ミオがいない
帰り道を歩きながら、キラは真剣に考えた。
まだ出会ってから何日かしかたってないけど
じつは、たまにミオが消えてしまうのではないか、
いや、それ以前にミオは自分の想像や妄想なんじゃないか?と
とても不安になるんだった。
ミオは家に帰るまで 絵の中に入って待ってると言ってた。
早くミオの存在を感じたくて、キラはミオの絵を探した。
机の上に置いてあったはず…
アレ?
ない…?
キラ「お母さん、ここに置いてあった絵、知らない?!」
お母さん「う~ん。知らないけど。もしかしたら、ラクガキと間違えて捨てちゃったかもね」
大変だ。あの絵がなくなったら、ミオも消えてしまうかも知れない。
必死になって、ごみ箱を探した。でも、もう どこにもなかった。
キラ「ミオ、ミオ。ごめんね。今どこにいるの?消えちゃったの」
泣きそうな顔のキラのうしろから、声がした。
ミオ「ボクが、そんな簡単に消えるはずないだろ」
キラ「ミオ……」
ミオ「確かに、あの絵を魂の入る場所というか、拠り所にしてたけど、絵がなくなったからって消えることはないよ」
キラ「よかった…」
ミオ「それに絵なら、またキラが描いてくれればいいだけだし」
キラ「びっくりした…ミオがいなくなっちゃったんじゃないか、って」
ミオ「そんな簡単にいなくならない。それに、もしボクが消えちゃう原因があるとしたら、キラがボクのことを消えるかもって、思いつづけてしまうことだよ」
キラ「ごめんね、もうミオが消えちゃうんじゃないかなんて考えない。絶対に忘れないよ」
ミオ「うん。例えキラがボクを忘れても、ボクはキラを忘れない」
だけど急にミオは少し悲しそうな顔になって言った。
ミオ「……どうしても消えないといけない時は、そうするけどね」
キラ「え」
ミオ「例えば、迷惑になった時とか、どうしてもボクを もういらないって思った時とか」
キラ「そんなこと思う時ないよ」
ミオ「まぁボクは作ってくれたことに感謝してるし、キラのいうことなら何でもきくけど」
キラ「それじゃ、私が知らないうちに絶対に消えないでね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
キラは、また絵を一生懸命、描きはじめた。
こんどは、お母さんに捨てられないように、なくさないように
出来あがった絵を、小さな額縁に入れた。ペンダントも、絵の前に小物入れをおいて飾った。
キラ「新しい絵、どう?」
ミオ「いいね。ボクと よく似てる」
キラ「気に入ってくれて、よかった」
小さな額縁に、キラは帰り道につんできていた 花をボンドでくっつけて
アレンジした。
ためしに絵に入ってみるミオ。
違和感はないみたい。
絵に入ると、ミオは動かなくなるけど
絵の中で、かすかに笑ってるようで、嬉しかった。




