃は


 飛んでこないという事じゃ早い話が


 敵のリキャストタイムのデータじゃな」


聞いていた一同に明るい雰囲気がでてくる、続けてハウゼンが


話し始める


「こういったことを踏まえて作戦を説明します、基本的な戦略は


 このギース城に籠城し序盤はとにかく耐えて相手の”空蝉人形”の


 消耗狙いです、そして敵の部下の数を徐々に削っていき


 相手のリーダー”アルベルト・ハルス”を孤立させるのが狙いです」


コンラートを含む重鎮達も真剣な面持ちでハウゼンの作戦に聞き入る


そんなとき不意にオストフが


「マクシミリアン殿ちょっといいかな?序盤このギース城に籠城して


 敵の消耗を狙うという作戦は理解したが、それは普通の正攻法では


 ないのかね?それにドルフィーラやサラルガンの居城に比べ


 このギース城は強固とはいえ老朽化も進んでいる


 この城で本当に耐えられるのかね?」


その質問を予想してかのようにハウゼンは横に控えていた兵士に


目配せで合図をする、その兵士はハウゼンの前に直径1m、高さ1.2m程の


円柱状の台を運んでくる


「国王の懸念けねんは当然です、まずはこちらをご覧ください」


その円柱状の台の上にギース城とその周辺の立体映像が浮かび上がる


「今回の戦いで敵が仕掛けてくる作戦はおそらく超能力を使った


 上空からの攻撃だと思われます」


その説明に再び一同がざわつく


「上空からの攻撃だと?それではこちらには打つ手がないではないか‼」


「確かに、そんな事をされたらこちらは指をくわえて


 見ている事しか・・・」


「それでドルフィーラやサラルガンは簡単にやられたのか」


「敵が空にいるのでは我が国自慢の重装騎士団”烈風の牙”の


 力が発揮できませませんしな」


悲観的な意見が次々と飛び交いコンラートがたまらず


ハウゼンに問いかける


「マクシミリアン殿はどうお考えですか?このギース城ならば


 奴らの攻撃にも耐えられるということなんですね?」


すがる様な目でコンラートが聞くがハウゼンは静かに首を振る


「いえ、まともに攻撃を受けたらこのギース城とて


長くは持たないでしょう、ですからまともに攻撃されないように


敵をかく乱します」


「敵をかく乱?上空にいる敵に対してそんな事ができるのですか?」


「はいその内容はまた後で説明するとして、あれからドルフィーラの


敗残兵に再尋問をおこない、敵の数は10人で間違いないと


確認できています、連中がドルフィーラを攻略してから


それほど時もたっていないですし敵の全容は10人のエスパーによる


ギルドパーティーと仮定します、そして今現在、連中はドルフィーラと


サラルガンを占領下においています、そこに最低一人づつメンバーを


常駐させると推測した場合、我がスタネールに侵攻してくのは


最大8人と推測できます」


「確かに、せっかく占領した国を空にはできないわな」


「敵の数が8人と仮定した上で敵の布陣の予想も立ててみました」


立体映像で現されたギース城上空の東西南北に各2個づつ計8個の


光る点が映し出される、青く光る点が7つに紫色に光る点が一つである


重鎮一同から”おぉ~”という感嘆の声が上がる中オストフが口を開く


「マクシミリアン殿、この敵の布陣を予想した根拠はなんですかな?


