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告白の上手な断り方

なにが書きたかったんだっけ……?

 容姿端麗・性格(弱冠チャラいけど概ね)良し・運動神経抜群・成績はほぼ優秀・家柄最高(どっかの社長令息らしい)。こんな2次元限定みたいな王子様(笑)に告白されたらどうしますか?

 え?わたし?とーぜん


 断ります。


 え、だって面倒くさそうじゃない?主に周りが。どんなにその人が良くたって、外野が煩いならプラマイしてもマイナスでしょ。

 でもただ断るだけだと追ってきちゃうわけよ。男は狩猟本能があるから。これ定番でしょ、『逃げれば逃げるほど追いたくなる』って。な・の・で、一回承諾したいと思います。そうすればすぐに飽きるはず。熱は冷めるのが早いからね。




 わたしがこんなことを考えてるのは、もちろん王子様(笑)に告白されてるから。しかもお昼、人が一番賑わっている食堂で。この人頭大丈夫かしらと思った瞬間ベスト3に入るわね。ちなみに1位はわたしの隣に座ってる天然娘。うちの大学のミスキャンパスでもある。


「瀬尾乃愛さん、俺と付き合って下さい!」


 あー、すごい注目されてるのがわかるわぁ。まぁ隣のミスキャンパスのおかげで慣れてはいるけどね。しっかしすごいね。キラキラが目に見えるようだよ。なるべく直視したくないね。


「瀬尾さん?」


 あぁ。わたしが返事しないから戸惑ってるみたい。おろおろする仕種はあれ?庇護欲そそられるって言うの?ワンコ系にもなれるなんて、多才だねぇ。


「もっかい言わなきゃダメかな……あの、その、俺と結婚してください!」


 ん?なんかすっ飛んでるよ?結婚って。結婚って(笑)思わず笑っちゃったよ。さぁ。わたしの考えは纏まった。返事をしますかね。


「いいよぉ~」


 ってオイ!なんであんたが返事をする!この天然娘め!


「え?いや俺は、」

「ってのんちゃんが言ってる気がするの~。嫌なら間髪入れずに断ってるはずだし~。」


 おふぅ。すごい。すごいよ天然娘。さすがは友。わたしの考えてることが丸わかりなんて。


「ほんとう?本当なの?本当に俺と結婚してくれるの?」


 だからなんで結婚なの?別に


「……(どうでも)いいわよ。」



*・*・*・*・*・*・*


 こうして、王子様(笑)こと木田涼夜(きだりょうや)と付き合い始めたわたしです。無駄に大学内でも顔が広いせいか、危惧していた嫌がらせとかは全然なくてむしろ歓迎されてた。いやすぐ別れると思うけど。だって王子様(笑)弱冠チャラいし。ん?でも最近はそんなことないかも。目の前で携帯のアドレス(女子限定)消してたし。そこまでしなくてもいいって言ったんだけどね。


 お付き合いは概ね良好だと思うの。優しいし、レディファーストだし、ちょーーっとキスがねちっこいけどそれ以上はまだ止めてくれるし。(男友達は多いけど、彼氏は初めてだからまだ不安)でも一つだけ、不満がある。それは、


 自由がないっ!


 ってこと。前述した通り、わたしは顔が広い。一回も授業で被ったことがない人でも、いつのまにか知り合いだったりする。そのおかげか、飲みとか遊びに行くとかだとしょっちゅう誘われる。半々の確率で参加するけど、涼夜と付き合い始めてからは一回も行けていない。行こうとすると何処からか現れて阻止されるのだ。


「なんでよ。わたしも皆とご飯食べに行きたい。」


 そう文句を言っても、


「だって俺たちまだ付き合い始めたばっかりだよ?もっと乃愛と一緒にいたい……ダメ?」


 そう言って上目使いで"他の人"に聞くのだ。わかります?イケメンの王子様(笑)にこれやられたら、ダメなんて言えないの分かっててやってんのよ!あざとい、あざとすぎるよ王子様(笑)!ちなみにわたしには効かない。結果、


「そーだよね!まだ新婚ほやほやだもんね!いーよいーよ!こっちこそごめんね、無理に誘ったりして!邪魔な私たちは退散するから!乃愛、ダーリン悲しませちゃダメだよ?じゃーねぇ」


 向こうが気を利かせて立ち去るという図が出来るのよ。ってか結婚してないからね!?するつもりもないからね!


「のーあ。今後の俺たちのことについて話し合いたいから、俺の部屋に来てくれるよね?」


 うげ。なんか怒ってるんですけど……わたし何もしてないのにっ!はっ!気付いちゃった。なんで涼夜がさっさと飽きてくれないのか。それは付き合ってもわたしが逃げてばっかりだからなのね?それで狩猟本能が刺激されてしまうのねっ!ならば、わたしから構ってちゃんになればきっと涼夜は萎えるはず。ふふん。早速実行してみせるわ!



・・・・・


 そして涼夜宅。ちなみに涼夜はいいところのボンボンなので、高層マンションの一室を一人で使ってる。これだから金持ちは。

 涼夜の膝に跨がるように座るわたし。意外と恥ずかしいから、さっさと終わらせちゃおう。


「乃愛さん?この体勢は?」

「んー?涼夜が怒ってるみたいだから、説教されないように先手を打ってるの。色仕掛けってやつ?涼夜、許してくれる?」


 上目遣いでそう言ってみたわたし。自分でやってこう言うのもアレだけど、気持ち悪い……。さぁ涼夜。萎えるがいいわっ!


「……乃愛、とっても可愛いけど、俺のこと試してるの?俺の部屋でこんな大胆なことして、俺が何もしないでいられると思う?」


 ん?もしや雲行きが怪しい?


「乃愛がいいって言うまで待ってるつもりだったけど、乃愛から迫ってきてるなら遠慮することないよね。もう、離してあげないよ?ここから出られると思わないでね。」


 はい?なにを、


「!!んんっ!……ぁ、ちょ、りょぅ……ゃん!」


 は、激しいです!涼夜さん、のっけからこれは……ってあれ?天井が見える。え?どして?


「友達より俺を大事にしてくれないなら、俺も乃愛のこと大事にするの止める。足腰立たなくなるまで、起き上がれなくなるまで俺の愛情を注いであげる。乃愛、俺は乃愛のこと一生離すつもりないから。腹くくってね。」


 え?もしや萎えさせて別れよう作戦、バレてた?


「乃愛は俺が気まぐれで告白したみたいに思ってるけど、最初っから本気だったよ。言ったよね?『結婚してください』って。あれも本気だから。……学生結婚、いい響きだね。乃愛との新婚生活、楽しみだな。」


 へ?いやいやいや!結婚なんてしないって……あ、あれ?眼が、眼が据わってますよ?キラキラ王子様が台無しですよ?一旦、離そうか?うん。わたしたちには話し合いが、


「今日が危険日じゃないのが悔やまれるな……ま、出しまくれば問題ないか。」


 あるよ!大有りだよ!何言ってんの!爽やかな顔と名前が台無しだよ!ひゃ!さ、さわらないで!


「がんばろうね、乃愛」


 がんばれねーよっ!あ、あ~~~~~~!!


*・*・*・*・*・*


 あんな算段せずにさっさと断っておけばよかった…………。

タイトルの語尾には(失敗例)と入ります。そして断られることがないように大勢の目の前で告白しましたとさ。

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