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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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対人戦

戦闘開始を宣言したが誰も動かない。


恐らくケティが下を向いて動かないからだろう。


仲間の中で一番強いのは間違いなくケティだ。


ハリー達もそれをわかっていてケティが動くのを待っている。


だが、ケティは動かない。


後ろを見るとユウタとゴブリン達もまだ動かずこちら凝視している。


ケティの尻尾がハリー達に見えないように少し動いた。


あぁなるほどね。


ハリー達の方を見ながらユウタの所まで下がる。


「金は持っているか?」


「そこの隠し通路に非常用のお金が隠してある」


「いいか、一回しか言わないからよく聞けよ。お前たちが逃げ出したら戦闘が始まる。そうしたら俺たちの事は気にしないで全力で逃げろ。それと、とにかく西へ向かえ。大陸を渡るのが一番だけど、無理だと思うから西のモンスターの勢力が人間より強い地域に移り住むんだ。」


「わかった」とユウタが頷いた。


ゴブミも首を縦に振ったのでゴブミも理解しているのだろう。


「ボブ!」ユウタに言われボブと呼ばれたホブゴブリンが玉座を動かし始める。


その下には隠し通路が隠されていた。


いよいよ戦闘が始まると思いハリー達の方を見るが戦闘は始まっていない。


全員が凍り付いた様に一カ所を見て固まっている。


ケティの様子がおかしい。


グツグツと煮えたぎるマグマのようにケティの体が溶けている。


バッとケティの体の質量が何倍にも膨れ上がり、青い炎が起きる。


するとそこに巨大な生き物が立っていた。


立っていたといっても二足歩行ではない。四足歩行。


全長5メートルはあるだろうか、毛並みは黒いが青い炎をまとっている。


その見た目が猫に酷似していることからケティであることは間違いないのだが、特徴的なところがもう一つある。


尻尾が二本。


「猫又だったのか」


「猫又も知っているのか」


ケティの声だが何かが違う。


いつもの猫語?と違うだけじゃない、音を発しているというより頭に響いてくるといった感じだ。


「猫又とかカッコいいじゃん」


「――やはりヒロは面白いな」


ケティがそういうとハリーとランドを飛び越しウォータを加えて外に飛び出す。


ハリー達のパーティの神官フレイは神官にも関わらず攻撃用の上級魔法を習得していた。


ならば魔法使いのウォータも恐らく使えるだろうと引き離してくれたのだろう。


ケティの変身に面食らっていたが、ハリーとランドが突っ込んでくる。


ケティがいない間にオグを倒すつもりだ。


「オグ!」


「わかってる」


オグが二人の攻撃を盾を使って綺麗に捌いてみせる。


やはり人間相手でもオグの盾の技術は凄い。


「――月夜の呪縛(チェーンバインド)


ハルトの魔法が発動し、現れた複数の魔法陣から鎖が召喚されランドを拘束しようとする。


「――解呪(ディスペル)


それをフレイが唱えた魔法で打ち消す。


「魔力はもうないんじゃないのかな?」そう言ってオグ、ハリー、ランドの横を駆け抜けてフレイに接近する。


神官は戦闘向きじゃない。


一番弱い自分が相手をするならフレイしかありえない。


フレイは迎撃の為にワンドを振り上げた時だ。


衝撃波(ショックウェーブ)


