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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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ゴブリン砦

「オグ……口にソースが付いてるよ」


「――ありがとう」


ハルトがオグの口についたソースを拭う。


二人は左肩にお揃いの腕輪をつけているので、こういったシチュエーションを見るとどこか疑いたくなるものがある。


てか、そうなってくれた方が安心だ。


今現在ヒロたちは正式にハルトとオグを仲間に加え、サザラテラに鉱石を売りに行くオークの馬車に乗せてもらっている。


オークの村からサザラテラまでは綺麗に整備されており、山を下るだけということもあって3日ほどで到着するらしい。


昔は間に森などあったが、一度馬車が襲われて死者が出たことがきっかけで、木などはすべて伐採し綺麗な道と畑や水田に開拓していったのだとか。


「そういえば、あとちょっと行ったらゴブリンキングのクエストがあった場所ニャ」


「さすがに決行日から数日たってるし討伐されているでしょ」


「わかんないニャ、もしかしたら苦戦も苦戦で通れなくなってるかもしれないニャ」


「だとしても、グレーターデーモンを討伐した今なら大したことないんじゃないかな」


「ニャー、大きいこと言うようになったニャ」


「順当に経験を詰めなかった波乱万丈な冒険者なんでね」


「そんな事言ってるとまたピンチになるかもしれないニャ」


そんな訳ないだろうと思っていたが、ケティの予感は的中した。


街道の脇に張られた冒険者たちが寝泊まりしていたであろう天幕が荒らされており、中には冒険者たちの死体が転がっていたのだ。


「ケティはどう思う?」


「ニャー、パッと見た感じは寝込みを襲われたように見えるニャ」


「俺もそう思うけど、犯人はゴブリンであってるかな」


「死体の傷を見るからには生き物の爪や牙ではなく刃物ニャ」


「まぁ人間に襲われたんじゃなきゃゴブリンだよね」


「どうするニャ?」


「とりあえず、サザラテラ側の冒険者の集合地点はこの先だよね?まだクエストが終わってなければそこに冒険者ギルドの人がいるはずだから状況を確認しよう」


――案の定、ゴブリンキング討伐は完了していなかったみたいで、クエストの集合地点には複数の冒険者のパーティと冒険者ギルドから派遣された人がいた。


ヒロたちはそこで降ろしてもらい、詳細を訊くとゴブリン達は放棄された砦に住み着いているらしく、なかなか攻め込めていないらしい。


その砦は人間がまだ複数の国に分かれて争っていたころに立てられた砦で、山に穴を掘って作られており正面からしか侵入することができない。


そこに弓や魔法でゴブリンが攻撃してくるため、砦に入るだけでも一苦労なんだとか。


「あれ、ホットドック兄さんじゃないか」


声をかけられた方を見ると、ジャポンに向かう道中にお世話になった冒険者のハリーがこちらに気付き近づいてきた。


「ハリーさんお久しぶりです」


「結局あんたも来たのかい」


「来たくて来たというより、帰り道に寄ったって感じですかね」


「仲間はそろったのかい?」と後ろにいる仲間たちを見て「マジかよ」とハリーは驚いた。


「ハルト!?マジかよ?ハンバーガー娘は無事かい?」


「あぁその件ならオークの村でハルトのユニークスキルを封じてもらいました」


「オークの村?って事は後ろのデカいやつはオークかい?肌の色はオークっぽいけど顔は人間ぽいぞ」


「クォーターオークってやつで、族長の息子です」


「は?しかも隣で毛玉吐いてるのはグルメのケティじゃ」


ケティの方を見ると、「おえぇ」と黒い毛玉を吐きながら親指を立てるような仕草をする。


「変わった人だとは思ったけど、変態、オーク、ケットシーとは恐れ入ったぜ」


「ところで他の人たちは?」


「あぁ奥に出張の出店があるからそこで飯を食ってるよ」


――そこからハリーのパーティと合流して食事をしながら話をした。


まずクエストに関係ない話からすると、ケティは冒険者の中ではかなり有名で、めちゃくちゃ強いが美味しい食べ物がある地域に向かわない場合は問答無用でパーティを抜けていたころから『グルメのケティ』と呼ばれているらしい。