 通常の攻城戦ならば戦力を四方に分散するなんて作戦は


 愚策だと思われるが・・・」


「国王の疑問はもっともですがこれは通常の攻城戦とは違います


 敵が戦力を集中し一方向から攻撃を仕掛けてくれるなら


 私の魔法防御シールドで十分に対応できます、今日敵エスパー三人に


 よる同時攻撃を防御シールドで受けましたがあれが8人同時


 だったとしても全く問題ありません、相手もそれがわかっていますから


 四方からの攻撃を予想したのです、このギース城は巨大である為


 私の防御結界を全体に張り続けると魔力の消費が激しく


 短時間しか持続できません、よって敵の攻撃に合わせてその都度


 魔法による防御シールドを展開することになります


 しかし敵もそれは予想の範疇はんちゅうでしょうからギース城を


 中心に東西南北の四方に展開し私のいる方向では私をけん制し


 その場に釘付けにして、私のいない死角になる方向から


 攻撃するという作戦でくると予想されます」


それを聞いたコンラートが焦って問いただす


「ではどうなさるのですか?敵に無防備な方向を一方的に


 攻められてしまうではないですか‼」


「そうさせないために敵の攻撃を私のいる防御の固い箇所に誘導します」


「そんな事ができるのですか?一体どうやって・・・」


コンラートの質問にニヤリと笑うハウゼン


「それは私の”弟子”に頑張ってもらいましょう」


「弟子?マクシミリアン殿にそんな人いましたっけ?」


コンラートは益々混乱する、オストフを始め重鎮達も


怪訝けげんそうな表情を浮かべている、そんな一同をよそに


ハウゼンが話を続ける


「国王にお願いがございまするこのギース城の一番高い所に


 ”投石機”を設置していただけませんか?」


それを聞いて驚くオストフと一同


「投石器とは攻城戦などで使うあの投石機か?


 そんな物なにに使うのじゃ?まあ確かに相手は上空にいるのだから


 弓などでは届かない所でも投石機を使えば届くかもしれないが・・・


 そもそもそんな攻撃が当たるかの?あれは元来目標の城のどこか


 に当たれば良いという類の物だから命中率は期待できないのじゃぞ?」


「かまいません、それともう一つ大至急作って欲しいものがあります


 ここにその内容を記述した紙がありますのでよろしくお願いします


 それと国王の名で書状を出して欲しいのですが頼めますか?」


「それはかまわんが一体どこに出すのじゃ?」


ハウゼンの言った名前を聞いてオストフだけでなく


その場にいる全員が驚いた


「いやそれは・・・どうなんじゃ・・・本当にいいのか?」


「はい至急お願いします、私の予想では2~3日中には


 彼らはここに来ると思われますから」


「そんなに早く来るのか!?」


「はい相手はたった8人ですから遠征の準備など必要ありませんし


 超能力で転移してきますから、あと最後にこの国の秘宝の一つ


 ”奇跡の言霊”をお借りしたいのですが」


「な!?なんで”奇跡の言霊”の事を知っているのじゃ?


