↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第二章 龍喰らいの悪食
PR
61/300

ハーフエルフ

今、目の前にいるハーフエルフの話によると庭園の結界を破ったのはセラの母、ライラの仕業だということだ。


事実かどうかを確認したいが、当の本人は「ごめんなさい。ごめんなさい。」と同じことをずっと繰り返している。


ライラは半年後にヒロによって救われるはずだった。


なのになぜこんなことをしたのだろうか。


ヒロにわたるとわかって里の者の嫌がらせが悪化したのだろうか。


「考える必要はない。キュリーの仕業だ」


タカシに言われてキュリーを見ると


「私は背中を押しただけ」とキュリーは自分の爪を弄っている。


六英雄の一人、ハーフエルフのキュリー。


彼女は六英雄たちのパーティに拾われるまでエルフ達に命を狙われていた。


その後、彼女がエルフの国を攻撃したことを考えれば確かに納得がいく。


「お前はまだこんなことを続けていたのか」


「なに?また説教?」


瞬間移動ができるのだろうか。


気付いたらキュリーはタカシの横にいて耳を掴んで耳元でそう言った。


しかもキュリーは宙に浮いている。


魔法とは極めればこんなこともできるのか。


「別に説教したいわけじゃない。俺はお前にまともになってほしいだけだ」


「そのまともってのは何?ハーフエルフなのがそんなに気にくわない?」


「そんなんじゃない」


「なら何なの?あんたはいつもそうよね。ただ私のすることが気にくわないのよ」


「違うって言ってるだろ」


二人の言い合いがエスカレートしていく。


しかしお互いに感情をぶつけているだけなので話は平行線だ。


「二人ともちょっと待ってくれ。背中を押したってのは具体的に?」


少し怖かったが二人の間に入りキュリーに問いかける。


キュリーはいつの間にかまた椅子に座りこちらを指さした。


「あなたが希望を与えたせいよ」


「それのどこが悪い」


「彼女は現状を受け入れていたのよ。なのに貴方が彼女に希望を与えた。」


キュリーが言うには半年後に娘と一緒になれることにライラは喜んだ。


現状を受け入れて死を待っていた彼女にとってそれは光明。


しかし、それによって彼女にとって今後の半年間は耐えがたいものになってしまったというのだ。


エルフ達はまた人間の知恵に頼ろうとしている。


しかも今度はセラと恩人だ。


自分の夫の時の様にまた裏切るかもしれない。


そう考えるとそれまで抑えていた怒りという気持ちが燃えだしたのだ。


そんな時、エンシェントドラゴンの庭園で起きていることを知った。


後はスキをついて結界を解除し、食人鬼を外に放てばいい。


そこまで聞いてヒロも察してしまった。


怒りに気付かせた事、庭園の食人鬼の事。


背中を押したと言っているが、キュリーがそそのかしたのだ。


「それであんたの願いは叶ったのか?」


「私?私は楽しかったわよ」


「そうか、ならあんたは……」


そこまで言って、「うわっ」と声が出た。


なぜなら自分の顔の真横を火の塊が通り過ぎたからだ。


ファイアボール。


どうやらセラがキュリーに放ったようだ。


だが、ファイアボールはキュリーが指でちょんとつつくと、パチパチっと小さい花火の様に色鮮やかな火花になって消えてしまった。


「なんでそんなことしたの!?」


セラの声から怒りを感じる。


キュリーはおちょくっているのか首を傾けてフフっと笑った。


それを見てセラがますます怒り出す。


「確かにみんながしたことは許せない。だけど殺すことなんてなかった」


「あなたはまだましよ。あなたのお母さんが何をされた分かっているの?」


「わかってる。だからって許されない!」


「嘘つき」


キュリーが掌を上にして指で何かを弾いた。


特に何も飛ばなかったのでジェスチャーか何かと思ったが、どうやらそうではなかった。


「いやぁぁぁぁぁあぁぁあああああああああああああああああああああああああああ」


突然、セラが大声を出して崩れ落ちる。


何が起きたんだ?


魔法?だとしても何をした?


呪文の詠唱をしていたようには見えなかった。


セラに近寄ると呼吸が荒い。


過呼吸になりかけているのかもしれない。


顔を見ると目は遠くを見ていて、異常なほどに涙が出ている。


「何をしたんだ?」


「別に、彼女の母親がされたことを見せただけよ。あなたも見て見れば」


言い返す間もなくキュリーがまた指で何か飛ばすしぐさをする。


その瞬間だった。


一度にたくさんの映像が流れてくる。


セイイチの事、セラの事―――これは……。


気付くと床に吐いていた。


「あら、貴方は全部は見えなかったみたいね」


キュリーの言葉で今起きたことを理解する。


彼女の言う通りライラの記憶の一部を瞬間的に見せられたようだ。


「全部じゃなくても十分だ。男の子なのに子宮を取られた」


「なら理解できたんじゃない?」


あぁ確かに。


だが、そう答える前にセラがヒロの腕を掴んで立ち上がった。


立っていられないのだろうか。


体が震えている。


「殺す必要なんてない」


「まだそんなこと言ってるの?」


「だって、ヒロが私たちを助けてくれるもん」


「なら、私はどうなの?」


「あなただって助けてくれる」


「なら今度は私のを見て見るといい」


再びキュリーが何かを飛ばそうとするが、それをタカシが止めようとする。


これ以上はまずい。


母親の記憶でここまで弱ったんだ。


キュリーのなんて見せられたらセラの精神が壊れてしまうかもしれない。


「二人とも邪魔しないで!」


だが、意外にもヒロとタカシを止めたのはセラだった。


体の震えは止まっている。


呼吸もしっかりしているし、キュリーを睨みつけている。


「私もあなたと同じハーフエルフ。だからあなたの事は知っておきたい」


セラの言葉にキュリーが「ぷふっ」と噴き出す様に笑った。


「わかった、今回は私の負けでいいわ。あなたの母親の事は謝る」


「謝って済む問題じゃない!」


「ならこれでどうかしら」


そう言ってキュリーがヒロに何かを投げた。


これは…宝石?


「それがあなたの一番大切な人を護ってくれる。これでどうかしら」


「ダメだ!すぐにそれを捨てるんだ!」


タカシが突然宝石を奪おうとする。


「あなたは本当に邪魔」


キュリーがそういうといつの間にかタカシの横にいて、タカシの肩を掴むと突然二人は消えた。


「テレポートしたニャ」


ケティがいつの間にか階段に座ってこちらを見ていた。


どうやらキュリーはタカシと共にどこかへ飛んだようだ。


「セラ、この宝石はどうする?」


そう言ってセラに宝石を見せる。


ダイアモンドだろうか。


それにしては大きい。


ビー玉位のサイズはあるだろうか。


宝石は綺麗にカットされていて、透明なそれは光を反射して輝いている。


「ヒロが持っていて」


「いいの?タカシは捨てろって言ったけど」


「いいの。まずは私たちが彼女を信じてあげないと」


そう言ってセラが宝石を握らせる。


セラが言うならそうしよう。


しかし、まいったことになった。


タカシ無しでエンシェントドラゴンの元へ向かわないといけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。