それとハルトは以前、ハリーのパーティの女神官フレイさんに迷惑をかけた事があるらしくかなり警戒されていた。


しかし、店を含めまわりには女性冒険者が何人かいたが、例のイベントは発生しなかったのでどうやらハルトのユニークスキルはちゃんと腕輪で抑制されているようだ。


来る途中の天幕の件はどうやらゴブリンアサシンの仕業らしい。


ゴブリンアサシンは砦の防衛には参加しないらしく、夜な夜な冒険者たちの天幕を襲い数を減らしているとか。


幸い殆どのゴブリンアサシンは退治したらしく、恐らく今夜からは安全だということだ。


それでも現在は死者、クエストリタイアを含め100人以上いたゴブリンキング討伐の冒険者たちは20人前後まで減らされてしまったらしい。


そんなに大変なのかと思ったが、ハリーは「数が減って報酬が増えた」と喜んでいたので勝算があるのだろう。


食事を終えると残った冒険者たちと明日の計画を話し合うという事なので参加させてもらったのだが、やはりハルト、ケティ、オグが気になるらしく作戦前に各パーティの人たちから弄られた。


作戦によると、開幕ハリーのパーティが外に配置されたゴブリンを一掃。


それを確認したら残りのパーティが突入するという事なので、参加することにした。


砦に入るまでが難関という事なので、ハリーのパーティが上手く一掃できなければそこで作戦は中止らしく無理をすることもないだろう。


その日の夜はゴブリンアサシンの襲撃があるかもしれないと念のためにケティが見張っていてくれると言ってくれたが、朝起きると隣で爆睡していた。


猫は眠りが浅いから気付けるって事かな。


そうじゃなかったら危なかった。


――そしてキングゴブリンの討伐が始まる。


山の一部に掘られた砦は4階まで外から確認でき、それぞれの階に弓やワンドを持ったゴブリンが見える。


外から見えるのは4階だけだが、中は地下や見えない部分に5階があるかもしれないという話だ。


「火より生まれ火を生みしもの 命と力の源よ」


フレイの呪文詠唱が始まる。


「なぁ兄さんたちは上級魔法って見たことがあるかい?」


「いえ、まだ見たことは」


「ならしっかりと見とくといいぜ。フレイは浄化の炎とか何とか言って火の魔法を好んで覚えてるからな。一発撃ったら魔力は殆どなくなるから滅多に使えないけどそれだけの価値はある」


フレイが「神の裁きを受けなさい」とワンドを掲げる。


「――エクスプロージョン!」


砦の目の前で巨大な爆発が起こる。


建物を破壊しないようにしたためか、直撃はしていないがその爆風と熱力で見張りとして立っていたゴブリン達は蒸発した。


ヒロたちは砦からかなり離れていたけれど、それでも十分すぎる熱風が体を揺さぶってくる。


「んじゃぁ皆さんよろしくお願いします」


「お前ら今まで出し惜しみしてやがったな!?」


突入する冒険者の一人がハリーを指さしてそう言って砦へ入っていった。


「よし、俺たちも行こう」


「ちょっと待った」


突入しようとしたがハリーがそれを止めた。


「俺たちはカシミールからあんた達の護衛を任されてたんでね、突入するならもう少し待ちな」


「え?」


「固まって突っ込んでも的になるだけだろ」


そうハリーは言ったが多分違う。


この人はさらに冒険者の数が減るまで待つつもりだ。


さっきの冒険者の反応だとハリー達はフレイの上級魔法を隠していた。


あれだけの威力なら初日に見張りを全員吹っ飛ばして100人で突撃したら終わっていただろう。


しかしそれだと貰える額が少ないから冒険者が減るまで温存したのだ。


さすがアルノが雇う冒険者だけはある。


実力があるだけでなく金に忠実だ。


――1時間くらいたっただろうか。


ケティがこっそりと話しかけてきた。


「冒険者が全滅したニャ」


「え?」


「ニャーは聴覚強化のスキルも持って居るニャ。もう全員死んだニャ」


ケティは耳をピクピクと動かしながら自慢そうに言った。


「ゴブリン達は?」


「そっちも大分減ったみたいニャ。だけどおかしいニャ。中から人間の声もするニャ」


「人間!?」


「ゴブリン側に人間がいるみたいニャ。どうするニャ?」


「どうするって言っても」


ハリーの方を見るが「まだ俺たちはいかないよ」と欠伸をしながらハリーは答えた。


「よし俺たちで確認しよう」




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