 話した事は無いはずじゃが・・・まあよいあれを戦いに


 どう利用するのか想像もつかんが・・・あんな物でよければ


 好きに使ってくだされ」


「ありがとうございます、それでは私が立てた作戦の全容を説明します」


ハウゼンはギース城の立体映像を使いながら細かな点も含め


丁寧に作戦を説明する、皆真剣な表情でハウゼンの作戦に耳を傾け


時折質問も入れながら聞いていたのだが、全ての内容を聞いた一同は


しばらく言葉を発する事さえできなかった


「作戦内容はわかりました、凄く大胆な・・・これは確かに


 博打ですね・・・うまくいくでしょうか?」


「それはわかりません、コンラート将軍のおしゃる通り


 これは賭けです、しかし私はこれ以上の作戦を思いつきませんでした


 今ならまだ止める事もできますが」


オストフが”ふ~”と大きく意を吐き、意を決して立ち上がる


「いやこの作戦でいこう‼各自戦いの準備を急げ、とにかく時間がない


 我がスタネール共和国の存亡がかかったこの戦、必ず勝つぞ‼


 皆の力を貸してくれ‼」


皆の士気が一気に上がり各自それぞれの役目を果たす為


急いで持ち場に散る決戦の日に向って。






エスパー集団のリーダーであるアルベルト・ハルスは


スタネール共和国攻略の作戦を説明するため


”旧ドルフィーラ公国の居城ノルレ城の広間に来い”と


ギルドメンバーに集合の伝令を出していた、このエスパー軍団は


リーダーのハルス以外全て10代の少年で構成されており


皆この世界に来てから親兄弟を無くした戦争孤児という共通点がある


というよりハルスがそう言った人間を集めて作ったギルドなのだ


「しかしこの城の広間もボロボロだな、サラルガンの方が


 良かったんじゃね?」


このノルレ城はギルドメンバーにより最初に攻撃された城であり


今いる広間ですら無数の瓦礫が散らばっている状態だ


「何言ってるんだボブ、あっちの城は使える部屋が残らない程


 破壊したじゃねーか、まあこの城もこの部屋だけかろうじて


 使えるってレベルだけどな」


「そういう意味では今度のギース城は壊し甲斐がありそうだけどな」


この三人はサラルガン国境付近でハウゼンと戦ったメンバーである


ハルスを除いてはメンバーの中でも年長者であり他のメンバーの


兄貴的な存在となっている、ミケーレ、ボブ、ケビンの三人組は


一緒に行動することが多い


「まだ俺達しか来てないのか・・・」


ミケーレがそう言った時入り口方向から声がした


「あれ?私たちが一番乗りだと思ったのに早かったのね三馬鹿トリオ」


声の主はメンバー唯一の女子、エレーナとその後ろに隠れながら


様子をうかがっている弟のオスカーだ


「あ!?誰が三馬鹿だ、いい加減にしないとひん剥くぞエレーナ‼


 それにオスカーは相変わらず姉ちゃんベッタリか


 男ならもっとビッとできねえのか?」


「ちょっとミケーレ、ウチの弟にケチつけないでよ‼


 それにアンタたち今日失敗してリーダーに助けてもらった


 らしいじゃない」


目を細めてニヤ~と笑うエレーナ、そのいたずらっぽい表情は


まだ少女のそれだが綺麗なプラチナブロンドのロングヘアーに


大きな目、端正な顔立ちは年齢以上の大人っぽさを感じさせる


対して弟のオスカーは痩せていて背も低く引っ込み思案の性格から


話せるのはメンバーでも姉のエレーナともう一人しかいない


「エレーナ、お前それをどこで聞いた?あれはだな・・・


 その・・・色々あるんだよ」


「ふ~んその色々ってのを詳しく聞きたいわねケビン・・・


 あっ他の子達も来たよ」


入ってきたのはビル、トーマス、スミス、ミラーの四人だ 


ビルとトーマスは元々友達だったので非常に仲が良い


同じサッカーチームに入っていたらしくいつも二人で


サッカーの話をしている、スミスはこのメンバーの中でも14歳と若い方


