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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第二章 龍喰らいの悪食
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エルフの里

「うわっ、すげぇ」


思わず声が出てしまったが、胡椒を栽培している場所に案内されてその光景に感動した。


サッカースタジアムほどの広い空間すべてに胡椒の木が植えられている。


高さは3メートルは超えているだろう。


よくファンタジーな映画に出てくる巨大な迷路を胡椒の木で再現できるんじゃないかと思えてきた。


そして勘違いではないはずだ。


ここに来てから温度がかなり上がった気がする。


「少し暑くないですか?」


「ここは薄い結界を張っていて、温度を逃がさないようになっているんです」


「なるほど、結界の維持は交代で行っているんですか?」


「いえ、木々についている魔法石に定期的に魔力を込めて結界を維持しています」


「え?魔力を蓄えておける石があるんですか!?」


案内してくれたエルフの話を聞いて驚いたが、後ろからアルノが「サザラテラの街灯に使われているものも同じものですよ」と囁いてきてより驚いた。


「サザラテラの街灯も植物の成長を促進できるって事です?」


「おや、成長促進の事を御存知でしたか」


「勉強熱心なんでね。それでどうなんですか?」


「ここにある魔法石は加工されていて、光るだけでなく魔力供給ができるようになっているんです」


「加工できるのはエルフ族だけとかですかね?」


「いえ、魔法石を採掘しているドワーフをはじめ、人間の方々も加工されているようですよ」


「じゃぁなんでエルフに加工されたものだけ植物の成長を促進できるんでしょうか?」


「さぁ、我々もこの魔法石が植物の成長を促すことを知って15年程度しかたっていませんし、成長が促進される植物もまばらでまだよくわかっていないんですよ」


この後も事あるごとに色々訊いて案内約エルフを困らせてしまったが、かなり面白いことが沢山聞けた。


胡椒のように成長を促進できないが大きな畑が2カ所あり、それと同じサイズの豚の放牧場所も2カ所ある。


一年ごとに畑と放牧場所を交代して畑を痩せさせないようにしているようだ。


誰の発案かと訊いたら濁されたので、恐らくはセイイチの考えだろう。


里で食べる分には困らない程度のリンゴの木や鶏小屋もあったが、どれも現状を変えるほどの金にはなりそうにない。


狩りの成果物はイノシシや狼に似た生き物やそれを狙った魔物らしいのだが、特別美味しいわけでもないらしい。


だが、狩りを行わなければ豚を狙ってやってくるので毎日狩りに出かけるのだとか。


さて、ここまで見て分かった内容でエルフ達の懐を温める内容を考え、こちらの交渉に乗せなければならない。



――エルフの里の一番大きな建物。


そこに入ると一人のエルフを中心に10人ほどの男のエルフが待っていた。


「エルフの里はどうでしたか」


そう話しかけてきたのはエルフの里の長だ。


彼の外見は40代に見えるので恐らく数百歳はいっているのだろうか。


髭などもなく、髪も綺麗に手入れされている。


落ち着いてはいるが、胡散臭いというかなんだろう……野心家?独裁者?とにかく信用ならない何かを感じさせる。


「とても面白かったですよ。この里の特徴でもあるあの魔法石を上手く使っている」


「ありがとうございます。アルノ殿から聞いていると思いますが」


「さっそく結論から話せって事ですよね。エルフってのは長生きの割にはせっかちだ」


すこし挑発気味に言ってみると、まわりのエルフは明らかな反応を見せたが里長は動じていない。


「長生きと言っても時間は限られておりましてね。せっかちな老人にあなたの考えをお聞かせ願いたい」


「その前に条件の確認が先です。アルノさんいいですか?」


「わかりました」


アルノは一歩前に出て話始める。


ざっくり言うと条件は3つ。


1,今回得た知識はエルフ以外の種族に漏らしてはならない。


2,今回提供する知識で生産されたものはカシミール商会とのみ取引をする事。


3,今回提案された産業で得た純利益の1%をヒロに収める事。


「以上が今回の契約内容になります」


アルノが話し終わると「我々はそれで構わない」と里長は急かすように言った。


「実は事情が変わってそれだと納得ができないんですよ」


「な!?」とまわりにいたエルフが声を漏らす。


「別にあなた達に悪い話をしようとしているわけじゃない。金より欲しいものが出来たってだけですよ」


「それはなんですかな?」里長がこちらを見てくる。


「まぁさきにこっちの話を聞いてください。こちらからは二つ提案があります。欲しいものは一つ目の提案を聞いてからで構わない」


「それでは聞かせてもらいましょうか」


「一つ目はエルフ族の弓を売りましょう」


「ふざけるな!我らの技術を他種族に渡せるものか!」


話の途中で一人のエルフが激昂し前にでたが他のエルフが押さえつける。


「そいつを連れていけ」


里長に言われて他のエルフ達がエルフを連れて行く。


「ご存知かと思いますが、元々エルフは他種族と交流をしておりませんでした。今でこそ生産物のやり取りはしておりますが、伝統を売るつもりはありません」


「その伝統ってのはあなた達が作れる最高の弓の事ですよね。アルノさん、もしエルフ達の弓を売るとしたらいくらになりますか?」


そう言われてわかっていたかのようにアルノが答える。


「実際に売ってみなければわかりませんが、恐らく王国騎士団が300ゴールドは出してくれるでしょうね」


「それでも伝統は売れませんな」


里長はそうは言ったが300という数字を聞いた時に少し反応を見せた。


「別に最高傑作を売れとは言っていません。そこの狩りに使っている弓でいいんですよ」


そう言って、先ほどまで狩りに行っていたであろうエルフが背負っている弓を指さした。


「狩りの成果物を見ましたが、矢はすべて頭を射貫いていた。エルフは弓が得意と言うのは知っていますが、これは弓の性能もある程度無ければ無理ですよね?しかし、狩りから帰ってきたエルフ達の弓はとてもいいもののようには見えなかった」