自分を中心に衝撃波を発生させてフレイを吹き飛ばす。


そのままフレイを飛び越してハリー達を挟み込む形になった。


「そんな猫騙しじゃ私は殺せませんよ」


「殺す気はないですよ。むしろ美人の神官には仲間になってほしい」


「あなた達の方が不利なのに、よくそんな余裕が言えますね」


「そうでもないよ」


後ろにケティが戻ってくる。


ウォータを殺してしまったのか、それとも1階に放り出すことで戦闘復帰までの時間稼ぎをしたのだろうか。


ケティはヒロとフレイを飛び越し、今度はランドを加えて外に飛び出した。


「ね、俺があなたを無力化したら勝ちですよ。ハリーがどんなに強くてもオグの防御は崩せない」


「なら私があなたを倒せばいいだけでは」


フレイの右手に炎の塊が現れる。


確かにフレイの火の魔法は厄介だけど、こっちには対フレイのリーサルウエポンがある。


フレイがこちらに魔法を飛ばそうとした時だった。


後ろから現れたそいつに胸を揉まれる。


揉まれるというより揉みしだかれている。


あぁ、神官服でわからなかったけど、こりゃデカいな。


「役得だね――ハルト」


「……」


フレイは「なっ」と声を上げて顔を真っ赤にするが抵抗できない。


それもそうだ。


今ハルトの左腕にジジの腕輪は着いていない。


ケティがウォータとランドを任せろと言った時に、フレイを俺とハルトで倒さなければいけない事が分かった。


現在、人間の女はフレイだけ。


そうなればハルトの糞みたいなユニークスキルはこの場に限ってはメタスキルになりえる。


恐るべきエロゲの主人公。


嫌なはずなのに一方的に揉みしだかれて動けないフレイに近づきお腹に手を当てる。


「初めて使うのが女性なのがちょっと気が引けるけど、俺の唯一の対人スキルだから許してね」


「な、なにを――」


振動(バイブ)


初めは何が起こったのか?と言う顔をしたが、すぐにフレイの顔色は真っ蒼になり口から大量の胃液と内容物を吐き出した。


振動(バイブ)は当たったものを振動させる魔法だ。


これを覚えたのは安かったという理由もあったが、対人スキルとして有効だと思ったからだ。


振動(バイブ)は掌底から少し離れた場所に発生する空気の塊のようなものを飛ばし、当たったものを振動させる。


もしそれをお腹に触れた状態で発動すれば、とんでもないデブでない限り振動(バイブ)は内臓に当たって振動させる。


どんなに肉体を鍛えた者たちも内臓は鍛えようがないので、オークでもゲロコース確定だろう。


ゴブリン相手に使う予定だあったが、結局巡り巡って初めての発動が人間相手になってしまった。


「ハルト、揉み心地はどうだった?」


「――特にそういうことは考えなかった」


「セラ!ハルトがフレイのおっぱい柔らかかったって!」


「キモい」とセラがこっちに軽蔑の目を向ける。


「余裕かましてんじゃねーよ!」


ハリーがオグに背を向けてこちらに向かってくる。


ハリーは見かけ以上に敏捷で、オグが追いつけるわけもない。


それでも問題はなかった。


ハリーがヒロを射程圏内に収めた時、巨大な肉球が彼を押さえつけた。


「お帰りケティ」


「戻ってくるとわかっていたのか?」


「殺さずリーダー取り押さえて交渉するの前提だったでしょ」


「お見通しだったか」


「違うって、ツーカーっていうんだよこういうの」


「ツーカー?」


「心が通じた仲良しって事」


――ハリーとフレイを縛り上げ、ハリーに残りの二人を投降させた。


ケティは元の姿に戻ってペロペロと毛繕いしている。


「それで俺たちをどうするつもりだい?」


「正直そこが問題なんですよね」


「20ゴールドで黙ってるぜ」


「んなこと言って、事あるごとに揺するつもりでしょ」


「そんな訳」とハリーは苦笑いしたが、こいつやるつもりだ。


「金での解決は無さそうですね」


「まぁね。俺はお前たちの金は受け取らない」


「金に貪欲なあんたがなんで?」


「俺たちの勝だからさ」


ケティの耳がピクピクっと動く。


「しまったニャ」


外を見ると陸地にもかかわらず、今いる砦に向かって巨大な津波が押し寄せてきている。


「何だあの津波!?」


「上級魔法のタイダルウェーブだ。ウォータが発動させた」


「ウォータならここに――」


ウォータを見ると水の塊になりびしゃっとその場に散らばった。


「魔法による水の分身ニャ」


「こんな事したらあんた達も」


「死なばもろともってやつだ」


ハリーは笑っている。


大津波が砦に直撃する。


大量の水に押しつぶされて、あっという間に気を失った。

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