なのだが背が大きく睨むと中々の迫力がある、リーダーのハルスを


崇拝していてスミスの前でハルスの悪口でも言おうものなら


大変な事になるのである、最後はメンバー最年少12歳のミラーだ


明るく社交的でとても12歳とは思えないほど賢い


人見知りのオスカーが唯一仲良く話せるのもこのミラーだけだ


「みんな早いね、俺達が最後なの?」


そんなトーマスの問いにボブとミケーレが答える


「そんなことねーぜトーマス、まだリーダーが来てないよ」


「あの人が集合かけたのにな、ははは・・・


 おっとスミス、そんな目でにらむなよ、怖え~んだよお前の顔は」


「あなた達三人は今日リーダーに助けられたって聞きましたよ


 なのに何ですかそのセリフは?場合によっては許しませんよ‼」


スミスの言葉にミケーレが慌てて弁明する


「冗談だよ冗談、そんなに怒るなよな、それにしてもなんで


 今日の事をみんな知ってるんだ?誰がバラしやがったんだ全く」


「僕だが何か問題でも?」


その声にみんな驚いて振り向く、いつの間にかリーダーのハルスが


そこに立っていたのだ、そんなハルスの姿を見て慌てる


ミケーレ、ボブ、ケビンの三人組


「あっ、いえ何の問題もありません、そりゃあもうへへへ


 今日はありがとうございました」


そんな三人組を見て笑いをこらえきれないエレーナ


オスカーはさらに姉の背中に隠れてハルスと目を合わせたがらない


リーダーが来たのにサッカーの話をしているトーマスとビル


そんな二人をにらみつけた後深々と頭を下げるスミス


「お待ちしてましたリーダー、本日はお疲れ様でした」


「うん、みんな時間通りだね結構結構それじゃあ作戦会議始めようか


トーマスとビルおしゃべりはその辺で止めような」


「すいませんで~す」


「もうしませ~ん」


ニコニコしながら答えるトーマスとビル、本気なのかふざけているのか


わからない二人の返事に”ヤレヤレ”と笑いながら首を振るハルス


それとは対照的にもう我慢できなといった様子でスミスが立ち上がり


二人に説教を始めようとした、それに気づいたハルスが


「スミスもういいよ、二人とも悪気はないんだから」


「でもリーダーこいつらの態度はあまりにも・・・」


「僕がいいと言ってるんだ」


ハルスは急に真顔になり真剣な口調でスミスに釘をさす


その瞬間メンバー全員に緊張感が走る


「すいません」


スミスが慌てて謝罪し深々と頭を下げる、それを見たハルスは


またにこやかにほほ笑む


「いいよスミス、君は僕の為に怒ってくれたんだからねありがとう


 でもさ僕たちは仲間であり友達であり兄弟だと思っているんだよ


 だからギスギスするのはなるべく避けたいんだ、わかるだろ?」


その言葉にスミスは感動してうっすら涙すら浮かべている


他メンバーも少し嬉しそうな表情をしている


そんな中で唯一違う反応をしている者がいた


メンバー最年少のミラーである


「全くうまいねぇいつも」


薄ら笑いに似た表情を浮かべ誰にも聞こえない声でそう言い放つ


それに気づいたハルスが


「ん?ミラー何か言ったかい?」


「いえ何も言ってないですよ、話を続けてください」


「そうかい、じゃあ改めて作戦会議を始めるよ


 作戦決行日は明後日の明朝、みんなもわかっていると思うけど


 今回の攻撃対象はスタネール共和国の居城ギース城だ


 ここノルレ城やサラルガンのバランシェイド城より大きいから


 気を引き締めて臨んでくれ、それじゃあ作戦内容を


 説明したいんだけど・・・」


「あの質問いいですか?」


ハラスの話を遮るような感じでミケーレが手を挙げる


そんなミケーレをスミスがキッと睨みつける


ハルスはスミスの態度に気が付いたが今回は何も言わずに


ミケーレに答えることにした


「何だいミケーレ、何が聞きたいんだい?」


「あの~今までドルフィーラやサラルガンを攻めた時は夜でしたよね?