「つまりは」


「エルフの最高傑作の弓が10、人間の弓が1だとしたら、狩りに使っている弓は何点になりますか?」


「3と言ったところでしょう」


「その3点の弓はアルノさんはいくらで買ってくれるんですかね?」


アルノは弓を受け取って品定めをする。


「私なら50シルバーで取引させていただきます」


「作り手のエルフが貧困で死んでしまっては元も子もない。30%の中途半端な弓でこれだけの収益が出れば伝統は守られるのでは?」


里長が少し悩んだそぶりをする。


「初めは2点の弓だっていい。それで十分稼いで売り上げが落ち着いたら少しずつ質を上げていけばいい」


里長はもう頷いてしまいそうだが、疑問がある。


里を見て回った限り金に困っているようには見えなかったのだ。


正直、畑と豚がいる限り餓死なんてことは絶対に無さそうだ。


狩りで豚以外の肉も取れるし、胡椒の収益だけでも里に足りないものは十分買えるはずだ。


なのになぜ?


訊きたいが、訊いたら別の問題が出てくるかもしれない。


今はこの話を飲み込ませて二つ目の提案で欲しいものを手に入れたい。


だが、物事はそんなにうまくはいかなかった。


「大変です!冒険者が帰ってきました!」


一人のエルフが息を切らせて入ってきた。


「どうなった?」


「女だけ生き残りました。庭園の入口まで来てください!」


なにが起きたか分からないが、全員そこに向かうようだ。


ここにいても話は進まないしケティも何か察したようで見に行くことになった。



――エルフの里の奥の奥、そこに小さな城がたっている。


その入り口へと続く塀で囲まれた庭園の入り口にエルフ達が集まり、そこに一人の女性が丸くなって震えている。


しかし驚くのはその後ろ。


庭園入口に立っている三人だ。


張られた結界によって通ることができないが、三人は諦めることなく結界にぶつかり続けている。


その顔は血の気がなく真っ青。


目は白濁し、生気が全く感じられない。


ゾンビだ。しかし見覚えがある。


一ヶ月ほど前に命のやり取りをした相手。


ハリー、ランド、ウォータの三人だ。


「これはどういうことです?」


「冒険者が食人鬼になって戻ってきたんだ」


「食人鬼……――彼らを外に出すことはできますか?」


「馬鹿言うんじゃねぇ!」


エルフの男に頼んでみたがこのまま閉じ込めておくようだ。


「なにか気付いたんですか?」


アルノもハリー達に気付いていたようだが、ヒロが何かを気にしていることに気付いたようだ。


「エンシェントドラゴンに会いに行った人たちが食人鬼になるのは知っているんですが、そうなった理由が知りたい」


「それを確認しに行くためのクエストでハリーさんたちはエンシェントドラゴンに会いに行ったのですよ」


「もし彼らを調べられたら理由がわかると思います」


「わかりました。少し待っていてください」


そう言うとアルノは里長の方に向かった。


こんな時でもニコニコしてるところを見ると、もうあれが彼のデフォなのだろうか。


「なにか気付いたのかニャ?」


ケティが手を掴んで引っ張ってきた。


「あれってゾンビだよな?ゾンビってどうやって増えるんだ?」


「死者を供養せずにほったらかすとなるらしいニャ」


「それってどのくらいの期間でなるんだ?」


「ニャー、どうなのかニャ。1ヶ月くらいかニャ?」


「ならこのゾンビは別種だよな」


ケティと話をしているうちにアルノが話をつけたらしく、ハリー達を結界の外に出すことになった。



――弓を構えたエルフが正面に立ち、その横に魔法を使えるエルフ達が並ぶ。


「いいですか、必ず頭を撃ち抜いてください。それでもし死ななかった場合は炎で灰になるまで攻撃し続けてください」


ヒロの言葉にエルフ達が頷く。


「それでは合図に合わせて部分的に結界を解除してください。3、2、1……」


庭園入り口の結界が解かれ、ゾンビと化した三人が出てくる。


結界に阻まれないことに気付いたのか三人が走り出そうとした瞬間だ。


風を切る音と共に三人の額が射貫かれる。


三人は事キレた様に倒れ伏し、それを警戒しながら全員が動かないか確認する。


「大丈夫です」


一人のエルフが近くによって確認し安全を告げた。


「そうしたら服や鎧を脱がせて傷がないか調べてください。恐らく噛まれた跡があるはずです」


そう言うと数人のエルフがハリー達に近付き傷跡を確認する。


いったいエンシェントドラゴンに何をされたのだろうか。


庭園の中を覗くと毒沼のようなものがいくつかできていた。


毒沼!?


「ケティついてきて」


そう言って、結界が張られた庭園の周辺を見て回る。


――そういう事だったのか。


まだ恐怖で震えている生き残った長い赤髪の神官服を着た女性に近付く。


「フレイ……」


声をかけるとこちらを見たフレイが涙を流す。


戦った相手と言っても知っている人間にあったことで安心したのだろうか。


大泣きしながら抱き着いてきた。


フレイはハルトが揉んで確かめた事から巨乳だということが判明している。


それが全力で押し付けられる。


つまりどういうことかと言うと――ムラムラします。

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