 何で今回は朝なんですか?」


ハルスはその質問にはすぐには答えず全員を見渡す


スミスとミラー以外のメンバーはどうやら同じ疑問を感じている


様子であった


「じゃあなぜ今まで夜に攻撃をしていたと思う?」


ミケーレは質問に質問で返されるとは思ってなかったようで


慌てて考える、10秒ほど考えた後


「え~と、それはやっぱ夜だと暗いからこっちの姿が見えないから


 じゃないすかね?」


「うんそうだ大まかには合っている、ミケーレの質問に質問で


 返したのはみんなに自分でも考えて欲しかったからなんだ


 作戦にしてもただ言われた通りやっているのと自分で理解して


 おこなうのでは全然違う、戦場というのは常に予想外の事が


 おこるものだ、そんな時一々僕の判断を仰いでいたのでは


 間に合わない事も多々あるはずだだからね、自分でしっかり考え


 理解して作戦に臨んでくれ」


ミラーを除く全員が”ハイ‼”と大きく返事をした


一番大きな声を出したのはもちろんスミスだったが


「ではさっきのミケーレの回答に補足してから質問に答えるよ


 今までなぜ夜に攻めたか?理由は視界の悪さを利用して


 こちらの攻撃と正体を隠せるというのが一つ目


 夜は相手側の兵士も大多数は休んでいるからこちらの攻撃に


 対応しにくいという点が二つ目、あとは夜に正体不明の相手から


 攻撃されるという恐怖、つまり心理的な効果これが三つ目の理由だ」


ハルスの話に感心しきりのメンバー、その反応を見て再び話し始めた


「じゃあ本題、なぜ今回は朝なのか?それは先ほどの夜の理由に


 当てはめてみるといいんだよ、夜の闇は我々の姿や攻撃を


 隠してくれるが逆に向こうの姿や攻撃も視認しにくい


 今までは上空から攻撃していれば向こうの反撃など考えなくて


 よかったが今回の相手には例の大賢者がいる


 暗闇での戦いとなると運の要素が強くなり奴の得意な小細工や


 搦めからめてを発揮しやすくなるだろ


 せっかくのアドバンテージを無駄にしたくないしね


 それにこっちの正体はもうバレてるし近日中に攻めるって


 宣言しちゃってるからね、夜でも油断なんかしてないでしょ


 そう考えると夜に攻めるってのは今回メリットよりリスクの方が


 高いんだよ」


その説明にミケーレは感心しきりで何度もうなづいた


なぜかスミスが得意げにミケーレを見ていた


「それじゃあ改めて説明するね、まずはチーム編成


 ギース城攻略に辺り動員するメンバーは全部で8人


 2人1組で4グループ組んでもらう、残りの2人は留守番で


 各自ドルフィーラとサラルガンを守ってもらう


 じゃあ組み合わせと担当を発表するね、まずはギース城攻略組は


 僕とスミス、ボブとケビン、エレーナとオスカー、ビルとトーマスだ


 居残り組はドルフィーラにミケーレ、サラルガンにミラー以上だ 


 今回は能力より連携に重きを置いて編成した異論はないかな?」


全員から”はい”という大きな返事が帰って来る、皆仲の良いメンバーと


組めたのが嬉しそうですらあった、続けてハルスが話し出す


「スタネールで警戒すべきは何といっても”スタネールの大賢者”こと


ジェームズ・マクシミリアンだ、手合せしたメンバーもいるだろから


奴の強さはわかっていると思う、まあぶっちゃけ今回はコイツと


我々の戦いといっても過言じゃない、でも所詮は魔法使い


”賢者の石”とエスパーの最強コンポの前には恐れるに足らないよ


あと”烈風の牙”とかいう重装騎士団も有名らしいけど


地上をノコノコしてる騎士団なんか僕達の相手にならないよね


ただ例の大賢者がおかしな小細工した時の為に教えておくけど


この”烈風の牙”は装備が一般兵と違い黒と赤の鎧を着てるから


一応頭の片隅にでも入れておいてね」


それに対しメンバーの反応は冷ややかだった


「騎士団とかアニメか漫画だけにしておけよって言いたいよな」


「でも主人公にボコボコにされるのも大概騎士団じゃね?」


「じゃあ僕達は主人公らしく騎士団様をボコってあげましょうか!?」


 思わずメンバーから笑い声が出る、それをとがめる


 素振りも無くハルスが話を再開する


「それじゃあいよいよ今回の作戦を説明するよ明後日の明朝に


 テレポートでスタネールの居城ギース城の上空に移動する


 そして先ほど発表した二人一組でそれぞれ東西南北に分かれて


 布陣するんだ、ギース城は北側が一番老朽化が進んでいて


 攻撃するには最適だが、おそらくここには例の大賢者が


 布陣してくるはずだ、だから僕とスミスは反対側の南側を担当する


 ボブとケビンは北側を、エレーナとオスカーは西側をそして


 ビルとトーマスは東側に行ってくれ、ここで最大の注意点がある


 大賢者のいる方向には攻撃が全て防がれる可能性が高い


 だから睨み合いを続けてそこに奴を釘付けにして欲しいんだ


 奴が動かない限り一切攻撃を仕掛ける必要はない


 ”空蝉人形”の青い”賢者の石”は一度でも発動させると


 10分しかもたないからねぇ、無駄な攻撃で貴重なアイテムを


 消耗する必要はないからね、ただ奴が魔法の呪文を詠唱し始めたら


 すぐに攻撃してくれ」


ボブが挙手をしてハルスに質問する


「リーダーじゃあ例の賢者の奴がいない所はガンガン攻撃して


 いいって事なんだよな?」


「ああその通りだ、しかし無茶はするなリキャストタイムを


 常に意識するんだ、それと一人が攻撃したらペアを組んでいる


 パートナーはアシスト兼ボディーガードに


 まわるみたいなフォローを」


リーダーの話をみな真剣に聞き入っている、命がかかっているんだから


当然といえば当然だが今回の作戦が今までとは違うという事を


皆理解しているからである、ハルスはそんなメンバーを見渡して


さらに話を続けた


「さて作戦の概要は以上だ、青い”賢者の石”は各自3個づつ


 持っていってくれ、僕が5個持っていくから手持ちが少なくなったら


 僕のいる所まで取りに来るかテレポートでミラーかミケーレの所まで


 取りに行ってくれ、そして今回の作戦でもっとも重要な事を伝える」


リーダーの真剣な表情と言葉に一同が息を飲む


「みんな絶対に無理をするな、状況はこちらが圧倒的に有利だが


 戦いは何があるかわからない、極端な話、もし今回失敗したとしても


 青い”賢者の石”を数個消耗しただけならどうという事は無い


 しかし誰か一人でもなにかあったら大変だ


 特に大賢者の奴は相当な曲者くせものだ、正直何をやってくるか


 判らない、だからヤバいと感じたらテレポートで


 ミラーかミケーレの所に逃げろ、リキャストタイムの関係で


 テレポートが無理ならハイスピードで上空に逃げるんだいいな‼


 ミラーとミケーレも同じだぞ、周辺各国の状況からお前たちの所に


 攻めて来る国があるとは考えにくいが、ヤバいと思ったら


 ミラーはミケーレの所に避難しろ、逆もしかりだ絶対


 無理はするなよ、いいな絶対だぞ‼」


全員感動してリーダーの話に聞き入っている、数名涙ぐんでいる者さえ


いた そんなメンバーを見てハルスの表情が一気に緩む


「今回の戦いが終わったら足固めの為にしばらく侵略は控えるつもりだ


 そしてまた我々の様な境遇の人間を探して仲間に加えたいと


 思っている」


それを聞いたメンバーの表情が一気に緩む


「じゃあまた仲間っていうか家族が増えるんですね」


「いいじゃない、今度こそ女の子がいいな~今は私しかいないんだもん」


「エレーナ、お前のどこが女の子なんだよ」


「あら、ケビンこの前あなた私の着替え覗こうとしてたでしょ」


「ば、馬鹿あれはだな・・・違うんだあれはその・・・


 ボブの奴が・・・」


「ケビンてめ~何、俺のせいにしてるんだよ殺すぞ‼」


「一緒にサッカーの話ができる子だといいよなビル」


「そうだねトーマス、一緒にサッカーしたいね」


そんなみんなの何気ない会話を嬉しそうに聞いていたハルスが最後に話す


「じゃあ明後日の戦いは誰一人欠けることなく勝って


 みんなでピクニックでも行こう、絶対行くぞみんなで


 そしていつか僕達だけの国”ネバーランド”を必ず作ろう‼」


戦いの前の幸せな時間は静かに過ぎて行った。

二日続けての投稿になってしまいました、自分勝手に何も考えず書き込んでいたらネバーランド編まさかの三部構成になってしまうとは・・・また懲りずにおつきあいいただけると嬉しいです、ではまた。

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